アーカイブ

‘コーポレートガバナンス’ カテゴリーのアーカイブ

株式持ち合い解消へー自民塩崎氏

海外通・政策通として知られ、コーポレートガバナンス関連の改革などのキーマンでもある塩崎恭久・自民党政務調査会長代理に聞いた。
(日経ヴェリタス2014年3月9日3ページ )

【CFOならこう読む】

「自己資本利益率(ROE)は海外に比べて低い。生産性も劣っている。
原因のひとつが株式持ち合いだ。解消が進んだ印象があるが、実態をみるとまだ多い。地方の有力企業の株式を地銀が持つ例も目立つ。かつてのドイツは日本のように株式を持ち合っていたが、シュレーダー前首相の時代に改革に取り組み、持ち合いを縮小した。その結果、企業の資本効率が高まった。日本も例えば5年など期限を区切り、持ち合いを減らすような規制が考えられる」(前掲紙)

ドイツは、シュレーダー首相時代に、国内外からの投資促進を目的に、法人の株式譲渡益課税を撤廃しています(1年超保有の場合)。塩崎氏はシュレーダーのトップダウンで押し切るすごさを評価しており、独立取締役の複数選任も、「自分が首相になったら一発でやる」と明言しています。

【リンク】

なし

外国人持株比率と社外取締役の比率の相関

アベノミクスで上昇を続ける日本株相場。原動力は外国人の買いだ。今年3月末の外国人持株比率は28.0%と過去最高を更新した。
(日経ヴェリタス2013年12月10日1ページ )

【CFOならこう読む】

「バブル崩壊以降、日本のガバナンスの歴史は不祥事対応に焦点が当たることが多かった。粉飾決算などが発覚すると、コンプライアンスの観点から社外取締役や監査役に元検事の弁護士などが起用された。しかし高い資本効率などを求める外国人株主の存在感が高まったことで、ガバナンスの目的が企業価値の向上へと変わりつつある。」(前掲紙)

20131210

外国人持株比率が高いことで企業価値やガバナンスのプレッシャーが高まりROEや社外取締役の比率が高まっているというより、高ROEを指向する会社はガバナンスへの意識も高く外国人株主の比率も高い、ということだと思います。

ただいずれにしても会社は誰のものか、という哲学論争ではなく、経営者は企業価値や株主価値を向上させることが責務である、という共通認識が形成されつつあるように感じます。そしてそれは戦後変わることがなかった日本的経営の大いなる変化を意味しています。

【リンク】

なし

VCへの投資優遇

経済産業省はベンチャーキャピタル(VC)への投資を優遇する税制を拡大する検討に入った。出資した企業が法人税を圧縮できるVCの規模を「20億円以上」から「10億円以上」に緩める方向だ。小規模のVCへの資金供給を円滑にする狙い。
(日本経済新聞2013年11月20日4ページ )

【CFOならこう読む】

VCへの出資額への8割までを損金算入できるという税制優遇策です。

「公的機関の出資分も合わせて20億円以上なら、優遇を受けられるようにする。ただ、財務省は要件緩和に慎重で、調整が難航する可能性もある。」(前掲紙)

企業に溜ったキャッシュをはき出させることが狙いなのでしょう。
しかし、上場会社の場合、資本市場の規律が働く環境にあれば、無駄にキャッシュをため込むことはないはずで、そのような環境整備を行うことが本筋だと思います。

【リンク】

なし

JT政府より海外株主

2013年4~9月期の連結純利益が過去最高を更新した日本たばこ産業(JT)。業績好調のJTが国内たばこ事業の大規模なリストラに乗り出す。民営化から30年近くたった現在も日本政府が33・3%を出資する「国策会社」が従業員の削減にまで踏み込む大なたを振るうのはなぜか。背景を探ると、株式市場を強く意識した経営に軸足を移す姿が浮かび上がる。
(日本経済新聞2013年11月14日2ページ)

【CFOならこう読む】

「「剰余金の配当率は国外の競合他社よりも格段に低い。1株当たり120円配当せよ」。JTの6月の株主総会ではこんな株主提案が注目を集めた。突き付けたのは英投資ファンドのザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド(TCI)。過去にはJパワー(電源開発)の株式買い増しを計画し、増配などを要求したこともある。

 JT取締役会はTCIの4つの提案に反対を表明。総会でもTCIの提案は否決された。それでもTCIは意に介さない。JTとTCIは実は年に数回、会合の場を設けている。その内容をうかがい知ることができるのがJTが次々に打ち出す株主対策だ。3月には2500億円分の自社株買いを実施。配当性向を13年度の40%から15年度には50%に高める計画を掲げる。」(前掲紙)

サププライム前の環境に近づいてきました。やがて海外の株主だけでなく、日本の株主も「物言う」ようになるでしょう。
そしてそれは資本市場の規律として機能すべきことが本来期待されているのです。

【リンク】

なし

合併と企業統治

第一勧業、富士、日本興業の旧3行が統合したのが2000年。2度の大規模システム障害を起こすなど、みずほはトラブルが続いてきた。指摘されてきたのは「旧3行の意思疎通の悪さ」だ。持ち株会社と傘下2行の首脳ポストを旧3行で分け合っていた時代は「3首脳が顔を合わせて議論するのは毎金曜日の昼食会だけ」(みずほ銀幹部)と言われたほどだ。
(日本経済新聞2013年10月30日5ページ)

【CFOならこう読む】

「今回の問題の根底にも、旧行の“呪縛”がある。オリエントコーポレーション(オリコ)は旧第一勧銀と関係が深く、10年に持ち分法適用会社にした。長く経営不振が続いており旧富士銀出身の西堀利頭取(当時)はグループ化に強く反対。「押し切ったのが旧第一勧銀勢だった」(みずほ銀幹部)という。」(前掲紙)

今日の新聞では、阪急阪神ホテルズにおける出身会社ごとの主導権争いも指摘されています。

日本でよく見られる”対等の精神による経営統合”は、シナジーの実現に時間がかかるばかりか、ガバナンス上の問題を生むことを知るべきです。

【リンク】

なし

カテゴリー: コーポレートガバナンス タグ:

買収のプレッシャー

ドイツ銀行の資産運用部門で最高投資責任者を務めるアソカ・ヴァマン氏も、先週東京を訪れた一人。「夏以降、日本株を買い増している。日経平均株価は5年後、2倍になっていると思う」と強気だ。
理由の一つが、夏から市場で静かに進行している異常現象だ。長期の基準金利、国債10年物の利回りが実質マイナスに転じている。
(日本経済新聞2013年10月29日17ページ 一目均衡)

【CFOならこう読む】

「ヴァマン氏の読みはこうだ。「経営者は資金を眠らせておくのではなく、設備投資や企業買収に有効活用する圧力にさらされる。家計も大量の預金を目減りから守るために、株式などのリスク資産に移すだろう」。どちらのシナリオも、株高という結論に向かう。」(前掲紙)

資金を有効な投資に回せないのであれば、投資家は増配・自社株買いといった株主還元を求めることになるでしょう。これも余剰資金が株価に反映されていない銘柄については株高に向かうと考えられます。

そして、十分な施策を講じず株価が割安なまま放置されてるなら、そういった企業は買収リスクにさらされることになります。

これが資本市場の規律です。
わが国の問題の一つはこの資本市場の規律が十分に効かない仕組みになっているところにあります。

【リンク】

なし

ROE、なお欧米と開き

トムソン・ロイターによると、米主要500社の2013年の純利益は前期に比べ約5%増える見通し。増益基調を維持するが、米財政問題の影響などで先行きには不透明感が漂う。
(日経ヴェリタス2013年10月27日3ページ )

【CFOならこう読む】

「市場が注目するのは、欧米に比べてなお格差が大きいROEの動向だ。野村證券によると、日本の主力企業のROEは前期の5%台から今期9%台まで回復するが、13~14%の欧米とはなお差がある」
(前掲紙)

メリルリンチ日本証券の神山直樹チーフストラテジストは、

「年1割の増益が続き、その6割を株主に配分すれば、18年度にはROEが15%まで上昇する可能性もある」(前掲紙)

と言っています。

達成不可能な水準ではないという意味で言っているのでしょうが、多くの経営者に株主価値を創造しようという強い意識がない現状を鑑みると机上の空論と言わざるを得ません。今後外資による日本企業への投資が増えれば、株主のプレッシャーが強くなっていくでしょうから、そうなれば徐々に世界水準に近づいて行くことになるかも知れませんが、まだまだ時間がかかるように思います。

【リンク】

なし

資本再配分できる社会にー池尾和人氏

日本の金融が社会に役に立つ存在へと飛躍する条件を金融論が専門の池尾和人・慶大教授に聞いた。池尾氏は「金融は実体経済を映す鏡。金融に変化を求めるのなら、社会や実体経済も大きく変わらなければいけない」などと語った。
(日本経済新聞2013年10月23日5ページ  日経web刊)

【CFOならこう読む】

日本の金融の課題は何でしょうか。

日本の金融システムに欠けているのは、低収益企業から資本を引き揚げ、少しでも収益の高い企業に回す資本の再配分機能です。米国は1980年代からLBO(借り入れで資金量を増やした買収)などの手法を使って資本の再配分を行い、経済活性化のきっかけになりました

企業部門の新陳代謝を高めるのは、新規企業を育てるというきれい事ばかりではありません。古い企業に退出を迫り、収益性を高めるための雇用カットを容認しないといけない。本当に金融に変化を求めるのなら、社会や実体経済も大きく変わらなければいけない。社会が変化を決意するなら、金融の姿を再デザインしなければなりませんが、いまのところ、日本社会がその方向に向かっているようには見えません」(前掲紙)

一言でいうと、ヒト、モノ、カネが自由に移動する社会を目指すべきということです。
企業が貯め込んだ資金を使わせるのは、国家権力の役割ではなく、金融の役割です。
そして社会や文化が変わらなければ金融も変わることはできません。

「人材など他に企業活動を妨げている条件が変わらない限り、大きな効果はないでしょう。起業しようというアニマルスピリッツを持った人材が出てこないといけない。」(前掲紙)

社会の変化を促すのは、政治のリーダーシップの役割ですが、ぜひとも成功体験が欲しいところです。
多くの起業家が後に続きたくなるような成功体験が。

【リンク】

なし

米サード・ポイント、ソニーへ分離提案「留保」

ソニーの大株主の米有力ヘッジファンド、サード・ポイント(ニューヨーク)のダニエル・ローブ最高経営責任者(CEO)は日本経済新聞の取材に応じ、ソニーが映画や音楽など「エンターテインメント事業」の情報開示を強化するとの方針を評価する考えを示した。ソニーが拒否したサード・ポイントのエンタメ事業の分離上場提案については、一時的に留保する構えで、当面はソニーとの対話を重視する方針とみられる。
(日本経済新聞2013年10月18日13ページ)

【CFOならこう読む】

日本企業の経営のあり方、体質をどう評価するか。
 「欧米では社外取締役がおり、独立した立場から経営陣を客観的に評価する仕組みが一般的。日本企業も取り入れていくべきだ。企業にとって最も大切なステークホルダーは株主。日本企業は従業員など株主以外のステークホルダーを重視しすぎるため、企業の成長に悪影響を与えている」(前掲紙)

今後、日本における外資ファンドの活動が活性化されてくるものと思います。

また、それは日本への海外からの投資が増加することを意味し望ましいことと思います。
ですが、外資ファンドにはぜひとも「企業にとって最も大切なステークホルダーは株主」という主張は日本では受け容れられないということを理解して頂きたいと思います。こういった主張は無益な「会社は誰のものか」という論争と軋轢を生むだけで何の成果も生み出しません。

重要なことはパイの取り合いではなく、パイを大きくすることなのです。

【リンク】

なし

社外取締役は高級自動車と同じ?

社外取締役のいる企業の割合が東証1部で6割を超えた。企業統治の観点から上場企業に選任を義務づけるべきか、今まで通り各企業の判断に委ねるべきか。経団連でこの問題を担当する経済法規委員会・企画部会の佐久間総一郎部会長(新日鉄住金常務)と、カネボウや日本航空の再建に携わった冨山和彦・経営共創基盤・最高経営責任者(CEO)に聞いた。
(日本経済新聞2013年9月22日9ページ)

【CFOならこう読む】

冨山氏は日本企業に社外取締役が必要な理由を次のように述べています。

「日本では社長の権限はそれほど強くなく、暴走するほどパワーのある人も少ない。取締役会では社長以下のサラリーマン役員が互いの顔色を見て、空気を読みながら物事を決める。あつれきを避けようとするから、不採算事業からの撤退といった重要な意思決定を先送りする。こうした『不作為の暴走』を許す『ムラ型ガバナンス』が日本の大企業が抱える最大のリスクで、ムラの空気をかき乱すのが社外取締役の使命だ。」(前掲紙)

日本企業のガバナンスが、「ムラ型ガバナンス」であるという冨山氏の意見には全面的に賛成です。

一方、その「ムラ型ガバナンス」の頂点に存在する経団連の佐久間氏は、日本には監査役制度があるのだから社外取締役の選任を義務付けるのは不要と断じています。
そして、こんなことを言っています。

「―独立性の高い社外取締役がいる企業は、いない企業より自己資本利益率が高いという論文もあります。
 「高級車を持っている人(社外取締役のいる企業)は、年収が高い(資本効率が高い)傾向がある、と指摘しているようなものではないか。年収を増やすには高級車を買うべき、とは言えないだろう。燃費のいいクルマを買ったり、公共交通機関を利用したりしても年収は上がるかもしれない。会社の業績を向上させる手段も色々ある」」(前掲紙)

社外取締役を高級自動車になぞらえるとは。
今年を代表する名言(迷言)となる予感。

無駄な高級車を買おうとしているときに、何故その車が必要なのかを問うのが社外取締役の役割です。
そしてそこで必要な視点は、株主からの視点です。しかもそれは一部の金持ちの視点ではなく、老後の資金を
運用する一般市民の視点です。

他者の信任を受けて市民の資金を運用する。それが企業の、そして経営者の仕事です。
カネを高級車に遣うという比喩を出すこと自体、そういった経営者の職責を理解していない証拠のように私には思えます。
「岩盤」規制の緩和を政府に迫るのが経団連の重要な役割の一つですが、その経団連が最も厄介な「岩盤」となっていることに彼らは気付いているのでしょうか?

【リンク】

 

なし