外国為替市場で円の対ドル相場の変動幅が小さくなっている。東京市場では3月に入ってからの一日の値幅は平均で36銭と、2012年10月以来1年6カ月ぶりの小動きとなっている。ウクライナ情勢など先行き不透明感が強いことに加え、投機筋が円とドルの売買の持ち高を大幅に縮小しているためだ。
(日本経済新聞2014年3月25日21ページ)
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「一定期間後に通貨を売る権利や買う権利を取引するオプション市場でも、円相場は膠着が目立っている。1カ月後にドルを買う権利の予想変動率は、24日時点で一時7・350%。安倍政権の誕生につながった衆院解散の前である12年11月14日以来の水準まで下落した。」(前掲紙)
ヘッジのコストが下がっているということです。
ヘッジを検討するには良い時機かもしれません。
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なし
為替相場で円高リスクに備える動きが目立ってきた。為替オプションの動向をみると、今の安い水準で円を買ってドルを売る権利に人気が集まっており、その需要は約半年ぶりの高水準になった。足元で円高の動きは一服しているが、内外金融機関や輸出企業の間で円高に相場が急変するとの警戒感は依然残っている状況だ。
(日本経済新聞2014年1月29日1ページ )
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「一定の価格で通貨を買う権利と、売る権利について、双方の価格の差から需給バランスをみる「リスク・リバーサル」という指標がある。みずほ証券によると、この指標は27日にマイナス1・4%となり、昨年7月以来の低い水準になった。この指標はマイナス幅が大きいほど、円買いオプションの需要が高まり、買う権利の取引価格が上昇していることを意味する。」(前掲紙)
リスク・リバーサルは、必ずしも先行きの為替変動自体を予測するための指標ではありませんが、市場参加者のリスク認識を通じて為替変動の背景を探るうえでは、参考になる指標の一つと考えられています。
(日銀レビュー リスク・リバーサルからみた為替変動へのリスク認識参照。https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2012/rev12j14.htm/)
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なし
外国為替市場で、円相場が当面膠着するとの見方が強まっている。通過オプション取引で今後1ヵ月間の予想変動率(ボラティリティ)は約2ヵ月ぶりの水準まで低下した。
(日本経済新聞2012年4月18日15面)
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「円高修正が進んだ3月中旬にボラティリティは今年最高の10.85%まで上昇した」
(前掲紙)
現在は10%を下回る水準まで低下しています。ヘッジ取引を検討するには良いタイミングかもしれません。
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石炭価格の上昇が、セメントや製紙会社の2012年3月期の収益を圧迫する。足元の価格は1トンあたり120ドル超で、各社の今期の平均購入価格を2割ほど上回る。これを前提に考えると2012年3月期に太平洋セメントは30億円、住友大阪セメントは20億円程度の営業減益要因が生じる計算になる。王子製紙と日本製紙グループもマイナスの作用は避けられないが影響額では差が出そうだ。
(日経ヴェリタス2011年2月20日14面)
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セメント会社や製紙会社は、焼成や乾燥の工程で大量に石炭を使用します。石炭価格は昨年8月時点で90ドル前後であったのが、120ドル超まで上昇しています。
ところで今日の記事では、製紙2社の影響度に差があると分析しています。
「製紙2社は、同じく石炭価格20ドルの上昇で日本製紙が40億円程度の減益要因になるのに対し、王子製紙はそれほど大きくならないとみている。1トン1ドルの利益感応度は日本製紙が2億円程度、王子製紙は7000万円。日本製紙が熱量あたりのコストの低さに注目して石炭の使用を進めてきたのに対し、王子は廃棄物燃料の使用を増やしてきたためだ。
また、日本製紙は年間使用量のほとんどを期初に長期契約で調達するため「来期の調達コストは、足元の急ピッチの価格上昇を反映しやすい」(国内証券)。王子製紙は使用量の半分を長期契約、半分をスポットで買い付けるため、石炭価格の下落局面では比較的有利な価格で購入できる可能性がある」(前掲紙)
王子製紙の購入方針は、市況品を原材料として使用する企業にとって参考になると思います。
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三菱東京UFJ、三井住友、みずほの3メガバンクは、為替デリバティブで多額の損失を抱えた中小企業の資金繰り融資に乗り出す。金融庁の行政指導を受けた措置で、毎期計上する損失の穴埋め資金や、取引の途中解約の違約金に充てる資金を融資する。
(日本経済新聞2011年1月19日1面)
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この為替デリバティブの多くは「クーポンスワップ」であると思われます。「クーポンスワップ」については、12月18日のエントリーでもお話ししました(2010年12月18日「クーポンスワップの会計処理」)。
為替レートが円ドルレートが120円程度のときに、5年から7年程度の長期のクーポンスワップ契約を取り組むことにより、100円を下回るレートでその期間に予定される輸入取引の為替レートを固定化することができたので、ヘッジ目的で多くの企業が利用していました。
ヘッジは将来の変動性を排除するという趣旨から行われるわけですが、固定化した為替レートよりも円高が進めば円高メリットを享受できなくなるという意味で損失を被ることになります。
私の感覚では、多くの経営者がそういった商品特性を理解した上で、100円よりも円高が進むことはないだろうという相場観のもと取引に応じていたように思います。
一方、契約直後の為替レートが有利になることを強調し、かなり荒っぽい売り方をしていた金融機関もあったように思います。
私が顧問をしている会社でも、リスクをよく理解しないまま「クーポンスワップ」の契約をしていた会社があり、私から商品特性をよく説明したうえで解約を決めたケースもありました。
しかし、
「金融庁の行政指導を受けた措置で、毎期計上する損失の穴埋め資金や、取引の途中解約の違約金に充てる資金を融資する」(前掲紙)
というのはいかがなものかと思います。
金融庁がやるべきことは、「販売時にリスクや商品の仕組みの説明を十分に尽くしていなかった」かどうかについて徹底的に調査することで、そこをあやふやにしたまま安易に行政指導を行うのは問題があります。
上述したように、非常に甘い相場観のもと、得だと思って「クーポンスワップ」に手を出した会社も少なからずあったわけで、その結果会社が傾いたとしても自業自得だし、そのような会社に金融機関が資金を融資するべきでもありません。
誤解して頂きたくないのですが、私は金融機関に全く責任がないと言っているのではありません。問題の根幹にふたをして、責任の所在を明らかにしないまま、安易に行政指導に走るのは望ましくないと言っているのです。
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著名投資家のジム・ロジャーズ氏は11日、米シカゴ市内で日本経済新聞記者と会い、穀物価格の急騰と世界的な食料危機の到来を予測した。穀物と共に金や原油も最高値を更新すると予想。
(日本経済新聞夕刊2011年1月12日3面)
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商品投資の推奨で知られるジム・ロジャーズ氏の言うことなので額面通り受け取ることはできませんが、金融緩和がカネ余りを生みそのカネが金や原油に向かうという流れは十分に予想されるところで、CFOとしては頭が痛いところです。
ちなみに昨日のドバイ原油のマーケット価格は、94.05ドル~94.15ドルでした。
なお、日本株については、割安感から、
「購入を検討していると言明した」(前掲紙)
とのことです。
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コナカやニッセンホールディングスなど輸入商材を国内販売する小売企業で、長期の為替予約を取りやめる動きが相次いでいる。収益押し上げを狙った
デリバティブ取引が想定外の円高で多額の損失を出したためだ。経済環境の激変で為替相場は大きく振れやすく、今後は自らの販売戦略も見据えた為替リスクの管理体制が必要になりそうだ。
(日本経済新聞2010年12月17日1面)
【CFOならこう読む】
「損失を広げたのは「クーポンスワップ」と呼ぶデリバティブ取引だ。企業と金融機関がそれぞれ扱う通貨を交換する通貨スワップの一種で、元本ではなく利息部分(クーポン)を交換する。企業は毎年、固定レートで円とドルを交換できる。通常の予約より契約直後の為替レートが有利になる性質があり、短期的な損益押し上げ効果が大きい。一方、金融機関は長期にわたって手数料を受け取れる。双方の思惑が一致し、将来の円安進行が予定された2003年~2007年ごろに販売が増えた」(前掲紙)
為替レートが120円程度のときに、5年から7年程度の長期のクーポンスワップ契約を取り組むことにより、100円を下回るレートでその期間に予定される輸入取引の為替レートを固定化することができたので、ヘッジ目的で多くの企業が利用していました。
記事に書かれている多額の損失とは、固定化した為替レートよりも円高に進んだことにより生じたもので、その意味ではどのようなヘッジからも生じ得るもので、特に小売企業が投機的な取引に手を染めたから発生したわけではありません。
しかしクーポンスワップのような長期のヘッジ手段は、現代のように短期間で経営環境が大きく変化する時代には好ましくないということは今日の記事の教訓として肝に銘じるべきでしょう。
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