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‘為替’ カテゴリーのアーカイブ

経営者と学者先生、円高感覚のズレーフジマキの法則

外国に進出して、外国人に給料を払い、外国政府に法人税を払っている日本企業よりも、あいかわらず多くの日本人を雇っていて日本政府に税金を納めている外資系企業の日産の方が、日本人と日本政府にとって、よほど重要な存在だということだ。
(日経ヴェリタス2013年3月3日61ページ 藤巻健史)

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藤巻氏は2012年10月31日のカルロス・ゴーンの世界経営者会議での次の発言、

「今は円高ではないという学者の指摘もある。だが、経営者は皆、円高に苦しんでいる。雇用創出しているのは学者ではなく、我々企業だ。1ドル100円が妥当な水準だろう。当局には円高是正に向け『がんばる』という言葉だけでなく、『結果』を出してほしい」

を引用し、次のように言っています。

「今は円高ではない、という机上の学問で学者先生がおっしゃっても、経営者の感覚は全く違うということだ。」(前掲紙)

円高認識について、経営者と学者の間に対立があるというのは完全にミスリードでしょう。学者の中にも浜田宏一教授のように、現在が円高であることを前提に、日銀の無策が円高を招いたと論じている人もいるし、すべての経営者が円安を望んでいるわけでもありません。

学者の中でも経営者の中でもそれぞれ対立はあるのです。
大切なことは、きちんと議論をすることでしょう。

アカデミックの議論は(特に経済学の場合)、一定のモデルを前提に行われるので、現実にはうまくあてはまらないことがあります。ですが、だからといって学問が無益だということにはなりません。

何より、学者先生というような学問に対する敬意を欠いた物言いをすべきではありません。

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ユーロ安・円高一服

ユーロ安・円高が一服し、為替相場が円安方向になってきた。足元のレートは一時1ユーロ=103円台後半まで戻り、各社が想定していた100円程度より円安で推移している。103円の水準が続けば、欧州の売上規模が大きい主な20社では、2012年度下期の営業利益を計算上、従来の会社予想より400億円近く押し上げる可能性がある。
(日本経済新聞2012年9月19日13面)

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ユーロ変動の影響が特に大きい10社の、対ユーロ1円の変動が営業利益に与える影響は次の通りです。

 

欧州危機問題は抜本的な解決にはほど遠く、ユーロの動向は全く不透明です。このため、各企業は円高対策に力を入れています。

「精密ではセイコーエプソンがインクジェットプリンター用のカートリッジで値上げを検討。リコーや富士フイルムホールディングスは外貨建ての部材調達を加速する。他業界でもソニーやコマツなどが値上げを検討するなど、為替動向に左右されにくい収益対質の構築を急いでいる。」(前掲紙)

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北欧通貨、上昇が鮮明

北欧通貨の対ユーロ相場の上昇が鮮明だ。スウェーデン・クローナは8日、1ユーロ=8.27クローナ台と、2000年6月以来約12年ぶりの高値水準で推移した。ノルウェークローネも7月末以降、9年半ぶりの高値圏にある。欧州債務問題で北欧通貨が資金の一時的な逃避先となっている。
(日本経済新聞2012年8月9日15面)

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「北欧の両国はユーロ圏に比べ経済が堅調だ。ユーロ圏で財政危機がくすぶると、地理的にも近い両通貨は投資家により買われやすくなる。」(前掲紙)

通貨高は両国の輸出企業の収益を圧迫します。特にスウェーデンは輸出立国なので、中央銀行が利下げする可能性も取り沙汰されています。利下げされれば、ユーロとの金利差が縮小し、クローナ高が止まる要因となり得ます。

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円独歩高

外国為替市場で円が独歩高になっている。複数の通貨に対する総合的な価値を反映する名目実効為替レートで円は1日に、132となり、2月2日以来約4ヵ月ぶりに高水準になった。
(日本経済新聞2012年6月1日15面)

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「欧州問題に加え、米経済の先行き不透明感も台頭。これまでマネーが安全な場所を求めて円とドルに集まっていた構図は、円が一手に受け皿を担う形に取って代わろうとしている」

斉藤誠教授の次の言葉を以前ポスティングしましたが、企業はこの円高をチャンスと捉えるべきです。

「海外でM&Aを展開するのにも、輸入資源代金を節約するのにも、円高は日本経済にとって
逆風どころか、神風なのである」
2012年5月28日「円高は日本経済にとって神風 − 斎藤誠一橋大学教授」

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東芝、為替抵抗力に落とし穴

東芝は31日、2012年3月期の連結純利益(米国会計基準)が前期比53%減の650億円になる見通しと発表した。従来予想は2%増の1400億円。液晶テレビと半導体の低迷に加え、為替の円高の影響が足を引っ張る。ドル・円レートの変動が利益に与える影響がゼロとして知られる東芝だが、強くなったはずの為替抵抗力には意外な落とし穴があった。
(日本経済新聞2012年2月1日13面)

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東芝は輸出と輸入のマッチングさせることによりドル・円レートの影響をゼロとしていたのですが、国内向け液晶テレビの輸入が、国内需要の低迷により当初想定より減少したこと、及びユーロ対策を優先したため、欧州で販売するパソコンの調達をドル建てからユーロ建てに変更したことによりドル建ての購入額が減少したことの2つが主な原因とのことです。

同一通貨の支払と収入を同額にすることで、その通貨の為替の影響を極力排除するというのは一般的によく行われている手法ですが、その前提として将来の収支を正確に予測できることが必要です。しかし神様でもない限り実績と予測とは少なからずずれが生じるわけで、そのずれについては、タイムリーに対応することが求められます。

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正しい円高対応策

政府・日銀による大規模な市場介入にもかかわらず1ドル=70円台後半の円高が続いているため、企業収益や生産活動への悪影響を懸念する声が強まっている。
(日本経済新聞2011年11月17日19面大機小機)

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「内外のインフレ率格差を前提とすると、やや長い目でみれば、今後も円高圧力は持続する可能性が高い。これに対し、対症療法的に市場介入や追加金融緩和を繰り返しても、円高抑止効果はごく一時的なものにとどまるだろう。
むしろ企業の海外展開を積極的に支援する一方、国内では産業構造の変革を促すことで新しい雇用機会創出に努めること、これこそが日本経済の長期的発展につながる正しい円高対策である」(前掲稿)

介護、医療、保育などの分野では、規制改革を徹底し、潜在需要を顕在化できれば、大きな雇用増加が期待できると論じており、大機小機にしては珍しく(失礼!)正論です。

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政府による円売り介入、継続は不透明

政府・日銀が10月31日に実施した7.5兆円の円売り介入は、事前に米欧の理解を得られなかった「見切り発車」とみられる。米国やフランスの反対でなかなか動けず、31日になって「投機の抑制」を理由に介入に踏み切った。単独介入への批判に加え、資金面の制約もあって、日本が巨額の介入を続けられるかどうかは不透明。3~4日に開かれる20カ国・地域首脳会議での対応も焦点になる。
(日本経済新聞2011年11月2日5面)

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「ECBのゴンザレスパラモ専務理事は日本の介入について「単独介入は世界の安定に悪影響を与える」とコメント。英フィナンシャルタイムズ紙は1日、日本の介入にドイツとフランスが懸念を抱いていると伝えた。
米財務省のブレイナー次官は31日に「市場原理に基づく為替相場を支持する」と述べ、意図的に相場を動かす介入に批判的なトーンをにじませた。」(前掲紙)

資金的な制約があることも鑑みると、ジム・ロジャーズの以下の見通しが正しいように思います。

「日本政府が市場介入の試みていることは知っていますが、成功したことはありませんし、今後もうまくいかないでしょう。政府や中央銀行よりも市場の資金規模が上回るからです」
(日経ヴェリタス2011年10月30日55面)

CFOとしては、もう一段の円高に備える必要がありそうです。

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超円高と財務戦略

1ドル=70円台の超円高が日本企業の収益を圧迫している。世界的な株式相場の動揺や、実体景気の悪化懸念も経営の重荷だ。競争力の確保に向けた財務戦略
を聞く。
(日本経済新聞2011年8月11日~25日)

【CFOならこう読む】

連載は8回行われました。記事から各社の為替予約等短期的な方策及び生産拠点等の立地戦略について、以下にまとめてみましたので参考にしてください。

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円最高値に迫る

11日の東京外国為替市場で円相場は一時、1ドル=76円30銭まで上昇し、東日本大震災直後の3月17日に付けた過去最高値(76円25銭)に迫った。
(日本経済新聞2011年8月12日1面)

【CFOならこう読む】

「米欧の債務問題や世界経済の減速への懸念が高まるなか、対外債権国通貨の円を「安全資産」として買う動きが強まっている。米金融緩和の長期化観測による日米金利差の縮小も、投機筋の円買いを勢いづけている」(前掲紙)

CFOとしては、ヘッジをどうするか悩むところですが、この点、今日の新聞の13面でホンダの池CFOが次のように述べています。

-為替予約など財務面でどう対処しますか。

「為替予約は実勢に沿って粛々とやるのみだ。(独自の予想を立て)どんどん先の予約
を入れることはない。『当たるも八卦当たらぬも八卦』になる。過去の経験からも、
じたばたしてもろくなことがない」」
(日本経済新聞2011年8月12日13面)

私も池CFOの意見に賛成です。
どんどん先の予約を入れることだけでなく、独自の相場観から為替予約を入れない、ということも避けるべきだと思います。

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円相場上昇、78円台前半

25日のニューヨーク外国為替市場で円相場が上昇し、前週末比30銭円高・ドル安の1ドル=78円20~30銭で推移している。米連邦債務の上限を巡る協議が一段と難航し、ドル売りが先行。
(日本経済新聞2011年7月26日1面)

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今日は備忘記録です。

「米格付け会社がギリシャ国債を格下げすると発表したことでリスク回避姿勢が強まったことも円高要因となった」
(日本経済新聞2011年7月26日17面)

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