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‘自社株取得’ カテゴリーのアーカイブ

上場企業の金庫株膨らむ

上場企業が自ら保有する自社株式の活用に動いている。M&A(合併・買収)の対価として現金の代わりに自社株を用いたり、社会貢献のために拠出したりして使い方の幅が広がっている。上場企業が抱える自社株は総額16兆円規模に膨らんでいる。余剰であれば消却してしまうことも含めて、企業の自社株活用にさらに磨きがかかれば、資本市場全体が活性化するとの期待につながる。
(日本経済新聞2014年3月28日3ページ)

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「上場企業が内部に抱える自社株は膨らんでいる。有価証券報告書などをもとに集計すると、筆頭株主が自社という企業は、昨年末時点でファナックなど300社を超える。年末で比較して過去最高だ。株価の上昇もあり、金額ベースでは約15兆7000億円に達し、1年前から5割増えた。」(前掲紙)

自社株買いの活用方法としては、今後役員報酬や社員報酬として自社株を付与することが増えてくると考えられます。

今後日本企業もコーポレートガバナンスが強化されていくに従い、株主価値を重視することはより当然という風に変わっていくと思います。そうなると、役員や従業員のインセンティブを株主価値にリンクさせる必要性が増してくるはずです。

しかし何度かお話ししているように、日本では、税法その他のインフラが整備されていないためこれが簡単にはできません。
信託だ何だとコストをかけなくてもこんなことは簡単にできるようでなければいけません。

是非とも立法上の手当てをお願いしたいところです。

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バフェト、エクソン株大量購入

驚異的な運用成績から「オハマの賢人」との異名をとる米著名投資家がウォーレン・バフェット氏が動いた。時価総額が世界2位のエクソン株を大量購入したのだ。米国株式相場が高値のなかでの大胆な決断。その背景を探る。
(日経ヴェリタス2013年11月24日20ページ )

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「長期投資を志すバフェットは必ずしも株式の値上がり益を追うわけではないというのだ。仮に株価が下がったとしても、企業は自社株買いのコストが下がるし、投資家にとっても買い増すチャンスが生まれる。企業が盛んに自社株買いをしてくれると必然的に、持株比率が上がり1株当たりの価値も増すので、長期の投資家にとって有利だというのがカリスマの考え方だ。」(前掲紙)

バフェットは、投資先が自社株買いを行うことを、間接的に株式を買うと表現しています。
自社株買いにより既存株主の出資比率が上がることをこう表現しているのです。
エクソンも高水準の自社株買いを継続しており、バフェットの大量購入の理由もここにある、というのが今日の記事です。

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自社株買いによる株価押し上げ効果

株式市場で、企業による自社株買いに対する関心 が高まっている。東京証券取引所1部の 売買代金が13日、年末年始を除き約9年ぶりの水 準に落ち込むなかで、自社株買いは需給面 から相場を下支えする要因となっている。8月~9 月は自社株買いは増えやすいという季節性 もある。手元資金が豊富な企業には、株主還元策 として自社株買いを求める声も高まっている。
(日経ヴェリタス2012年8月19日6面)

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「4~6月に自社株買い取得枠の設定を発表した時 価総額500億円以上の東証1部企業を対象に、 ゴールドマン・サックス証券が発表後4週間の株 価騰落率を調べたところ、TOPIXを平均7% 上回った。キヤノンは7月30日の引け後に500億 円を上限とする自社株買いを発表。翌31日に 株価は5.8%上昇した。」(前掲紙)

自社株買いは、自社株買いに応じなかった株主の 持分比率を増加させる効果があります。 自社株買いの価格とファンダメンタルバリューが 一致していれば、株価に無差別ですが、 市場株価が低くファンダメンタルバリューを下 回っているときに自社株買いを行えば、 既存株主の株式価値を押し上げます。

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自社株買いの意義 − バフェットの手紙より

米著名投資家ウォーレン・バフェット(81)が2月25日、毎年恒例の「手紙」を公表した。自ら経営トップを務める投資会社バークシャー・ハザウェイの株主にあてたものだ。今年もバフェット独特のユーモアがあふれるなか、投資に関する鋭い洞察がちりばめられている。
(日経ヴェリタス2012年3月4日13面)

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株価が上がると損?!

「IBMの株価が今後5年はさえないことを、われわれは願うべきです。理由は簡単。これから株式を買い増すつもりなら、株価が上がると損です。将来、自分のお金で株式を直接買うにしろ、(投資先の企業が自社株買いをすることで)間接的に株式を買う場合でも同じです。将来も買うつもりなら、株価が下がったほうが得です。
株式をこれから買う予定の人も含め、ほとんどの人は株価が上がると安心します。これは、自家用車で通勤している人が、車の燃料タンクにはその日に必要なガソリンしかないのに、ガソリンの値上がりを喜ぶようなものです」(バフェットの手紙より 前掲紙)

長期投資を志向する投資家にとっては、長期的に安定配当が得られることが重要です。さらに投資先が自社株買いを実行すれば、既存株主の出資比率が上がります(これをバフェットは間接的に株式を買うと表現しています)。

株式を買い増すにしても、自社株買いを行うにしても株価が低い方が望ましいということです。

だからといってCFOとしては株価を上げないことを是とする必要はありませんが、しかし、企業が自社株買いを行うのと株主が株式を買い増すのは、株主にとっては同等の意味があることを理解しておく必要があると思います。

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ソフトバンク株価、自社株買い発表で上昇

ソフトバンクは商いを伴って上昇。前日に自社株買いを発表したのが材料視された。
(日本経済新聞2011年9月30日18面)

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昨日ブログで取り上げた、ソフトバンクの自社株買い発表の続報です。

「取得上限は119億円と時価総額の1%に満たないが、週前半までの下落が急だっただけに「買い戻しのきっかけとしては抜群のタイミング(大手証券)だったようだ」(前掲紙)

自社株買いは需給をタイトにすることにより、株価上昇を促す財務戦略であるという誤解が一部にありますが、119億円の自社株買いでも株価を動かすのです。

自社株買いの一番の意義は、株価が割安であるということを経営者が市場に伝えるシグナリング効果にあります。

そういう意味では自社株買い発表と合わせる形で、冬春商戦向けスマートフォンの新製品11機種を発表し、脱iPhone依存を印象付けたのも効果的であったように思います。

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ソフトバンク、自社株買い119億円

ソフトバンクは28日、取得総額119億円を上限とする自社株取得枠を設定すると発表した。KDDIが米アップルのスマートフォン「iPhone」を発表すると22日に報じられたのを受け株価が急落しており、株主への利益配分を増やし株価のてこ入れを狙う。
(日本経済新聞2011年9月29日17面)

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ソフトバンクの株価が急落しています。

自社株取得枠設定の概要は次の通りです。

(1)取得対象株式の種類 当社普通株式
(2)取得する株式の総数 8,000,000株(上限)
(3)株式の取得価額の総額 119億円(上限)
(4)取得方法 信託方式による市場買付
(5)取得期間 2011年10月3日~2012年9月30日

「今月上旬に400万株の自社株買いを実施しており、今回は改めて自社株買いができる限度いっぱいの取得枠を設定した」(前掲紙)

【リンク】

2011年9月28日「自己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ(会社法第165条第2項の規定による定款の定めに基づく自己株式の取得)」ソフトバンク株式会社

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自己株の任意売却による100%親会社の変更 – アビバのケース

スリープログループは31日、連結子会社で資格取得支援事業を手がけるアビバの株式をリンクアンドモチベーションに譲渡することでリンク側と合意したと
発表した。譲渡額は9億8千万円。
(日本経済新聞2011年8月31日7面)

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「アビバは6月、スリープロへの貸付金の返済が滞ったことを理由に自社株を売却。スリープロはこの株式売却が無効だとしてアビバ、リンクと協議していた」(前掲紙)。

本件の経緯について、スリープロのプレスリリースより抜粋します。

「当社は、従来から、連結子会社である株式会社アビバより、グループ間の資金の有効活用の為、借入を行っており、当連結会計年度に入り、アビバの要請に基づき、同借入債務を担保するため、 当社保有のアビバ株式にアビバを質権者とする質権設定契約を締結しておりました。
このような状況の中、リンクアンドモチベーションより、平成 23 年 6 月 11 日付でアビバの全 株式を取得し、子会社化した旨が公表されました。
また、アビバより、同株式について質権を実行し同株式をリンクアンドモチベーションに任意 売却した旨の質権実行通知書が平成 23 年 6 月 13 日付で送付されてきておりました。
当社としては、質権設定契約に定められた質権実行事由が存在せず、上記の質権実行は無効で あり、依然として当社がアビバの一人株主であるとの認識のもと、当社はアビバ及びリンクアンドモチベーションに対し、アビバ株式の帰属に関し、法的措置も検討し協議を進めて参りました。

その後、当社は、平成 23 年6月 30 日付で当社平成 23 年 10 月期第2四半期報告書提出後、交 渉を長期化させることによる、双方の企業価値の毀損等を避けるため、また、早期の解決による 本業への経営資源の集中、費用の削減等の必要性を総合的に勘案した結果、和解協議を行うこと が合理的であると判断し、アビバ及びリンクアンドモチベーションとの間で、平成 23 年 8 月 30 日、当社保有のアビバ株式について、上記アビバによる質権実行により、リンクアンドモチベー ションが取得するに至ったことを共通の理解とする旨の合意に至りました。

かかる合意により、当社、アビバ及びリンクアンドモチベーションは、アビバによる質権実行 に伴いリンクアンドモチベーションがアビバの全株式を平成 23 年6月 11 日付で取得したことを 確認いたしました」
2011年8月31日「子会社株式(株式会社アビバ)の異動、特別利益の発生について及び通期業績予想の修正に 関するお知らせ」スリープログループ株式会社 [PDF]

つまりアビバは質権実行により自己株を任意売却し、貸付金の返済に充てたということです。
質権実行事由が存在したか否かで認識の相違があったが、スリープロとしては任意売却を認めたということです。

100%の親会社の変更のスキームとして使えるかもしれません。

【リンク】

2011年8月31日「子会社株式(株式会社アビバ)の異動、特別利益の発生について及び通期業績予想の修正に 関するお知らせ」スリープログループ株式会社 [PDF]

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自社株買い、日米高水準

日米の上場企業が自社株買いを増やしている。2011年上期は、日本が前年同期比2.3倍の7997億、米国が76%増の2916億ドル(約23兆円)と、半期ベースで2008年9月のリーマン・ショック後の最高となった。金融危機後、現金を積み上げ「守り」の姿勢を取っていた日米企業だが、余剰資金を自社株買いに振り向け、株価の下支えや資本効率の向上を目指す。
(日本経済新聞2011年7月21日1面)

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「金融情報サービスのアイ・エヌ情報センターによると、上期の日本企業の自社株取得額は2008年下期(2兆1945億円)以来の水準。キヤノンが500億円、NTTドコモが200億円を取得した。ベネッセホールディングスは2012年3月までに100億円を上限に自社株買いを実施する予定」(前掲紙)

自社株買いよりも国内外へ積極投資に打って出るタイミングだと思うのですが・・・。

【リンク】

2011年5月25日「自己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ (会社法第 165 条第 2 項の規定による定款の定めに基づく自己株式の取得)」キヤノン株式会社 [PDF]

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株主不明株、信託で売却

住友信託銀行は、所在が分からない株主の株式を企業が処分しやすくする信託の取扱いを始める。第三者が資産管理する信託の仕組みを使って、インサイダー取引規制などに抵触せずに円滑に株式を売却できるようにする。第1弾として旭化成と契約し、近く株式の市場売却を始める。
(日本経済新聞2010年11月29日5面)

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今日は備忘記録です。

「株式は信託を通じて売却されるため、インサイダー取引規制には抵触せず、短期間で大量売却を迫られる恐れもなくなる」(前掲紙)

旭化成の場合、これにより株式管理費用が2000万円節約されるということです。

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自社株買い、増加基調

2010 年 11 月 4 日 コメント 1 件

上場企業の自社株買いが増加基調に転じている。取得額(普通株ベース)は今年9月に前年同月の2倍、10月は同10倍に膨らんだ。微増の8月を含め、3ヶ月連続で前年同月を超えたのは金融危機前の2007年12月~2008年2月以来、2年8ヶ月ぶり。キヤノンが10月までに約500億円分を買い入れたほか、KDDIや富士フィルムなど新たに取得枠を設ける動きも目立つ。
(日本経済新聞2010年11月4日3面)

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「自社株買いの枠を新たに設けた企業も、10月は67社と前年同月を上回った。KDDIは2010年4月~9月期決算とあわせ、発行済株式数の5%強、上限1,000億円で自社株買いを実施すると発表。「足元の株価は安い。『まだKDDIは伸びる』というメッセージを込めた」(小野寺正社長兼会長)」」

(前掲紙)

10月27日のポスト「自社株買い銘柄が堅調」でもお話ししましたが、シグナリング効果を意識してKDDIのようにトップが市場にメッセージを送ることが大切だと思います。

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