【お知らせ】新サイト 株式公開ドットコム始めました
新規上場企業の資本政策に関係するデータを一覧できるウェブサイト、
株式公開ドットコム
kabushikikoukai.com
を開設しました。
目論見書もダウンロードできます。
今後、IPOを目指す会社側の目線で、資本政策に関する記事も掲載していきますので、
是非とものぞいてみてください。
よろしくお願いします。
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株式分割を決めた銘柄の株価が堅調だ。前週末に分割を発表したカルビーとファンコミュニケーションズは2日、それぞれ3%高、7%高と上昇。投資に必要な最低金額が下がり、小口の個人マネーが入りやすいとの期待が背景だ。
(日本経済新聞2013年9月3日17ページ)
株式分割を発表した最近の主な銘柄と株価騰落率は次の通りです。
銘柄名 | 発表日 | 発表内容 | 発表翌日の株価騰落率(%) |
ファンコミ | 8/30 | 1株を2株に | 7.0 |
カルビー | 8/30 | 1株を4株に | 3.2 |
日清粉G | 8/28 | 1株を1.1株に | 1.5 |
京セラ | 8/28 | 1株を2株に | 2.5 |
沢井製薬 | 8/27 | 1株を2株に | 0.4 |
ドワンゴ | 8/22 | 1株を200株に | 0.3 |
ゼリア新薬 | 8/7 | 1株を1.1株に | 2.5 |
(出所:前掲紙)
来年導入の少額投資非課税制度(日本版NASA)では非課税メリットが得られるのが元本100万円までなので、 最低投資金額が100万円を超える銘柄は、投資金額を引き下げるために、株式分割を検討している企業が増えているようです。
なし
三菱自動車は2014年3月期中に、約9千億円の累積損失の処理のため、資本金を取り崩す。合わせて資本増強ができるように新株発行の余地も拡大する。経営再建の足かせになっている約4千億円の優先株処理に向け財務体質の立て直しが急務と判断した。今後、優先株の引受先である三菱重工業や三菱商事などグループと具体策を詰める考えで、経営再建はヤマ場を迎える。
(日本経済新聞2013年5月23日3ページ)
「週内に開く取締役会で、累損一掃のための資本金と資本準備金(計約1兆円強)の一部取り崩しと、株を追加発行できる枠を拡大するための定款変更議案を決める。」(前掲紙)
(1)10株を1株に併合
(2)株式発行枠の変更
により、発行上限の株数が現在の66%増から約4倍に拡大するとのことです。
このニュースを受け、日経平均株価が1000円以上(7%)急落した23日、三菱自動車株はその倍の14%(前日比25円安)下げました。明確なエクイティシナリオが必要な場面です。
なし
日本取引所グループは7月16日に予定する現物株市場の東京証券取引所への統合にからみ、大阪証券取引所に上場する企業に対しては上場廃止基準の適用を3年間猶予する方針を固めた。統合後の新市場は東証基準を採用するが、大証よりも基準が厳しく、一部の大証企業が廃止基準に該当する恐れがある。猶予期間を設け、現物株市場の統合を円滑に進める狙い。
(日本経済新聞2013年1月30日16ページ)
「東証1部・2部共通の上場廃止基準としては株主数が400人未満、上場時価総額が10億円未満――などがある。一方、大証は株主数(150人未満)、上場時価総額(原則は5億円未満、年内は3億円未満)と開きがある。主に時価総額基準に抵触する企業が多いようだ。株価を高める施策などが必要となる。」(前掲紙)
東証・大証の上場廃止基準は次の通りです。
このうち流通株式時価総額はあまりなじみがないかも知れませんが、次のように計算されます。
流通株式数=上場株式数−(役員所有株式数+自己株式数+上場株式数の10%以上を所有する株式数)
流通株式時価総額=流通株式数×事業年度末日の最終価格
資本政策の上で、安定株主作りを間違えると上場廃止のリスクが高くなることを知っておく必要があります。
なし
今回はスタートアップの資金調達について考えてみたい。最近の傾向として、小額な資金のみで贅肉のないスリムな財布でスタートする「リーン・モデル」が主流となっている。とはいえ、事業を始めるには、いくばくかの資金がなければならないし、成長のためにも資金調達は不可欠だ。
(ダイヤモンドONLINE「しっかりしろ起業家たちよ 日本の間違いだらけスタートアップ・ファイナンス」)
スタートアップ時点でのファイナンスの過ちは致命的になりかねないことを、本庄氏は次のように指摘しています。
「スタートアップ先進国の米国でも、間違ったスタートアップ・ファイナンスはある。しかし、日本のそれは特に問題だ。
「新規の投資家として増資を引き受けて欲しいとあるスタートアップ企業に言われたので、その企業の話を聞くと、シード段階で30~40%も他の投資家に株を持たれていた。そんな状況では、もはや資本政策の組みようがないから、我々にとっては増資を引き受けるかの検討にすらのぼらない」
日本のスタートアップの資本政策の“マズさ”を指して複数のベンチャー・キャピタリストはため息をついている。実際に、日本のスタートアップが、初期段階での資本政策の過ちで、次の資金調達がおぼつかなくなったり、経営陣が会社のコントロールを失ったりする例が、あちこちで見られる。」(同上)
私も実際にこのような事例を多く見聞きしており、本庄氏の指摘は全くもって正しいと思います。
しかし、スタートアップ時点では資金に乏しく、ポンとまとまったカネを出してくれる投資家に頼りたくなる企業家の気持ちもわかります。
それではどうすれば良いでしょう。
企業家は、外部の投資家の言いなりになるのではなく主体的に資本政策にも取り組めば良いのです。
そのためには、IPOを一つの通過点とするような会社の長期的な事業計画と、それに基づく資金計画を立てる必要があります。
来年のこともわからないのに長期の事業計画なんか立てられるか、そんな声が聞こえてきそうです。しかしそんなことを言っている時点で企業家としての資質は疑わしい。
昨日のカンブリア宮殿は、Amazonのジェフ・ペゾスを取り上げていました。番組の中で、ペゾスの10年、20年先を見通す才能について語られていましたが、私はそれこそが優れた企業家に共通した資質であると思っています。
長期の事業計画が立てられないのなら、その時点でそんな事業は止めるべきです。
信念に基づく長期的な事業計画と資金計画を作り、それに基づき長期の資金調達計画を立てるのです。こういう作業を企業家自身の手で行えば、スタートアップ時に付け焼刃的なファイナンスを行う愚も回避できるはずです。
さらに言うなら、IPOも一つの通過点に過ぎないので、IPO時が株価の頂点といったような一般投資家を愚弄するIPOも避けられるはずです。
コンサルタントその他の専門家の力が必要な場面はありますが、企業家自身が自らの頭で考え、あくまで主体的に外部の専門家を”使う”姿勢が大切です。
ファイナンスなんてわからない、多くの企業家はそう思うかも知れませんが、自分が行う事業を一番よくわかっているのは企業家自身です。ファイナンスは事業の延長線上にあるのですから、わからないなどと言うことは決してありません。
本庄氏が「KA(こいつらアホか)と表現している企業家は、要するに考えることを放棄した怠慢な企業家のことなのです。
なし
味の素が資本効率向上に向け、事業の再構築を急いでいる。5月に入り子会社のカルピス売却、2013年3月期の連結純利益予想を上回る500億円の自社株買いを相次いで決めた。意識するのが営業利益率、ROEで10%を超え、効率性に勝るネスレなど世界の競争相手。世界で戦うためにいま何がひつようか。伊藤雅俊社長に聞いた。
(日本経済新聞2012年5月22日15面)
伊藤社長「世界的に強みのある調味料やアミノ酸を活用した先端バイオ分野に経営資源を集中し、成長を加速する狙いだ。欧米企業は事業の成長だけでなく、利益率や資本効率を意識して企業価値を高め、M&Aに備えている。世界で戦うには、これまでの日本企業の基準に満足せず、ある程度、欧米企業と同じ構造にしないといけない。自社株買いもキャッシュの水準や、成長投資との見合いを考えながら、今後も機動的に実施していく。」(前掲紙)
味の素は前期6.9%のROEを、2017年3月期に10%以上に引き上げる。
「ネスレの2011年12月期の株主還元額(配当と自社株買いの合計)は107億スイスフラン(約9000億円)と純利益(94億スイスフラン)を上回る。利益を増やすだけでなく、自己資本を圧縮することでROEを17%に高めている」
(日経ヴェリタス2012年5月20日2面)
サブプライム後、レバレッジは悪といった空気であったのが、少し変わってきたようです。ROEに焦点が当たってくると、CFOの仕事はいろいろと増えてきます。
なし
交流サイト(SNS)最大手の米フェイスブックが株式上場へ歩み始めた。大量の資金と人材の獲得を視野に、1日に申請書類を米証券取引委員会(SEC)に提出。
(日本経済新聞2012年2月3日7面)
「上場後も経営陣が主導権を握れるよう、ザッカーバーグ氏らに通常の株式の10倍の議決権のある種類株を割り当てるなど対策を取っている」(前掲紙)
上場申請書類(Form S-1)からIPO前時点におけるフェイスブックの資本構成を抜粋します。
フェイスブック創業者でCEOのマーク・ザッカーバーグの議決権比率は28.2%(株主間契約等でザッカーバーグが実質的に有する議決権比率は56.9%)、共同創業者の1人であるダスティン・モスコビッツは7.6%となっています。
表のClass B株式は一株につき10個の議決権を、Class A株式は一株につき1個の議決権を有することが注(2)に記載されています。
行使価格1円のストックオプション(株式購入権)制度を導入する企業が急増している。米コンサルティング会社、タワーズワトソンの調べによると、6月末までの1年間にこのタイプのストックオプションを役員や従業員に与えた上場企業は前年同期より18%多い200社強に達した。役員退職慰労金の代わりに活用する企業が増えている。
(日本経済新聞2011年10月7日13面)
1円ストックオプションについては、2011年1月28日のエントリーで詳しく説明しました。
(2011年1月28日「役員退職慰労金の代替としての行使価額1円ストックオプション」)
1円というと何だかいかがわしい感じがしますが、行使価格1円を前提に計算されるフェアバリューが報酬として支払われ、同額の新株予約権の引受けがあったとみなされるわけですから、通常のストックオプションと大きく異なるわけではありません。
1円ストックオプションは、上場企業が役員退職慰労金の代わりに活用するケースが多いのですが、これは税務上一定の条件を満たせば受領側が退職所得となる可能性があるという通常のストックオプションにはないメリットがあるからです。
この辺も1月28日のエントリーで説明しましたので、興味があればご覧になってください。
税務上の取扱いを除くと、1円ストックオプションは現物株を報酬として付与するのと経済的意味合いは同じです。ところが日本では現物株を報酬として付与することは一般的ではありません。というのは会社法上(及び会計上、税務上)の取扱いが明確ではないからです。
ベンチャー企業では、資本政策上経営陣や従業員に報酬として現物株を付与したい場面が少なからずあります。特にVCから出資を受けている資金需要が旺盛な企業の場合、資金調達の度に経営陣の持株割合が希薄化してしまい、貢献度合いと持分比率に大きな乖離が生じてしまう場合があり、これを回避するために、VCからの出資に合わせる形で経営陣に現物株を付与したいというニーズがあるのです。
「フェイスブック 若き天才の野望」を読むと、米国ではこういう場面では経営陣に現物株が付与されることがわかります。
「サベリンの株式持分は新会社に引き継がれるものの、増資が実行されたり社員に対する報酬の一環としてストックオプションが発行されたりすれば、社員ではないサベリンの持分は必然的に希薄化の対象となる。一方で、引き続いて社員であるザッカーバーグとモスコヴィッツに対しては、会社に対する貢献に見合った新株が発行される」
(これについては、2011年1月22日のエントリーで取り上げました。2011年1月22日「フェイスブックの資本政策」)
日本では先ほど説明した事情により現物株を報酬として付与するのが難しいため、私が関与しているベンチャー企業でも1円ストックオプションによる報酬の付与を試みたことがありますが、課税上の問題もあり、導入には至りませんでした。
日本でも、1円ストックオプションといった裏技ではなく、現物株を報酬として付与することが普通にできるようなインフラを大至急整備して頂きたいものです。
フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた) | |
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交流サイト(SNS)大手のディー・エヌ・エー(DeNA)は25日、南場智子社長が記者会見し、夫の看病を優先するために退任し、守安功取締役が6月25日付で昇格する人事を内定したと発表した。創業者の南場社長は「社業を百パーセント最優先できなくなった」と説明した。南場社長は非常勤の取締役に就く。
(日本経済新聞2011年5月26日13面)
南場さんとは一面識もありませんが、上場までの資本政策から、類まれな強さとしたたかさとしなやかさを感じ、シンパシーを抱いていました。社長退任は残念ですが、引き際も潔くまた好し。旦那さんの完治を心よりお祈りしています。
ディー・エヌ・エーの資本政策については、昔、ダイヤモンド経営者倶楽部の会報に書いたことがありますが、このブログには掲載していなかったので、時間を見つけて近日中にアップします。
1月15日に公開された映画フェイスブックを見てきました。この映画は、「セブン」や「ファイト・クラブ」「ベンジャミン・バトン・数奇な人生」で知られるデヴィッド・フィンチャーが監督の作品ですが、期待に違わぬ素晴らしい映画でした。
映画評については他の方に譲ることにして、映画の中で触れられていたフェイスブックの資本政策について簡単にお話しします。
概要は以下の通りです。
”フェイスブックは、2004年2月にサービスを開始し、それから2ヶ月後の2004年4月半ばにフロリダ州にLLCとして設立。持分は、創立者のマーク・ザッカーバーグが70%、CFOのエドゥアルド・サベリンが30%。
2004年夏にナップスターの創立者、ショーン・パーカーが参画し、弁護士と共に新会社をデラウェア州に設立し、フェイスブック事業を引き継ぐ。
持分は、ザッカーバーグが51%、サベリンが34.4%、共同創立者であるダスティン・モスコヴィッツが6.81%、パーカー6.47%、残りが設立事務を処理した法律事務所に付与。この時にサベリンがサインした契約書には、すでに社員ではないサベリンの持分は今後希釈化することが書かれたいたが、サベリンはそのことに気付かずサインしてしまう。
その後VCから投資を受け入れた時点で、サベリンの持分は1%以下まで大きく希釈化。サベリンはザッカーバーグを訴えた。”
このくだりを見ていて、サベリンがサインした契約書はどのような内容であったのか、ということがとても気になり、映画を見終わったその足で「フェイスブック 若き天才の野望」という本を購入し、この辺りのことが書かれていないかページをめくったところ次の記述がありました。
「サベリンの株式持分は新会社に引き継がれるものの、増資が実行されたり社員に対する報酬の一環としてストックオプションが発行されたりすれば、社員ではないサベリンの持分は必然的に希薄化の対象となる。一方で、引き続いて社員であるザッカーバーグとモスコヴィッツに対しては、会社に対する貢献に見合った新株が発行される」
この「会社に対する貢献に見合った新株」の付与は、ストックオプションによるものかパーフォマンス・シェア・プランにより現物株が付与されたのかのいずれかであると思われます。
現在の米国企業のインセンティブプランは、ストックオプションよりもパーフォマンス・シェアの重要性が増してきていると言われていますが、日本では制度設計の困難さ、及び会計・税務の取扱いが明確になっていないことから、ほとんど利用されていません。
映画の中で資本政策について触れられているのはこれだけですが、本の中では他にも興味深いエピソードが紹介されています。その辺についてはまた別の機会にお話しします。
余談ですが、映画「フェイスブック」の音楽はナイン・インチ・ネイルズのトレント・レズナーが担当していて、これがなかなかに格好いい!
フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた) | |
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デビッド・カークパトリック 小林弘人 解説
日経BP社 2011-01-13 |
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