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取締役の業績連動報酬、算定方法の開示広がる

上場企業の間で、取締役などの業績連動報酬について、金額の算定方法を具体的に開示する動きが広がっている。報酬と業績の関係を明確にして報酬算定の透明性を高める狙い。株主や投資家にとっては投資や議決権行使の判断材料として使える利点がある。
(日本経済新聞2011年10月8日13面)

【CFOならこう読む】

役員報酬の決定方針を明示している主な企業の、有価証券報告書における開示内容は以下の通りです。

こうして眺めて見ると、1円ストックオプション型の株式報酬が散見されるようになって来ていることにあらためて気がつきます。

◯中期の業績に連動

資生堂

「役員報酬は、固定報酬である「基本報酬」と業績目標の達成度や株価によって変動する業績連動報酬によって構成され、固定報酬の比率を40%程度、業績連動報酬の比率を60%程度としております。業績連動報酬は、毎年の連結業績に応じて支給される「賞与」のほか、3ヵ年計画終了年度終了後に目標達成度に応じて支給する「中期インセンティブ型報酬」としての金銭報酬、株主の皆さまとの利益意識の共有を主眼とした「長期インセンティブ型報酬」としての株式報酬型ストックオプションで構成されております。この業績連動報酬は、取締役と執行役員に単年度だけでなく、中長期的視野をもって、業績や株価を意識した経営を動機付ける設計としております。
業務執行から独立した立場である社外取締役及び社外監査役の報酬については、業績連動報酬は相応しくないため、固定報酬のみとしております。
役員報酬の金額については、同業あるいは同規模の他企業と比較して、当社の業績に見合った水準を設定しております。基本報酬は株主総会で決議された月額報酬枠の範囲内で支払われており、業績連動報酬は、「賞与」、「中期インセンティブ型報酬」としての金銭報酬、「長期インセンティブ型報酬」としての株式報酬型ストックオプションともに、株主総会に諮っております。
なお、役員退職慰労金制度は、平成16年度に廃止しました。」

荏原製作所

「当社の取締役の報酬に関する方針は、代表取締役社長及び社外取締役2名により構成される報酬委員会による検討結果を参考に、取締役会の決議により決定しています。
監査役報酬の方針については、監査役会の協議により決定しています。
当社は、経営理念に合致した業務遂行・監督を促し、中長期的な経営戦略の達成を強く動機付けることを目的として、取締役に対する報酬制度を設計しています。個人別の報酬は、「基本報酬」、「業績連動年次賞与」及び「長期インセンティブ」で構成し、業績に対する責任が重い上位の役位ほど業績連動割合を高めています。
(ア)「基本報酬」は、原則として会社や個人の業績に関わらず、代表権の有無、取締役兼務の状況及び執行役員役位に応じて、月額固定にて支給する。
(イ)「業績連動年次賞与」は、株主等ステークホルダーへの説明責任と役員へのインセンティブを重視し、会社の利益に応じて賞与原資を決定し、目標の達成度に応じて賞与原資を配分する仕組み(プロフィット・シェアリング型賞与)とする。
(ウ)「長期インセンティブ」は、短視眼的な経営行動に陥らないように、また、株主の利害との一致の観点から、当社の中長期の業績及び株価に連動する株式報酬型ストックオプション(1株あたりの権利行使価額を1円とする譲渡制限付き新株予約権の付与)とする。」

◯利益額や指標の実績に連動

THK

「当社は役員の報酬等については、取締役の報酬総額を月額100百万円以内にて、役職・役割に応じて安定的に支給する確定金額報酬と、支給対象たる事業年度における連結当期純利益の額に3%を乗じた額に、当該事業年度を含む直近4事業年度の連結当期純利益の額の平均額に3%を乗じた額を加算した額を上限とする業績連動型報酬により構成されております。
業績連動型報酬については業績の貢献度合いに応じてその額を決定しております。」

ディスコ

「・報酬ミックス
取締役の報酬は、(a)毎月支給される基本報酬、(b)取締役賞与、(c)通常のストック・オプション、(d)株式報酬型ストック・オプションの4種類で構成しています。このうち、(a)のみが固定的報酬で、(b)~(d)は全て業績連動報酬です。固定的報酬と業績連動報酬の比率は、標準的な目標業績を達成した場合は、1.00対0.94~1.00 とほぼ半々になっています。
・業績連動報酬の仕組み
取締役賞与は短期インセンティブとして位置付け、役位別基準額をベースに、連結・単体の売上高経常利益率に基づいて変動させる仕組みになっており、変動幅は、0~4.5倍となっています。
通常のストック・オプションは、中期インセンティブとして位置付け、役位ごとに基準額を設定し、権利付与の2年後から6年間権利行使可能としています。
株式報酬型ストック・オプションは、従来の退職慰労金に代わるもの(退職慰労金制度は平成16年6月に廃止)で、長期インセンティブとして位置付け、退任した後に限り権利行使可能(ただし、付与日から20年間)としています。 」

KDDI

「取締役の報酬は、各事業年度における業績の向上並びに中長期的な企業価値の増大に向けて職責を負うこと
を考慮し、定額報酬と役員賞与で構成しております。定額報酬は、各取締役の職位に応じて、経営環境等を
勘案して決定しております。役員賞与は、当事業年度の当社グループの業績・担当部門の業績並びに個人の
業績評価に基づいて決定しております。
なお、取締役の経営責任を明確にし、業績向上に対するインセンティブを一層高めるため、2011年度以降の役員賞与については当該事業年度の連結当期純利益の0.1%以内の業績連動型の変動報酬といたします。この変動枠につきましては、当社グループを取り巻く環境の変化に迅速に対応しながら、持続的成長及び新たな時代を先導していくとの経営目標に対する取締役の責任を考慮して設定したものであります。」

◯目標に対する達成度に連動

エーザイ

「<取締役の報酬等>
取締役の報酬等は、基本報酬、およびストック・オプションで構成しております。
「基本報酬」
・基本報酬は定額制としております。
・取締役会の議長、各委員会の委員長には、当該職務に対する報酬を加算しております。
・社内取締役には、常勤の取締役としての業務に対する対価を加算しております。
「ストック・オプション」
・ストック・オプションは全取締役(執行役兼任者を除く)に対して1,000株単位で付与株式数を定めて付与しております。
・取締役のストック・オプション行使に関連して、当社は取締役に対して貸付および債務保証は行っておりません。

<執行役の報酬等>

執行役の報酬等は、基本報酬、賞与(業績連動型報酬)、およびストック・オプションで構成しております。
「基本報酬」
・基本報酬は役位別の定額制としております。
「賞与」(業績連動型報酬)
・賞与(業績連動型報酬)は、全社業績および代表執行役社長から提案される各執行役の評価の妥当性を審査し、下図の計算式により報酬委員会で決定しております。
・賞与の算定基礎額は総現金報酬(基本報酬と賞与基礎額の合計)の20%としております。

計算式

(注)

1 執行役の賞与は基礎額を100として180%~0%の範囲で支給されます。
2 全社業績達成度は、連結売上高、連結営業利益、連結当期純利益および連結株主資本利益率を評価指標として決定しております。
3 個人業績達成度は、各執行役の個別業績目標の達成度に基づき、代表執行役社長から提案される個人別評価を報酬委員会が審査のうえ承認しております。なお、個人業績目標は、各執行役が具体的な業績目標を掲げて優先度に応じて配点ウエイトを定め、代表執行役社長との協議のもとに設定し、報酬委員会がその妥当性を審査のうえ承認しております。

「ストック・オプション」

・ストック・オプションは、役位別に付与株式数を1,000株単位で定め付与しております。
・執行役のストック・オプション行使に関連して、当社は執行役に対して貸付および債務保証は行っておりません。」

東京エレクトロン

「当社は、業績や株主価値との連動性を高めるとともに、企業競争力強化及び経営の透明性向上につなげることを目的とした役員報酬制度を採用しております。
取締役の報酬は、固定的月額報酬と業績連動報酬とで構成しております。また監査役については、その経営に対する独立性に鑑み、固定的月額報酬のみとしております。なお、固定報酬的色彩の強い取締役・監査役に対する役員退職慰労金制度につきましては、第43期以降廃止しました。
社外取締役及び社内取締役から構成される報酬委員会は、代表的なハイテク企業の報酬水準比較を行った上で、取締役会に対し役員報酬制度及び代表取締役の個別報酬内容についての提案を行っております。
取締役の業績連動報酬制度につきましては、第48期(当事業年度)から企業価値・株主価値向上に対する要素をより明確に報酬に連動させるため、評価指標として従来からの業績連動指標である連結当期純利益に、連結株主資本利益率「ROE」の達成度を加味することとし、当期の重点経営目標指標、特殊な損益及び考慮すべき特殊要因等がある場合は必要な調整を行います。業績連動報酬は現金賞与と株式報酬とで構成され、その構成割合は従来、概ね現金賞与と株式報酬の割合を2対1としておりましたが、株式報酬の割合をより高め、1対1とします。なお、業績連動報酬額は年間固定報酬の5倍の金額を上限とします。株式報酬につきましては、「権利行使価額を1株につき1円に設定した新株予約権」を付与することとし、3年間の権利行使制限期間を設定しております。」

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なし

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2010年3月決算企業の有価証券報告書の株主総会前提出

上場企業の間で、定時株主総会前に有価証券報告書を開示する動きが徐々に広がっている。3月期決算企業で総会前開示を行う企業は18社と前年から4社増える見通しだ。ヤマトホールディングスなどが開示に踏み切っており、株主や投資家への情報開示を充実する狙いがある。
(日本経済新聞2011年6月15日15面)

【CFOならこう読む】

2009年12月の「企業内容等の開示に関する内閣府令」の改正により、有価証券報告書を定時株主総会前に金融庁に提出することが可能になりました。それ以前は有報の添付書類として、総会で提出した計算書類と事業報告書を求められていましたが、総会で報告・承認予定の内容の添付で済むように変更になっています。

株主総会前に有価証券報告書を提出する(又は提出する予定の)主な企業は次の通りです。

提出日 総会日
滋賀銀行 9日 24日
三洋化成 10日 17日
大阪証券取引所 14日 22日
鳥居薬品 16日 22日
松井証券 20日 26日
ヤフー 22日 23日
ヤマトHD 24日 28日
日産化学工業 27日 28日

(前掲紙)

こう書いてみて、株主総会の集中日である29日に株主総会を開催する企業がないことに気づきました。株主を大切に考えているのでしょうね。

ヤフーのように、総会日の前日提出であっても、株主にとっては有益でしょう。CFOの負荷は重くなりますが、早期開示に向けて努力する必要があるように思います。

【リンク】

なし

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役員報酬開示の副作用

資生堂の前田新造社長は15日、日本経済新聞記者に会い、株主総会前に役員報酬を個別開示したことについて「役員報酬に関する当社の考え方を株主に理解してもらい、意見があれば議論してほしいと考えた」と述べた。同社は前田社長を含む3役員の報酬を総会前に開示している。
(日本経済新聞2010年6月16日11面)

【CFOならこう読む】

本件については、6月5日のエントリー「有価証券報告書、総会前開示10社」で取り上げました。

-報酬が1億円以上の役員に個別開示を求める規制をどう考えるか
1億円以上という枠は疑問だ。何を基準に1億円以上なのか。思想もよくわからない。当社は経営全体に責任を負う代表取締役は金額の多寡にかかわらず、個別開示すべきだと考えた。したがって6600万円だった岩田喜美枝副社長についても任意で開示した

-外国人のフィッシャー専務の報酬は1億4千万円と、前田社長の1億2千万円を上回った
グローバル企業の争奪戦になる。欧米の優秀な経営者を招くには欧米流の報酬が必要だ。ただ、長期的には日本人と外国人の役員報酬について擦り合わせが必要になるかもしれない」(前傾紙)

思想は、高すぎる報酬はヨロシクナイ、開示させれば1億円以上の報酬の支払はそうそうしなくなる、ということでしょう。

しかし、希少な資源である経営者の報酬はグローバルな市場で決定されるもので、いくら日本の政治家が高過ぎる報酬が望ましくないと思っても、そんなこととは無関係に報酬の水準は市場で決まるのです。

しかし個別開示のおかげで日本人と外国人の報酬の格差が明らかになり、逆に役員報酬の底上げにつながるのではないか、そんなことを前田社長のインタビューを読んで思いました。

【リンク】

なし

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有価証券報告書、総会前開示10社

企業の「1年間の成績表」ともいえる有価証券報告書(有報)を、定時株主総会の前に開示できる制度が今年から始まった。金融庁が株主の議決権行使の判断材料にしてもらおうとルールを改正したが、3月期決算の上場企業のうち2010年3月期決算の有報を総会前に開示するのは10社、全体の0.4%にとどまりそうだ。企業側の事務負担が重く、定着には時間がかかるとの見方が多い。
(日本経済新聞2010年6月5日13面)

【CFOならこう読む】

この制度の概要については、今年1月7日にご紹介しました(「有価証券報告書の株主総会前提出」)。

結局今年の総会前開示は次の10社にとどまりました。

滋賀銀行
共成レンテム
鳥居薬品
フュートレック
いい生活
松井証券
保土谷化学工業
カルチュア・コンビニエンス・クラブ
日産化学工業
トラスコ中山

「株主総会前に有報を開示しない企業でも、資生堂のように、株主の関心が高い個別役員報酬額を総会用の事業報告書に追加で記載するところも出ている。今後はこうした次善の策で対応する企業が増える可能性がある」(前掲紙)

資生堂は事業報告の

5.当社の役員に関する事項
(5) 取締役および監査役の報酬等
③代表取締役および報酬等の総額が1億円以上である取締役の当期に係る報酬等の種類別の額

において、代表取締役2名と取締役1名の基本報酬、賞与、ストックオプションの金額を開示しています。

【リンク】

資生堂グループ「事業報告」[PDF]

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有価証券報告書の株主総会前提出

有報は金融商品取引法が規定する開示資料だ。上場企業は各事業年度終了後3ヶ月以内に金融庁へ提出する義務がある。これまでは総会で報告した計算書類などの添付が必要だったため、企業は事実上3ヶ月以内ぎりぎりの総会後に有報を提出していた。だが、12月11日に有報の総会前提出に関する内閣府令の改正が公布・施行され、総会前の任意開示が可能になった。
(日本経済新聞2010年1月7日14面)

【CFOならこう読む】

「有価証券報告書の株主総会前提出企業が有価証券報告書を定時株主総会前に金融庁に提出すること。2009年12月の「企業内容等の開示に関する内閣府令」の改正で可能になった。金融商品取引法では有報の添付書類として、総会で提出した計算書類と事業報告を求めていたが、今後は総会で報告・承認予定の内容の添付で済む。総会で決議事項が修正・否決された場合は、臨時報告書の提出が必要だ。2009年12月31日以後の修了の事業年度の有報に適用する。義務付けはない」(前掲紙)

この改正に関し次のようなパブリックコメントとして、

「有価証券報告書は詳細な情報提供を投資家 に対して行うという目的で時間をかけて作成されるものであり、早期化を目指すべきではない」

という意見が寄せられていました。

今日の記事中にある、次の意見も趣旨としては同様のものです。

「今さら総会前に有報を提出して意味があるのか」(エーザイ幹部)
「財務部門だけでなく、内部統制委員会でも十分議論したうえで作成しており、提出には時間が必要」(花王 三田慎一取締役)

ーザイにしても花王にしてもIRに力を入れている会社なので、説得力があります。

これに対し金融庁は次のように答えています。

「本改正の目的は、株主及び投資者に対する経営者の説明責任をより徹底する観点から、有価証券報告書及び内部統制報告書を株主総会に先立って提出しようとする有価証券報告書提出会社の提出を可能とするために行なうものです」

要するに総会前に有報の提出をしたい会社はご随意にどうぞ、ということです。株主としては早い開示が望ましいわけで、同業他社が総会前に開示を行う場合、「当社は時間が必要」では通らないような気がします。

有報は「詳細な情報を正確に記載する点を重視」すべきものではありますが、さらに早期の開示が出来るのであればそれはそれで望ましいと言えます。CFOの負荷は重くなる一方ですが、早期開示に向けて努力する必要があるように思います。

【リンク】

「企業内容等の開示に関する内閣府令」[PDF]
「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)」等に対するパブリックコメントの概要及びそれに対する金融庁の考え方」[PDF]

カテゴリー: 開示 タグ:

BNPパリバに過怠金10億円超

パリバ不正利益没収へ アーバンコーポ問題で日証協 過怠金10億円超も

日本証券業協会は2日、BNPパリバ証券に対して経営破綻したアーバンコーポレイションとの不適正な取引で得た利益を没収する過怠金処分を科す方向で検討に入った。資本市場や証券業界の信頼を損なう行為の責任は重大だと判断しているため、過怠金の規模は10億円を超え、過去最大となる公算が大きい。
(日本経済新聞2008年2月3日1面)

【CFOならこう読む】

本件については、昨年9月12日、本年1月8日及び1月9日に取り上げています。
以下事件の概要を再掲します。

「7月11日 2010年満期 総額300億円のCBをバリバ向けに発行転換価格 344円(開示日6月26日の終値)資金使途 財務基盤の安定性確保に向けた短期借入金を始めとする債務の返済に使用する予定破綻まで存在が隠されていたスワップ契約の概要
7 月11日 BNP パリバに300 億円を支払う
パリバは手元にあるCBを株式に転換したうえで、市場の売買高の12~18%に相当する株数を市場で売却。
”売却した株数×その日の市場の売買高加重平均株価の90%”に相当する金額を日々アーバンコーポレイションに支払う。
出来高加重平均株価の算定の基礎となる株価に一定の下限を設定」

「実際の調達額は91億円。この契約(スワップ契約)はアーバンコーポが破綻するまで開示されず、300億円の資金を調達できたとみていた一般投資家を含む幅広い市場参加者を欺く行為として批判された。」
(日本経済新聞2009年1月8日4面)

CBとスワップ契約を一体のものとしてみると、MSCBとほぼ同じものになるにも関わらず、この片側のみしか開示しなかったことが東証の適時開示規則に違反している点が特に問題となりました。

金融庁はBNPパリバに対し業務改善命令を発動したものの、課徴金は科していません。
これに対し、日本証券業協会は

「証券業界全体の評価に関る話。きちっと対応したい」(増井喜一郎副会長)

として、厳格な処分を行う方針を明確にしました。

金融庁ではなく、民間の自主規制団体である日本証券業協会が規制機能を発揮するのは望ましい方向であると思います。

「本件CB スワップ組合せ取引により、アーバン社が調達した金額は91 億2559 万8771 円、BNPP グループの収益は11 億7976 万9077 円でした。」
(”BNP パリバ証券会社東京支店 外部検討委員会の調査結果の公表について”より)

過怠金はこの金額を基に決定されるとのことですが、不正利益を没収するだけでは規制としては緩く、罰金も徴収できるよう更なる規制強化が必要であると私は思います。

【リンク】

なし

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インサイダー規制及び適時開示規定に、軽微基準-子会社解散公表不要に

小規模子会社の解散 公表不要に 「コマツ処分」機に見直し

金融商品取引法改正に伴う内閣府令の改正で、子会社解散に関するインサイダー規制に軽微基準が新設された。業績などへの影響の小さい小規模子会社なら解散しても規制の対象外となる。東京証券取引所も業務規定を見直し、企業は適時開示せずに済む。インサイダー条項の緩和は珍しい。規制や開示の在り方に一石を投じている。
(日本経済新聞2009年1月29日14面)

【CFOならこう読む】

実務上重要な改正であると思いますので、条文の内容を具体的に書き記しておきます。上が金商法改正に伴う内閣府令の改正、下が東証の上場規定施行規則の改正の内容です。

■有価証券取引等の規制に関する内閣府令の改正-インサイダー取引規制の軽微基準の見直し
52条5-2新設
解散による当該上場会社等の属する企業集団の資産の減少額が当該企業集団の最近    事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であると見込まれ、当該解散の予定日の属する当該企業集団の事業年度及び翌事業年度の各事業年度においていずれも当該解散による当該企業集団の売上高の減少額が当該企業集団の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満であること。
(2008年12月12日施行)

■有価証券上場規程施行規則-上場会社の適時開示について子会社の解散に係る軽微基準を新設
403条第5号の2新設
(子会社等の決定事実に係る軽微基準)
第403条 規程第403条に規定する投資者の投資判断に及ぼす影響が軽微なものとして施行規則で定める基準のうち同条第1号に掲げる事項に係るものは、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定めることとする。ただし、規程第402条第1号qに規定する上場外国会社(当取引所が必要と認める者に限る。)については、当取引所が定めるところによる。

(5)の2 規程第403条第1号fに掲げる事項次のaからdまでに掲げるもののいずれにも該当すること。
a 当該解散による連結会社の資産の額の減少額が直前連結会計年度の末日における連結純資産額の100分の30に相当する額未満であると見込まれること。
b 当該解散による連結会社の売上高の減少額が直前連結会計年度の売上高の100分の10に相当する額未満であると見込まれ
ること。
c 当該解散による連結会社の連結経常利益の増加額又は減少額が直前連結会計年度の連結経常利益金額の100分の30に相当する額未満であると見込まれること。
d 当該解散による連結会社の連結当期純利益の増加額又は減少額が直前連結会計年度の連結当期純利益金額の100分の30に相当する額未満であると見込まれること。
(2008年12月12日施行)

【リンク】

平成20年12月「平成20年金融商品取引法改正に係る政令案・内閣府令の概要」金融庁総務企画局

「平成20年金融商品取引法等の一部改正に伴う業務規程等の一部改正新旧対照表」