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デルMBO株主承認

米IT(情報技術)大手のデルは12日、臨時の株主総会を開き、創業者のマイケル・デル最高経営責任者(CEO)が提案したMBO(経営陣が参加する買収)案を承認した。
(日本経済新聞2013年9月13日7ページ)

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2月7日「デル、MBOで非上場」、3月13日「デル、MBOで非上場 その2」のエントリーの続報です。

「米テキサス州ラウンドロックのデル本社で開かれた臨時の株主総会で、デル氏と米投資ファンドのシルバーレイク・パートナーズが示したMBO案は開会早々に承認された。デル氏側は、1株あたり現金13・75ドルでデルの全株式を買収するほか、1株あたり0・13ドルの特別配当などを支払う。」(前掲紙)

2月のエントリーでは、総額244億ドルのMBOと書きましたが、カール・アイカーン氏等の抵抗に合い、249億ドルまで引き上げて株主の承認を得たということです。

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デル、MBOで非上場 その2

11日のダウ工業株30種平均は5日連続で過去最高値となったが、浮かれたムードはない。むしろ市場では「経営者」と「株主」の対立による緊張が高まりを見せる。震源は米IT(情報技術)大手のデルだ。2月初旬に創業者のマイケル・デル最高経営責任者(CEO)と米投資ファンドが共同で買収し、株式を非公開化すると発表。買収総額が約244億ドル巨額だったことが話題を呼んだが、話はこれで終わらなかった。
(日本経済新聞夕刊2013年3月12日3ページ)

【CFOならこう読む】

2月7日のエントリー「デル、MBOで非上場」の続報です。

「新たに登場したのが米国を代表する「物言う株主(アクティビスト)」のカール・アイカーン氏。3月に入って、まとまったデル株の投資を始めたことが判明。デルCEOが主導する株式の非公開化が株主から承認されなかった場合、株主に対して直ちに特別配当をするように要求した。」(前掲紙)

カール・アイカーン氏は株式非公開化の代わりにレバレッジド・リキャピタリゼーション(負債による資本再構成)と1株当たり9ドルの配当支払いを求めているとのことです。

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デル、MBOで非上場

米IT大手デルが大きな賭けに踏み出した。創業者でもあるマイケル・デル最高経営責任者と投資ファンドが組んだ総額244億ドル(約2兆2700億円)のMBOで株式を非公開にする。デル氏に権限を集中させ、事業構造の柱をパソコンから法人向けやITサービスに転換する狙いだが、市場から十分な資金調達できなくなる可能性もはらむ。
(日本経済新聞2013年2月7日7ページ)

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「デルは投資ファンドやマイクロソフトから資金を借り入れるなどしてMBOを実施する。「構造改革には時間も投資も忍耐も必要だ。長期的に支援してくれるパートナーと組むことが良いと信じている」。デル氏は5日、全世界の従業員にメッセージを送った。この発言から浮かび上がるのは、非公開会社にすることで、投資家への情報開示に縛られずに長期的な視点で構造改革を進める姿勢だ。」(前掲紙)

買収価格は1株当たり13.65ドル。この価格は、案件が公表された1月11日の株価10.88ドルに対し25%のプレミアム、1月11日までの90日間の平均株価に対し37%のプレミアムを付した水準になります(Dell Web Site:  http://content.dell.com/us/en/corp/d/secure/2013-02-04-michael-dell-silverlake-acquisition.aspx)。

マイケル・デルが組む投資ファンドは、シルバーレイク・パートナーズ、総額244億ドルのMBOになります。ロイター 2013年2月6日の記事によると、必要資金のうち、金融機関からのファイナンシングパッケージで150億ドルを調達、またマイクロソフトから20億ドルの融資を受けるとのことで、2007年以来最大のLBO案件となります。。

別のロイターのコラムによると、マイケル・デルがエクイティの約4分の3を拠出するということで、文字通りのMBO案件となりそうです。

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シンガポールのウットラム社、日本ペイントにTOB

2013 年 1 月 22 日 コメント 1 件

日本ペイントは21日、シンガポールの塗料大手ウットラムグループからTOB(株式公開買い付け)の提案を受けたと発表した。ウットラムは日本ペイントに14・5%を出資する筆頭株主。アジアを中心とする新興国での事業拡大をにらみ出資比率を約45%まで高めたいとしており、事実上の買収提案となる。日本ペイントは「内容を現在確認・検討中。対応については追って速やかに開示する」とコメント。塗料分野で世界5位の企業連合づくりの是非を慎重に見極める構えだ。
(日本経済新聞2013年1月18日9ページ)

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「ウットラムは香港子会社のニプシー・インターナショナルを通じ、日本ペイント株を1株900円で8000万株を上限に買い付けを目指すとみられる。その場合の取得総額は最大720億円。取得額は21日終値(809円)を11%上回る。」(前掲紙)

ウットラムと日本ペイントは50年以上にわたって協力関係を維持しており、今回の買収提案は2代目のゴー・ハップジン氏が熟慮の末決めたものと見られています。

日本ペイントは、以下の内容の買収防衛策を導入しており、今後これに照らし対応を検討することになります。

「当社は、当社株式に対する大規模買付行為が行われた場合において、株主の 皆様に十分な情報提供が行われることを確保するとともに、企業価値および株 主共同の利益を毀損する買付行為を防止するため、平成19年6月28日開催の第 182回定時株主総会において株主の皆様にご承認いただき、特定株主グループ の議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株式の買付行為、または 結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となるような当社株式の 買付行為に関する対応方針として、「当社株式の大規模買付行為に関する対応 方針」(以下「本対応方針」といいます。)を導入いたしました。また、平成22 年6月29日開催の第185回定時株主総会において株主の皆様のご承認をいただ き、これを継続しております。
本対応方針は、大規模買付者が当社取締役会のあらかじめ定める手続に従わ ない場合、または当該大規模買付行為が当社の企業価値あるいは株主共同の利 益に回復しがたい損害をもたらすものであると判断される場合には、当社取締 役会の決議により、当該大規模買付者等は行使することができないという行使 条件を付した新株予約権の株主割当を実施し、当該大規模買付行為による損害 を防止いたします。なお、かかる判断にあたっては、当社取締役会から独立し た第三者機関である独立委員会の勧告を最大限尊重します。

本対応方針は、大規模買付者が基本方針に沿う者であるか否かを株主の皆様 および当社取締役会が判断するにあたり、十分な情報提供と判断を行うに相当
な期間を確保するために定めるものであり、特定の株主または投資家を優遇し、 あるいは拒絶するものではありません。また、対抗措置として新株予約権を発 行するのは、当該大規模買付行為が当社の企業価値あるいは株主共同の利益に 回復しがたい損害をもたらすものであると判断される場合など、厳重な客観的 要件を充足する場合に限定されるとともに、その発行の是非の判断にあたって も、独立委員会の中立公正な判断を重視することとしており、当社取締役会の 恣意的判断を排除しております。対抗措置として発行する新株予約権ならびに その行使条件についても、あらかじめその内容について開示を行うなど、企業 価値向上および株主共同の利益確保に必要かつ相当な範囲内の対抗措置である と考えます。
したがって、当社取締役会は、前記3の取組みは基本方針に沿うものであり、 株主共同の利益を損なうものでないとともに、役員の地位の維持を目的とする ものでないと判断いたしております。」(2012年3月期 事業報告より抜粋)

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【 M&A箴言集 】キヤノン 田中稔三副社長

ー世界景気の先行きは不透明になるなかで、手元 資金の使い道をどう考えていますか。 「世界の景気動向に関係なく、最も重要なのは成 長力の維持だ。新しい事業として医療や 安心・安全の分野、産業用ロボットに注力してい る。次は株主還元。当社はリーマン・ ショック以降、1度も減配していない」(前掲紙) (日経ヴェリタス2012年10月24日3面)

【 CFOならこう読む 】

「 ー 医療機器の分野ではM&Aに意欲を示してきま したが、なかなか案件が出てきません。 「キヤノンの独自技術が生かせる分野に出たいと 考えている。ただ、グローバル企業で 企業間の技術格差が縮まっているので、そうした 分野を見つけるのは難しくなっている。 買収対象として魅力的な企業が出てきたとして も、他の会社も目を付けているので、 買収価格がどんどんつり上がってしまう。当社は 買収を提案する前に、相乗効果などを 入念に計算するので、実際に交渉に入るまでの ハードルが高い」 (前掲紙)

経営者としては、欲しいと思った企業はいくら 払っても手に入れたいと思うものです。 そう言う意味では、事前に価格の上限を定めてお くことは非常に重要だと思います。

このインタビュー記事のなかで、田中副社長は、 「必要以上にキャッシュを寝かして おくのは、もったいない。余剰分は、資金効率を 改善するのに自社株買いに使うのが 良い」とも話しています。

この”もったいない”という言葉は、株主からの視 点がないと出てこない言葉です。

交渉前に買収価格の上限を定めている点もそうで すが、株主価値創造という基軸が、 意思決定のプロセスにきちんと組み込まれているように感じます。

日本ではまだまだ稀有な存在ですが、上場会社は かくあるべき、と私は思います。

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中国博奇、TOB経ずMBO

発電所向け脱硫黄のチャイナ・ボーチー・エンバイロメンタル・ソリューションズ・テクノロジー(中国博奇)が、MBOを実施する。11月に上場廃止となる予定。
(日経ヴェリタス2012年8月5日22面)

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「MBO実施にあたり、チャン・リーチェン会長やツォン・ジージュン副会長らが特定目的会社「CBES」を設立した。株主総会での承認を経て、CBESが少数株主が保有する中国博奇株を1株当たり6000円ですべて買い取った後、合併する。TOBは実施しない。東証によると、TOBを経ずに現金交付合併のみで上場会社のMBOが実施されるのは国内で初めてという」(前掲紙)

チャイナ・ボーチー、SPCであるCBESともにケイマン会社法に基づき設立された会社である点が本件の特徴的なところです。

例えば株式買取請求の手続きもケイマン会社法に従って行われます。

しかし、多くの日本人株主にとってこの手続きに参加することは困難であると考えられるため、以下のように日本法に基づき株式買取請求が行えるよう一定の手当を行っています。

「CBESは、上記のケイマン会社法上の手続に加えて、本合併に際して交付される金額(当社普通株式1株あたり6,000円)に異議がある当社の株主様(以下、②において「反対株主様」といいます。)と当社との間で一定の手続に従って価格決定合意を締結し、株主様が日本法に基づき日本の裁判所に対して公正な価格についての判断を求めることを可能にし、もって、当社の株主様において、本合併の是非について、適切に判断する機会を確保できるよう配慮することといたします。」
(「MBOの実施及びシー・ビー・イー・エス・ホールディングス・リミテッドと当社との間の吸収合併の合意に関するお知らせ」11頁)

交付金額の6,000円は、2012年7月26日の当社株式の東京証券取引所における終値(3,005円)に約99.67%のプレミアムを、過去1ヶ月間(2012年6月27日から2012年7月26日まで)の終値単純平均(3,120円)に約92.30%のプレミアムを、過去3ヶ月間(2012年4月27日から2012年7月26日まで)の終値単純平均(3,131円)に約91.62%のプレミアムを、過去6ヶ月間(2012年1月27日から2012年7月26日まで)の終値単純平均(3,431円)に約74.87%のプレミアムを加えた額に相当するとのことです。

なお、本合併がマネジメント・バイアウト(MBO)の方法により行われるものであり、構造的な利益相反の問題が存在すること等を踏まえ、本合併対価の公正性の担保、本合併の実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避の観点から、以下のような措置が実施されています。

・独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
・第三者委員会の設置
・独立した法律事務所からの助言
・利害関係を有しない当社取締役全員の承認
・本合併対価の公正性を担保する客観的状況の確保
・少数株主の半数の反対がないこと

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チャイナ ·ボーチー · エンバイロメンタル·ソリューションズ·テクノロジー(ホール ディング)カンパニー·リミテッド IR情報

 

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旭テックに対する2回目のTOB開始

自動車部品メーカーの旭テックに対するATCホールディングス2号株式会社のTOBは、締め切り日が当初予定の3月26日から4月5日に延長された。今回のTOBは国内で初めて採用された「2段階TOB」の2回目にあたる。1回目は大株主から買い付け、2回目は一般株主からより高い価格で買い取る。
(日経ヴェリタス2012年3月26日27面)

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本件の概要を、会社説明資料より抜粋します。

◯ユニゾン・キャピタル・グループ(UC)に属する投資ファンドがその発行済株式の全てを保有している ATCH1及びATCH2は、公開買付け(TOB)等により旭テック発行の全株式を取得し、旭テックをUC の100%傘下とする予定です。

◯旭テックはUCによる本件計画の一環として行われる第1回TOBに賛同の意見を表明します。
第1 回TOBにおける買付価格については意見を留保しますが、第2回TOBが行われた場合には、第2回TOB に賛同し、旭テック株主に対して第2回TOBに応募することを推奨するべき旨、及び、その後の普通株式の 全部取得の手続を実施することも相当である旨の意見を表明します。

◯UCによる本件計画のポイント

1.優先株の取得
●TOBに先立ち、ATCH1がA種優先株式、B種優先株式について発行済の 全てを取得 (RHJIと東京海上から)

2.普通株の取得
●ATCH2が2回のTOBにより全ての発行済普通株式の取得を目指す
• 1回目はRHJIと東京海上の所有している普通株式の取得を目的として、27円/株(3ヵ月平均に対するプレミアム17.39%)で実施
• 2回目は残る全ての普通株式の取得を目的として、プレミアムを乗せた33円/株(3ヵ月平均に対するプレミアム43.48%)で実施

3.普通株全部取得
※ 旭テックの普通株式の2回目TOBもしくは普通株式の全部取得の決議 を経て上場廃止へ
●2回のTOBで取得出来なかった残りの普通株式の全てを取得する予定(株主総会にて決議)

大株主のRHJインターナショナル(旧リップルウッド)と東京海上日動火災保険は、保有する優先株を一括売却できることなどを理由に、低い価格でのTOB応募に同意したということです。
http://www.nikkei.com/markets/kigyo/ma.aspx?g=DGXNASGC28014_28122011EE1001

なお、本件公表(2011年12月28日)に先立つ、19日に旭テックは業績予想の修正発表を行っています。

【リンク】

2011年12月28日「ATCホールディングス2号株式会社による当社株券に対する公開買付けに関する賛同意見表明のお知らせ」 旭テック株式会社    [PDF

「補足資料」 [PDF] 

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半導体3社、事業統合交渉

ルネサスエレクトロニクスと富士通、パナソニックの3社が半導体の主力事業を統合する方向で協議を始めた。家電製品などに組み込むシステムLSI事業を3社が切り出し、官民ファンドの産業革新機構がが出資して半導体設計の専門会社を設立する。革新機構は半導体を受託生産する新会社を合わせて設立し、経営再建中のエルピーダメモリから広島工場を買収する方針だ。
(日本経済新聞2012年2月8日 1面) 

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こういうリスクの大きい投資を国のカネでやるのはどうかと思います。アメリカであればプライベート・エクイティ・ファンドがこの役割を担っています。

最近ブラックストーンという本を読みました(デビッド・キャリー&ジョン・E・モリス 東洋経済新報社)。

この本は秘密のベールに隠されていたプライベート・エクイティ・ファンドの実態を明らかにしており、必読書といえます。

プライベート・エクイティ・ファンドはレバレッジの利用により、濡れ手で粟のぼろ儲けをしているといったイメージが一般にありますが、この本ではレバレッジの貢献度は著しく低いとした分析結果を紹介しています。

「大手プライベート・エクイティ会社が成長できたのは、過去25年の大半において負債が調達しやすかったためだけではなく、柔軟性があったためである。すなわち好況期には投資先の負債を増やして配当に回すことで投資を回収したり、経営不振の会社の業務改革によって利益を捻出したりする一方、不況期には苦境に陥った会社の債務を売買したり、破産手続きを通じて経営権を握るなど、臨機応変な対応をしてきた。プライベート・エクイティ会社の最大の強みは、その変わり身のはやさであり、その手法は業種や市況に応じて変化する。

相場の変動を利用して儲けることは、企業内のムダを排除したり、研究に出資したり、企業を高付加価値製品の製造にシフトさせたりすることのように、新たな価値を生み出すわけではない。だがそうした行為は、年金基金、大学基金などの投資家に高い投資リターンをもたらしてきた。LBOが企業の価値を損なわないのであれば、プライベート・エクイティによる所有やその特徴である負債比率の高いしほんこうぞうには、上場株式に投資する以上の社会的弊害はないのではないか。

さらに不況期における底値買いにも、資本調達が難しい時期に企業に資金を提供したり、ほかに買い手がいない状況で売り手に流動性を提供するという機能があるーこれも一つの経済的・社会的貢献といえるだろう」(前掲書)

サブプライム後、さすがのプライベート・エクイティ・ファンドも動きを止めていますが、間もなく息を吹きかえし、日本でも活動を再開すると思います。そのときそういった民の活動を官が阻害することがないようにくれぐれもお願いしたいものです。

【リンク】

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MBOで上場廃止最多

MBOで上場廃止になる企業は2011年は19社と、3年ぶりに過去最高となる。
(日本経済新聞2011年12月14日5面)

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「業績が悪化した企業が迅速に事業の見直しを進めたり、内部管理体制の拡充など上場維持に必要な費用を節約するのが狙い。株安で新規上場を目指す企業も低水準にとどまっており、投資家の株離れを加速する懸念もある」(前掲紙)

MBO(経営陣が参加する買収)と言うと本質が良く見えなくなります。MBOというよりLBOという方が実態をよく表しているように思います。
多くのMBOは、(オーナー)経営者が一部又は全部を出資した会社が、対象会社のキャッシュフローを返済原資とした借入を行い、この資金により対象会社を買収するという形をとります。

今日の記事には三條機械製作所とヤマトマテリアルが取り上げられています。

三條機械製作所のMBOは、代表取締役社長である村田氏等により設立された村田商事により行われます。買付総額約70億円の全てを三井住友銀行からの借入により調達しています。
平成23年3月現在の三條機械の株主資本は105億円、総資産152億円、そのうち47億円が現金預金です。

一方、ヤマトマテリアルのMBOは、代表取締役社長で森川氏等により設立された森川ホールディングスにより行われました。買付総額約22億円の全てをみずほ銀行からの借入により調達しています。
平成23年3月現在のヤマトマテリアルの株主資本は32億円、総資産72億円、そのうち36億円が現金預金です。

瓜二つのこのディールが、日本のMBOの典型的な姿です。

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MBOにより今年15社上場廃止、過去最高ベース

MBOによる上場廃止に動く企業が増えている。今年1月-9月のMBOは15社で、昨年の実績を上回った。2011年暦年では3年ぶりに過去最高を更新する公算が大きい。業績が悪化した企業が金融機関の後押しを受けて、経営改革を機動的に進めるのが狙いだ。上場の負担が重いためにMBOが増えている面もあり、投資家の株離れを招くとの声も出ている。
(日本経済新聞2011年10月5日4面)

【CFOならこう読む】

「ワークスアプリケーションズや日本医療事務センターなどのMBOには、投資ファンドが参画した。安い株価水準で投資して企業価値を高め、将来の再上場などで利益を得るのが目的だ。MBOには多額の資金が必要だが、「銀行も利ざやの厚い買収資金の提供には積極的になっている」(ファンド調査会社)という。だが金融機関が深く関与するMBOにはリスクもある。野村証券の西山賢吾シニアストラテジストは「上場廃止後にファンドや銀行の発言権が強まり、改革がうまくいかないと、経営陣が退陣を求められる可能性もある」と話す」(前掲紙)

MBOの本質は、「買収ファンドが相対的に小額の自己資金を株式に投資して、残りの(大半の)買収資金をノンリコース・ローンで調達するLBOの一形態」
(服部暢達「M&A最強の選択」)というところにあります。

買収ファンドはレバレッジを効かせることで、IRR20%というようなハイリターンを狙います。そのためには短期間で業績を改善しExitする必要がありますから、改善が速やかに行われなければ、当然経営陣は退陣を求められる可能性があります。

これはリスクというより必然です。経営陣はそこのところを良く理解した上でMBOに向かう必要があります。

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