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2007 年 5 月 のアーカイブ

テーオーシー、ダヴィンチのTOBに反対表明

ビル賃貸のテーオーシーは25日、不動産ファンド運営のダヴィンチ・アドバイザーズが21日から実施している1株1100円でのTOB(株式公開買い付け)に反対すると発表した。
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20070526AT1D2509E25052007.html

【解きほぐし】

この反対は正当なものなのか?
ダヴィンチの狙いがたとえ「実質的な資産の切り売り」であるとしても、
それをもってこのTOBが「企業価値の本質を無視している」ことにはなりません

テーオーシーのMBO価格が800円であるのに対し、
ダヴィンチのTOB価格は1,100円であるのは、
それだけでダヴィンチに企業価値創造の裏付けがあることを意味します。

本当に企業価値についてうんぬんするつもりがテーオーシー経営陣にあるなら、
TOB合戦に持ち込み、お互いの企業価値創造プランを投資家に評価してもらうべきでしょう。

テーオーシーはMBOの締め切り4日前である5月7日に、
突然みなとみらい地区で開発を予定する複合商業施設の資金調達計画を発表し、
近い将来のエクィティファイナンスを臭わせましたが、
これは昨年北越製紙が三菱商事に行った
第三者割当増資と同じ類の買収防衛策を使ってくるということでしょう。

そもそも非公開化とは当面の資金調達の必要性がないからこそ行われるものです。
買収防衛のためのMBOが不成立となるやいなや、
買収防衛のために第三者割当増資を行ってくるとしたら、
そんな会社が企業価値についてうんぬんすべきではないと思います。

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ヤフー、新CFOに投資銀行家のジョルゲンセン氏を任命

Yahooは米国時間5月15日、次期最高財務責任者(CFO)にブティック型投資銀行Thomas Weisel Partnersの共同設立者Blake Jorgensen氏を起用したと発表した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070516-00000009-cnet-sci

【読みほぐし】

なぜジョルゲンセン氏なのか?
YahooはGoogleの買収攻勢に対抗するために、
M&Aを専門とするジョルゲンセン氏をCFOに登用したものと思われます。

一般にCFOとなる人のバックボーンは、
①会計系、②銀行系、③M&Aディールメーカー系、④金融工学系
の4つに大別できます。

ジョルゲンセン氏は、M&Aディールメーカー系のCFO。

米国ではボーデンバッハ氏をはじめとして、
このタイプのCFOはたくさんいますが、
日本ではソフトバンク時代の北尾氏くらいしか思い当たりません。

しかし、今後の大買収時代に向けて
日本でも増えて来ることは間違いないでしょう。

これからCFOを目指す人は、
自分がどの型のCFOになるのかを考えてみるのもよいでしょう。

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上場企業の半数が配当増、前期・総額は最高の5兆円弱

2007年3月期に前の期より配当を増やす企業は816社とほぼ2社に1社の割合。配当金の総額は前の期から19%増えて4兆9817億円と過去最高となった。
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20070525AT2D2301S24052007.html

【読みほぐし】

増配は何のため?
増配は株主価値に無関連である、というのはMMの配当無関連命題が教えてくれるところ。それでは増配の本質的な意味はどこにあるのでしょうか。

コーポレートファイナンスのテキストには、①シグナリング効果、②顧客効果と書かれています。

①のシグナリング効果とは、増配が、経営者の将来の強気の見通しを意味する、との期待から株価が動くというもの。

②の顧客効果とは、株主は配当政策が気に入ってその会社の株を買っている、だから増配を好む個人株主が多い、つまりキャピタルゲインより安定的な配当の方を好むある程度年配の株主個人株主が多いなら増配により株価が上昇することがあり得る、というもの。

また、増配そのものより、借入により増配(又は自己株取得)を行い、資本構成を変更し、資本コストの引き下げを図ることにより企業価値を増加させることも多くの日本企業にとっては重要でしょう。

したがってやみくもに増配に走るのではなく、その本質的な理由をつきつめて考え、それをきちんと有報なりに開示することが大切だと思います。

アデランス株主総会 買収防衛策導入を承認

アデランスが24日開いた定時株主総会で、会社側が提案した買収防衛策導入が約55%の賛成で承認された。
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200705250028a.nwc買収防衛策導入を取締役会決議のみで決めるか、株主総会に諮るか、どうやら今後は後者を選択する会社が増えてくることになりそうです。

ただし、「買収者に経済的損害を与える買収防衛策は特別決議によって導入されない限り、裁判所は適法と認めてくれないのではないか」(元法務省民事局付検事葉玉匡美氏)といった有力な見解もあり、結局のところ、企業価値を創造するM&Aは歓迎するという姿勢が問われるのだと思います。

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