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2008 年 10 月 のアーカイブ

確定拠出年金の充実?

追加経済対策、事業規模最大の27兆円 首相「消費税上げ3年後」

政府は30日、米国発の金融不安による景気減速などに対応する追加経済対策を決定した。融資枠拡大などを含めた事業規模は過去最大規模の約27兆円。実質的な財政支出となる「真水」は約5兆円で、財源には財政投融資特別会計などの「埋蔵金」を活用、赤字国債の発行は回避する。税制抜本改革に関し、麻生太郎首相は同日の記者会見で、早ければ3年後に消費税率を引き上げる考えを表明した。
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20081031AT3S3001W30102008.html

【CFOならこう読む】

追加経済対策で、確定拠出年金(日本版401k)の充実も盛られた。具体的には、企業が拠出する掛け金に従業員が上乗せして資金を出す「マッチング拠出」を認め、個人が長期的に株式を買いやすい環境が整備される。

確定拠出年金とは、掛金を確定して、給付は運用次第で決まるタイプの年金制度です。
確定拠出年金の特徴として、

・年金資産を自分で運用し、その結果に応じて年金額が決定される。
・年金資産が個人別に区分され、残高の把握や転職時の資産の移行が容易である。
・企業規模を問わず実施することが可能である。

といった点があげられます。
(企業年金連合会HP http://www.pfa.or.jp/top/qa/qa02.html#q4

確定拠出年金には自営業者等が加入できる「個人型年金」(掛金は個人が拠出)と、企業が導入し、従業員を加入させる「企業型年金」(掛金は企業が拠出)の2タイプがあります。それぞれの拠出限度額は次の通りです。

●企業型
厚生年金基金、確定給付企業年金、適格退職年金を実施していない場合
                          月額 4万6千円
厚生年金基金、確定給付企業年金、適格退職年金を実施している場合
                          月額 2万3千円
●個人型
自営業者等                     月額 6万8千円
(国民年金基金等の掛金と合算して)
厚生年金保険の被保険者
(会社が企業型確定拠出年金、厚生年金基金、確定給付企業年金、適格退職年金のいずれも実施していないこと。)
                          月額 1万8千円

(厚生労働省HP
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/kyoshutsu/gaiyou.html

確定拠出年金の最大のメリットは、その税制にあります。


これは単に拠出金額が所得控除されるというだけでなく、実質的にキャピタルゲインに対する税金が免除されることを意味します。

この点マイロン・ショールズ他の「タックス・アンド・ビジネス・ストラテジー」(邦題「MBA税務工学入門」中央経済社)は、次のように説明しています。

「年金基金に拠出された$1は、n年後には$(1+R)nとなるが、年金支払時に、この投資収益累計額の全額に対して税率tで課税されるとした場合、税引後の手取り額は$(1+R)n(1-t)となる。年金基金に対する当初の投資額は($1)は、税効果(税引)後で考えた場合、(拠出時に投資支出額が全額損金算入されているために)$(1-t)で済むことから、税引後投資支出額に対する税引後投資収益率は、次のように計算される。
{1/(1 -t )}(1 +R ) n (1 -t ) = (1 +R ) n
但し、R=税引前運用利回り

n =期間
t  =通常税率  」

にも関らず、この制度は日本では全く認知されていません。
2008年8月31日現在の確定拠出年金の施行状況は以下の通りです。

企業型年金の規約数等
企業型年金承認規約数  2,811件
企業型年金加入者数   約3,000千人(平成20年7月末)(速報値)
実施事業主数      10,822社

個人型年金の加入者等(平成20年7月31日現在)
第1号加入者      38,358名
第2号加入者      58,499名
計96,857名(資格喪失者を除く)

事業所登録       53,145事業所
登録運営管理機関    213社
(厚生労働省年金局発表)


拠出限度額が小さすぎることが日本版401kが広く浸透して行かない原因であるように思います。これを機会に拠出限度を大きく拡張し、政府が401kの税務メリットを国民にくりかえし、わかりやすく説明することで、この制度は日本でも認知されるようになると私は思います。

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なし

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社債の実質期限前償還(実質的ディフィーザンス)-ソフトバンク

ソフトバンク、最大750億円損失の恐れ 債務担保証券投資で

ソフトバンクは29日、証券化商品の一種である債務担保証券(CDO)に投資していた750億円が全額損失となる可能性があることを明らかにした。現時点では損失となっていない。仮に全額が損失となれば、金融危機の影響で日本の事業会社が証券化商品に関連して被る損失として最大級となる。
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20081030AT1D290BH29102008.html

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社債の実質期限前償還(実質的ディフィーザンス)とは、企業が社債の元利金を信託銀行に払い込み、負債をオフバランス化することを言います。信託銀行は国債など安全資産でこの資金を運用し、社債投資家への元利金払いに充当する仕組みになっています。3月4日に私のブログで武富士のケースをとりあげました(http://cfonews.exblog.jp/7423814/)。

オフバランスの為の要件を日本の会計基準は次のように定めています。

金融商品会計に関する実務指針46項
「取消不能で、かつ社債の元利金の支払に充てることを目的とした他益信託等を設定し、当該元利金が保全される高い信用格付けの金融資産(例えば、償還日がおおむね同一の国債又は優良格付けの公社債)を拠出することである」

金融商品会計に関するQ&A
「わが国において、元利金が保全される高い信用格付けの金融資産とは、国債や政府機関債のほかに、例えば、拠出時に複数の格付け機関よりダブルA格相当以上を得ている社債が含まれると考えられます」

実際に大きな損失を被るリスクを会社が有しているにも関らず、オフバランスを認めている会計基準にも問題があると思います。

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なし

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債務保証の会計処理

信用不安の元凶はCDS

昨年夏のサブプライム問題の深刻化から始まった米国の金融不安は、欧州諸国を巻き込んだ世界規模の金融危機に拡大した。特に9月15日のリーマンブラザーズの破綻以降、米国最大級の保険会社であるAIGの急速な経営悪化、一部MMFの元本割れ、モルガン・スタンレーなどに対する預かり資産の大量引き出しなどが重なり、世界のドル短期金融市場は閉塞状態に陥っている。こうした危機は1929年の大恐慌以来のことといえよう。本稿では、当初は米国の住宅金融市場に限られていた金融不安が、世界的に拡大した背景を探った上で、日本の金融システムへの影響を分析する。
日本経済新聞 2008年10月29日 33面 経済教室

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今日の経済教室で日本経済研究センター理事長の深尾光洋さんが、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)と呼ばれる信用デリバティブの会計処理について次のように言っています。

「CDS取引による保証供与からの収入は、将来の保証債務の負担に見合っているはずで、大半を引当処理する必要がある。だがAIGは受け取った保証報酬の大半を利益計上していたとみられる。」

深尾さんの言っていることはもっともですが、日本の会計基準はそんな風にはなっていません。

金融商品会計に関する実務指針 138項
「クレジット・デリバティブ及びウェザー・デリバティブのうちデリバティブの特徴を満たし市場価格に基づく価額又は合理的に算定された価額がある場合には当該価額をもって評価する。ただし、クレジット・デフォルト・オプションのうち市場価格に基づく価額がないものについては、債務保証に準じて処理する。」

ということで大半は債務保証に準じて処理されると思います。

金融商品会計に関する実務指針 137項
「債務保証については、金融資産又は金融負債の消滅の認識の結果生じるものを除いて時価評価は行わず、監査委員会報告第61号「債務保証及び保証類似行為の会計処理及び表示に関する監査上の取扱い」によって処理する。保証料は、受取保証料又は支払保証料として収益又は費用に計上し、期末には発生主義に基づき未収若しくは前受け又は未払若しくは前払いを計上する。」

監査委員会報告第61号「債務保証及び保証類似行為の会計処理及び表示に関する監査上の取扱い」

つまり、平時において保証料見合いの金額を引当計上する実務はないのです。この点日本でも見直しが必要だと私は思います。

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なし

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リニカル、上場初日売り殺到

<マザーズ>リニカルが売り気配のまま売買不成立 きょう新規上場

(大引け、コード2183)きょう新規上場。終日売り気配が続き、気配値を公募・売り出し(公開)価格(1000円)を25%下回る750円まで切り下げたものの、大引けでも売買が成立しなかった。大引け直前の注文動向は13万株程度の売り越しだった。
http://markets.nikkei.co.jp/kokunai/chumoku.aspx?site=MARKET&genre=m6&id=AS3L2705B%2027102008

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リニカルの公募株数50,000株、売出株数1,180,500株(オーバーアロットメント160,500株含む)、合計1,230,500 株に対し、昨日取引時間終了時点の売り注文は526,800株と約半分に上りました。

記事では、「国内相場が大きく下落するなか新規公開株を損失覚悟で換金する動きが出ている」と分析していますが、下表のようにVCの保有株数が相当程度あり、これが売りに出ている影響とも考えられます。
この会社、ロックアップ条項はあるものの、対象は個人株主に限定されています。

当社役員も上場時売出を行っていますが、社歴3年程度の会社がマザーズという成長期待の市場に上場するに当たり、経営者自ら売出を行うという趣旨が私にはよくわかりません。成長力を一般投資家に買ってもらおうというときに、経営者が自分の持株を換金売りするのは、どう考えても説得力に欠けます。

秦野社長は、「当社の業績を考えると、相場に引っ張られた」と話したようですが、相場のせいばかりではない、と私は思います。

【リンク】

株式会社リニカル IR情報

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MBOにおける「公正な価格」を巡る司法の判断

レックスのMBO 高裁、少数株主の保護重視

焼肉店「牛角」を展開するレックス・ホールディングスの経営陣による買収(MBO)で、強制買い取り価格に不満を持つ個人株主が裁判所に価格決定を申し立てた。
会社側の主張を認めた東京地裁から一転、高裁は9月、会社の提示を上回る価格を妥当と判断し、波紋が広がっている。情報量の面で不利な少数株主に目配りした決定を評価する意見もあるが、M&A実務の現場では戸惑いの声も上がっている。

(日本経済新聞2008年10月27日16面)

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本件で高裁は、妥当なプレミアムを20%と判断しました。高裁はその理由を次のように説明しています。

「本件MBOと近接した時期にMBOを実施した各社では、公開買付公表前の3ヵ月または6ヶ月の平均株価に16.7&~27.4%のプレミアムを上乗せした価格を買付価格としている」
「プレミアムについては、これらの近接事例に加え、平成12年~17年に日本企業を対象とした公開買付事例85例のプレミアム平均値が27.05%であることなどから、20%のプレミアムを加算した金額が、最終的に株価上昇に対する評価額を考慮した本件株式の取得価格と認めるのが相当」
(出所:商事法務No.1844 51頁)

買収プレミアムを上乗せした価格とは、

「新たな経営者が支配権を獲得して従来と異なる新たな経営方針で経営する場合に予想されるキャッシュフローの現在価値総和である、あらたな「DCFフルバリュー」よりは低い値で、売り手である株主と合意できる程度のプレミアムを含んだ値」
(実践M&Aハンドブック 服部暢達 日経BP社)

を言います。

買収プレミアムに影響を与える変数は、取得議決権割合、評価マルチプル、対価の種類、買収手法、案件の敵対性、のれんの大小、税務メリット等無数にあります。つまり個別性が非常に強いと言えるのです。

ですから、平均27.05%だから云々という議論は、売り手株主の判断材料にはなるとしても、公正な価格を決める司法の判断として相応しいとは思えません。

軽々しく20%などという水準を示すことの実務に与える影響を考えてもらいたいと思います。

【リンク】

実践M&Aハンドブック
服部 暢達

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資本政策詳解-クロス・マーケティング

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クロス・マーケティングの株式上場の概要は次の通りです。

クロス・マーケティングは、平成15年設立のインターネットによる市場調査を行っている会社です。

公募価額590円、2008年12月期見込みEPSが93.71円なのでPER6.3倍というインターネット関連としては低水準での株式公開となっています。

クロス・マーケティングの主な資本政策は (表2)の通りです。

全く破綻のない資本政策で、平野氏が策定したプラン通り実行してきたのでしょう。それだけに面白味にかけているとも言えます。五十嵐社長はまだ35歳なのだから、配偶者や血族にまで株をばらまく必要はないだろうと思うのですが…。

(表3)はクロス・マーケティングの株主構成です。

上場後でも五十嵐社長単独で50%超の持分を確保する資本政策になっています。

平成19年12月時点で従業員数96名、従業員持株会は設立しておらず、従業員のインセンティブはストックオプションによっています。

クロス・マーケティングの資本政策からイカガワシイ感じは全くしません。それだけに、何故、あえてマーケットが最悪のこの時期に、この価格で上場しなければならないのか、疑問に思います。

【リンク】

平成20年9月「新株式発行並びに株式売出届出目論見書」株式会社クロス・マーケティング [PDF]

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変動利付国債についても市場価格以外の評価容認

市場価格以外の評価容認、変動利付国債も対象 会計基準委方針

金融危機を受けた時価会計の見直しを検討している企業会計基準委員会(ASBJ)は、価格が下落している変動利付国債や物価連動国債を単純な市場価格以外の時価で評価することを認める方針だ。新たに作成する指針の中に、価格が極端に下落している国債などはそれ以外の時価で評価してよいとの考え方を盛り込む。変動利付国債を大量に保有する銀行など金融機関は決算で評価損を計上せずに済むことになりそうだ。
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20081024AT2C2301X23102008.html

【CFOならこう読む】

新聞記事によると、

「変動利付国債は市中発行残高が40兆円強あり、主に銀行など金融機関が保有。通常の国債と比べて流動性が乏しいため海外勢などの売却で価格が急落し、多くの投資家が含み損を抱える状況になっている。」

「変動利付国債にこのまま時価を当てはめると多額の含み損を抱えるため、「時価会計を適用するのと緩和するのでは自己資本比率が大きく変わってくる。」

とのことです。

今後は「理論価格の算定法や監査法人の実務対応が焦点になる」(国内証券)でしょう。

この点について、ロイターが次のように書いています。

「2008年9月中間期以降の決算の会計処理で、変動利付国債のどの回号に理論値を採用するかは、各金融機関の判断にゆだねられるが、大和総研の吉井一洋制度調査部長は、理論値採用の判断を金融機関にゆだねるなら、変動利付国債の同じ回号でも違う価格で評価されることが起こりうると指摘。「同じ金融商品で金融機関によって評価額がばらつくなら時価会計の理念とかけ離れてしまう」と厳しく指摘している。」
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-34460220081022

吉井さんが言うように、会計士の判断により評価額がぶれるということがあれば大問題です。ASBJは、理論値による評価を容認するのであれば、責任を持って、指針となる価格評価フォーミュラーを提示すべきでしょう。

ただ、私自身は満期のある債券の評価は、東京大学経済学部の醍醐教授が言う、「償却原価・時価比較高価法」(http://cfonews.exblog.jp/8772474/)により行うのが良いのでは、と思っています。

【リンク】

なし

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モック増資 発行済株式数は最大で5.5倍に

増資などで11億円調達

結婚式場運営のモックは22日、第三者割当増資と新株予約権の発行で最大11億7千4百万円を調達すると発表した。発行済み株式数は最大で5.5倍に増える。
一方、東京証券取引所は同日、新株発行を伴う資金調達に際し流通市場の機能や株主の権利に配慮するよう上場会社に文書で要請した。

(日本経済新聞2008年10月23日14面)

【CFOならこう読む】

会社法は授権枠(発行可能株式数)を発行済株式数の4倍に制限しています。それにも関らず5.5倍まで株式を発行できるのは何故でしょう。

この件は昨年9月8日(http://cfonews.exblog.jp/6422299/)にお話しましたが、こういうことでした。

昨年6月30日現在の発行済株式数は134,263株、授権枠は300,000株であったのを昨年9月26日の定時株主総会で、まず授権枠を537,000株に拡げた上で、10株を1株とする株式併合を実施しました。これにより、当社の発行済株式総数は134,263 株から13,426株となり、授権枠に対して約523,000 株分の余裕が生じることになり、大幅に希薄化を伴う新株発行が可能になったのです。

2008年10月22日現在、モックの既発行株式数は88,552 株なので、発行枠は537,000株-88,526株=448,474株の余裕があるので、今回の最大400,000株の新株が発行される資金調達が実行できるのです。

東証は、昨日全ての上場会社宛に文書を送付し、この件について問題視していることを次のように言明しています。

「多くの既存株主に株主としての地位を失わしめる大幅な株式併合を実施したことから、流通市場への混乱をもたらすおそれがあるとして、以前、当取引所が公表措置を行った上場会社が、当該株式併合によりいわゆる授権株式数が大幅に拡大したことを利用して、今般、通常を大きく超える規模の新株等の発行を行う事例が発生しております。
当取引所としては、一般に、株主の持分割合の著しい希薄化を伴うエクイティファイナンスは、仮に法令に違反するものでないとしても、株主の権利を損なうおそれがあるものとして、強く憂慮しております。」

会社法の法改正が間に合わないのなら、市場ルールにより今すぐにでも規制すべきだと私は思います。

【リンク】

2008年10月22日「第三者割当により発行される株式および新株予約権の募集ならびに支配株主、筆頭株主および主要株主の異動に関するお知らせ」株式会社モック [PDF]

2008年10月22日「著しい希薄化を伴うエクイティファイナンスについて」株式会社モック [PDF]

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減損会計停止・株買い取り機構…

減損会計停止案が浮上 政府・与党、追加経済対策で

政府・与党が近くまとめる追加経済対策を巡り、自民党内で減損会計の停止や国による株式買い取り機関の設置が争点になっていることが21日、明らかになった。世界的な金融不安に対し、これまでの政策を大きく変更する内容。金融庁や党の閣僚経験者は、安易な会計基準の見直しや国の市場介入に強く反対しており、追加対策のとりまとめは難航しそうだ。
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai /20081022AT2C2101N21102008.html

【CFOならこう読む】

またぞろ国家を挙げて粉飾を行おうというのでしょうか?

米国のようにモノサシ自体の妥当性を検討しようという方向性なら理解できますが、
財務数値が悪化し事業に支障が生じるから、モノサシの目盛りを変えて財務数値の悪
化がないことにしようというのは、到底まともな議論とは思えません。

資本主義経済において財務数値が正しく企業実態を現すことがいかに重要か、全く理
解していない輩が自民党に存在するということが私には信じられません。

それにしても自民党は大きな政府を目指す政党なのか、小さな政府を目指す政党なの
か、選挙前にはっきりしてもらいたいものです。

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低格付け債、発行が急減

投資家に警戒感 調達コスト上昇

格付けの低い企業の社債発行が急減している。トリプルB格の社債発行額が全体に占める比率は今年4月—9月に約3%と10年ぶりの低さとなり、10月以降も記載が途絶えている。今夏以降は格付けの引下げ件数も増加。米国発の金融危機と景気後退懸念が企業の資金調達に悪影響を及ぼし始めた。
(日本経済新聞 2008年10月21日 16面)

【CFOならこう読む】

流通市場での、トリプルB格の社債のスプレッドは1.6%と5年半ぶりの高い水準です。4月—9月における、トリプルB格の社債の発行は1400億円と全体に占める比率は1998年度の0.3%以来の低水準です。

もともと日本の社債市場で機関投資家の投資の下限がトリプルBであり、トリプルBがリスク許容の限界となっていると言えます。6月からデフォルトが続いたことにより、このリスクの下限が上方に移行しているように思われます。

もっともトリプルB未満の社債の取引が市場でなされていないことにも問題があると言えます。

リスクから逃げるのではなく、リスクに真摯に向き合うことが、金融の重要な役割であると私は思います。

【リンク】

なし

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