不動産投資信託(REIT)のジャパン・オフィス投資法人が27日に発表した第三者割当増資が話題を集めている。増資といえば1株利益の希薄化を連想しやすいが、同法人の場合はむしろ1株利益が増えるからだ。これい伴い、2010年10月期の分配金予想を5割近く引き上げた。
(日本経済新聞2010年1月29日19面 大機小機)
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ジャパン・オフィス投資法人は、発行数量及び投資口の希薄化の規模が合理的と判断した根拠を次のように説明しています。
「本第三者割当により、既存の投資口数に対し24.4%の希薄化が発生するものの、今回調達する資金等で短期借入金を返済することによって借入コストが低減し、第9期の1口当たり分配金は上昇する見込みです。また、本第三者割当によって借入金を低減し財務体質を強化することは、投資口価値の向上及び本投資法人の中長期的な成長に繋がるものと考えており、本第三者割当の実施は本投資法人の既存投資主の利益に適うものと判断いたしました。」
これを受けて投資口価格も上昇しています。

この投資口価格の上昇は、EPS上昇の影響というより、2010年1月に返済期限を迎えた日本GEからの借入金(204億円)のリファイナンスリスクをとりあえず回避したことを受けてのものと思います。
【リンク】
2009年1月27日「資金の借入れ及び既存借入金の一部返済に関するお知らせ」[PDF]
2009年1月27日「第三者割当による投資口発行に関するお知らせ」[PDF]
民主党が政権公約に掲げている「公開会社法」の審議が法制審議会で始まる。時宜を得たテーマであり、株式会社と証券市場の本質を踏まえた重厚な議論を期待したい。
(日本経済新聞2010年1月29日19面 大機小機)
【CFOならこう読む】
「上場会社の経営(者)が負うべき責任の相手は、今現在の株主のみならず、投資家一般、証券市場であり、ポスト法人資本主義社会の主人公の市民、国民である。理念を実現するには制度と、制度の器に盛る魂が不可欠だ。一町一夕にできるものではないだけに、理念を共有するための国民的な議論が必要になる。米欧にあって日本にないものに、株主総会に代わって経営者を監督する機関(スーパーバイザリーボード)がある。企業統治の要の役割を、米英は独立取締役会、ドイツは株主と従業員代表で構成する監査役会が担っているが、日本の上場会社にどうつくるのか」(前掲紙)
日本の法人資本主義の王様は役員とそれを担ぐ正社員でした。ここにドイツ型を持ってくると、現在の状況が強化されるだけで、いつまでたっても市民が主人公にはなる時代はやって来ないと思います。
「株式会社を巡る権利と義務の相克が頂点に達するM&Aのルールは、会社法と市場法にまたがる。「自由演技」で個別紛争を裁判所の判断に委ねる現行方式を改め、強制力のある第三者機関の監視下で制度化された「規定演技」とすべきではないか」(前掲紙)
イギリスのテイクオーバー・パネルを想定しているのでしょう。
テイクオーバー・パネルの是非について、岩井克人さんは次のように述べています。
「会社買収の手続きが、テイクオーバー・パネルという民間の団体の監督のもと、シティコードという買収ルールにもとづいて厳格に行なわれます。テイクオーバー・パネルのメンバーは英国保険業協会、英国銀行業協会、英国投資顧問協会、公認会計士協会等の各教会などから精鋭が集まって構成されます。
(中略)
日本も同じ仕組みにすべきだという議論がよくなされます。特に市場関係者のなかには、そういう考え方は多いようです。しかし日本での実現可能性はどれほどあるのでしょうか。
一番大きな問題は人材でしょう。イギリスの買収ルールは19世紀から連綿と続くシティの伝統に完全に支えられている制度です。テイクオーバー・パネルに集まる人たちは、実際にシティで経験を積み、自主的な組織としてシティ全体の長期的な利益に貢献するという使命感を持って活動しています。それゆえ、社会的に信頼され、尊敬されています。伝統のあるシティはイギリスにとっては無形文化財のようなものですから、これを絶対守るという強い意志と気概があります。
日本では会社買収はまだ始まったばかりで、イギリスと比較すると人材の蓄積がありません。金融業全体のインフラが整えば、長期的には可能かもしれませんが、そのまま現状の日本に導入することは難しいでしょう」(「M&A国富論」岩井克人・佐藤孝弘 プレジデント社)
私は日本に人材はいると思っています。
一度理念が共有されれば、テイクオーバー・パネルは十分機能するでしょう。
一番重要なものは、「制度の器に盛る魂」です。
長期的な視点から、日本国の進むべき方向を議論する必要があります。
日本がどうやって食っていくかということもはちろん大切ですが、日本という国をどういう国にするかということはもっと大切です。
そういった理念なくして、例えば社会保障の問題やその財源について議論しても意味がないと僕は思います。
【リンク】
なし
KDDIが予定しているジュピターテレコム(JCOM)への資本参加を巡り、一部の株式市場関係者の間でTOBが必要ではないかとの声が上がっている。議決権の3分の1以上を得るにあたってJCOMの実質的な大株主である米リバティー・グローバルから相対で取得すると発表したためだ。
(日本経済新聞2010年1月28日16面)
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「焦点は金融商品取引法で定める株式のTOBに関する規定。60日間で10人以内から議決権ベースで3分の1以上の株式を取得する場合にはTOBが必要と定めている。外見上この規定に当てはまるようにみえるからだ。
KDDIが取得するのはJCOM株を保有するリバティグループ傘下の3つの中間持株会社。直接、JCOM株の3分の1以上を取得しないため、TOBルールには抵触しないとの解釈だ」(前掲紙)
スキームの概要は次の通りです。

現状 (議決権比率ベース)

SM合弁解消後 (議決権比率ベース)

KDDIの資本参加後 (議決権比率ベース)
KDDIは、SMの上位会社であるLiberty Japan, Inc. 及びLiberty Jupiter, Inc. 並びにJ:COM株の3.7%を直接保有するLiberty Global Japan II, LLCの3社の持分100%を取得し、LGIグループのJ:COMに対する出資関係 (37.8%を出資) を承継します。
(注)SMは、LGIグループと住友商事株式会社 (以下「住友商事」) の合弁であり、J:COMの株式の58.1%を保有していますが、GIと住友商事で締結している出資者間契約上、SMを通じた合弁関係は、2010年 2月18日をもって終了し、LGIと住友商事は合弁関係を解消することになっています。
そもそもTOBは趣旨というのは次のようなところにあります。
「発行者の支配権または経営権に重大な影響を与え、また発行者の株式その他の有価証券の価格形成に重大な影響を与える株券の買い付け等について、取引当事者間の自由な合意に基づく取引を無制限に許容すると、(1) 株主・投資者間の情報の偏在、(2) 発行者の支配権または経営権を取得することにより生じる上乗せ価値(いわゆる支配権プレミアム)の分配の不公正、さらに(3) 株主・投資者間に対して付与される売却機会の不平等により、公正な価格形成、円滑な流通、および株主・投資者間の平等が確保されないという問題が生じうる」(「ANALYSIS 公開買付け」アンダーソン・毛利・友常法律事務所編 商事法務)
だとすると、このディールはTOBがかからないとおかしいと感じます。
現行法上TOBを必要とする要件を充足しないということなら、現行法自体に問題があると思います。
【リンク】
2010年1月25日「株式会社ジュピターテレコムへの資本参加について」KDDI株式会社
2005年12月に起きたジェイコム株の誤発注事件を巡り、みずほ証券が東京証券取引所に約415億円の損害賠償を求めていた訴訟で、昨年12月、東京地方裁判所は約107億円の損害賠償の支払を命じた。この訴訟は引き続き控訴審で争われることになったが、東証は昨年のうちに約132億円を支払ったと伝わった。東証の支払額が膨らんでいるのは、4年分の金利に当たる約25億円の遅延損害金が加算されているためである。
(日本経済新聞2010年1月27日)
【CFOならこう読む】
「損害賠償債務のような金銭の支払いを目的とする債務の遅延損害金の場合、当事者間の合意がなければ、民法の定める年5%の民事法定利率か、または商法の定める年6%の商事法定利率によって計算される。そして、最大の問題は、この低利率の時代に法定利率が高すぎることなのである。支払い能力のある被告を相手に勝訴すれば、原告は通常では不可能なはずの有利な運用をしたのと同じ利益を手にすることになる。これに対し被告の金利負担は大きい」(前掲紙)
M&Aにおいてこの影響が大きいのは株式買取請求の場面です。株式買取請求に関し、会社法786条4項は次のように規定しています。
”消滅株式会社等は、裁判所の決定した価格に対する第一項の期間の満了の日(筆者注:効力発生日から60日)後の年六分の利率により算定した利息をも支払わなければならない。”
法人株主は、会社に買取請求することで、税務上、キャピタルゲインをみなし配当に変換することができ、この部分だけキャピタルゲインを減らす(譲渡損失を増やす)ことができます。さらに、裁判所の価格決定までの間、年6%もの利息を受け取れるとなれば、買取請求が本来の趣旨(反対株主に公正な価格での株式売却の機会を保証する)から離れ、法人株主が出口戦略における選択肢のひとつとして買取請求を検討するのは当然とも言えます。
昨年のTBS・楽天のケースでは、両社が主張する価格の開きが大きく決着に時間がかかりそうということから、TBSは買取代金の仮払いを楽天に対し行なうことで、この金利負担を回避しています。
【リンク】
なし
国際会計基準(IFRS)のルール見直しを巡る欧米など多国間の覇権争いが活発になりつつある。金融危機後に20カ国・地域(G20)のお墨付きを得たことで世界の資本市場への影響力が増し、各国の利害調整が一段と複雑になっているためだ。国際基準導入にかじを切った日本はどう存在感を発揮していくべきか。最新動向を追った。
(日本経済新聞2010年1月26日)
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「欧州連合(EU)は昨年11月にも金融商品会計の新ルール適用先送りを表明。IASBは欧州の催促で金融危機関連のルール見直し作業を急いできただけに、相次ぐ反対姿勢への転換に戸惑いを隠せない」(前掲紙)
適用先送りが表明されたのは、IFRS9号です。
IFRS9号(金融商品:認識及び測定)は、従来のIAS39号に変わり2013年1月1日以降強制適用となる予定です(IFRSを適用している場合)。
IFRS9号のポイントは次の通りです。
・すべての金融資産は、当初認識時に公正価値で測定される。
・金融資産は当初認識後、以下の要件に基づき償却原価又は公正価値のいずれかで測定される。
(1) 企業が金融商品を運用する上で用いられるビジネスモデル
(2) 金融商品の契約上のキャッシュフローの特徴
・金融資産が以下の両方の要件を満たす場合には償却原価で事後測定される
(1) ビジネスモデルは、金融資産を保有し、その契約上のキャッシュフローをを回収するものである。
(2) 金融資産はその契約条件に基づき、特定日に、元本及び元本残金に対する金利のみを表するキャッシュフローを生み出す
・それ以外のすべての金融資産は公正価値で測定される
この場合公正価値の変動を損益で認識することを原則とするが、トレーディング以外の目的で保有する有価証券等を、当初認識時に、その他包括利益(日本基準の資本直入法:当期純利益を通さない。OCIと略されます)を通じて公正価値で測定される区分へ指定することを認めている。この指定は個々の金融商品(銘柄)ごとにできるが後で変更出来ない。その他包括利益で公正価値の変動を認識することを選択した場合には、その金融資産を売却したときに生じる売却損益もその他包括利益に計上される。
要するにこういうことです。
SBは償却原価法により評価する(但し公正価値(損益認識)を選択することも可能)。持ち合い株式は、公正価値により評価するが、公正価値の変動を損益計上するかその他包括利益に計上するか取得時に選択しなければならない。多くの会社は後者を選択するものと思われますが、その場合は売却益を当期純利益に計上できません。
日本のコンバージェンスの動向が気になるところですが、EUの動向を見ながら、ということになるのかもしれません。
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なし
今期計画が66%と、配当性向の高さでも知られるパーク24。その理由などを
西川光一社長にきいた。
(日経ヴェリタス2010年1月25日17面)
【CFOならこう読む】
『 ー前期から多少低下するが、配当性向は依然高いですね。
「配当性向のターゲットは特にない。もともと2007年10月期に経常利益140億円の
期初計画で配当を記念配込みで30円にした。2007年は下方修正して最終的に経常利益が、118億円になったが、配当は据え置いて結果として配当性向が上がってしまった。2008年10月期は初の減益になったので本来は減配すべきだったかもしれないが、成長ステージに戻れる確信があった。メッセージを出すためにも配当は据え置いた。今の配当性向の高さは自信の裏付けだ」
ー成長余地が大きいなら、利益を配当を出さずにM&Aなど成長資金に回してはどうですか。
「駐車場事業は1年頑張ればまた資金が入る。明確な投資先がなければ内部留保する必要はないのではないか。M&A候補があれば内部留保する選択もあるが、今はないので配当している。将来、大きな投資をする際には減配という選択肢も出てくるかもしれないが、今は想定していない」 』(前掲紙)
どうも日本では、個人と会社と国家をすべて一括りにして語る傾向があります。
個人がせっせと貯蓄するのが美徳とされても、経済がうまく回るのはそのカネを
使って高いリターンを出せる企業の存在があるからです。
企業は個人と違い、おカネを貯めてそれを誰かに預けるのでは存在意義がないのです。
それにも関わらず、せっせと貯蓄に励む上場企業が少なくありません。
使うあてのないカネは、配当や自己株買いで株主に返し、株主はよりリターンの大きい投資先にそのカネを投資することで、社会全体の富が増えると、コーポレートファナンスという学問が教えてくれています。
西川社長は当たり前のことを、当たり前にしているだけなのですが、それが目立って見えてしまうのが、今の日本の最大の問題なのかもしれません。
柳井さんも言っているように、経営者の育成が急務です。
【リンク】
なし
鳩山由紀夫首相が22日午前の衆院予算委員会で、中身は同じなのに巧みに変化があったようにごまかすことを意味する故事成語「朝三暮四」を、命令がころころと変わることを表す「朝令暮改」と勘違いし、質問した自民党の茂木敏充幹事長代理から言葉の由来と正しい意味について「講義」を受ける一幕があった。
(jiji.com 2010年1月22日)
【CFOならこう読む】
「朝三暮四は、宋の狙公が飼っていたサルに木の実を「朝三つ、暮れに四つ与える」と告げたところ、サルが不満を示し、狙公が「朝四つ、暮れ三つ」と言い換えるとサルが喜んで受け入れたという故事に由来する」(前掲紙)
この故事には、騙されるサルもアホだというようなニュアンスがこめられています。
ですが、現在価値で考えると、「朝三つ、暮れ四つ」と「朝四つ、暮れ三つ」では異なる、アホだと思ったサルが、実は正しい判断をしている、と私の師匠である井手正介先生が話しておられたのを思い出しました。
割引現在価値の計算の本質は、現在のキャッシュは、将来のキャッシュより価値が高いというところにあります。ですから、「朝三つ、暮れ四つ」より「朝四つ、暮れ三つ」の方が得だというサルの判断は正しいという訳です。
いずれにしても、茂木氏の昨日の質問、
「一次補正の凍結額の4分の1を10年度当初予算案で復活させている」
を朝三暮四で表現するのは、故事の使い方として間違っているように感じます。この場合、朝令暮改で正解でしょう。
【リンク】
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パイオニアは21日、200億円規模の公募増資を2010年3月期中に実施する方針を固めた。これまで民間ファンドから出資を集める方針だったが、業績が最悪期を脱したことを背景に、公募増資による資金調達に転換する。調達資金は新興国でのカーナビゲーションなど車載機器事業の強化に充当する方針だ。ホンダへの第三者割当増資も従来計画通り実施する方向で調整してる。
(NIKKEI NET2010年1月22日)
【CFOならこう読む】
ホンダやファンドに対する第三者割当増資を検討していましたが、公募増資に方向転換するということです。
パイオニア:増資延期 ファンドなどとの出資交渉難航
経営再建中のパイオニアは28日、ホンダを引受先とする25億円の第三者割当増資を延期すると発表した。同時に進めているホンダ以外のファンドなどとの出資交渉が難航しているため。ホンダからの増資支援の延期は6月と9月に次ぎ3度目。パイオニアは「時期は確定していないが、ホンダは新株引き受けの意向を変えていない」と説明。年明け以降もファンドなどとの協議を行い、10年3月末までにホンダ分も合わせた増資完了を目指す方針だ。パイオニアは当初、事業構造改革や社債償還に充てるため、400億円規模の資金が必要としていたが、構造改革の進展などで「必要資金が半減した」と説明。旧本社売却などで必要額をさらに圧縮する方針も示しており、今回の増資延期による資金繰りへの影響は特段ないとしている。
(毎日.jp2010年1月22日)。
「経営の自主性を確保しつつ、会社を成長軌道に乗せたい考えだ」(前掲紙)
要するに他社の傘下に入るつもりはない、ということです。
「パイオニアは午後に入って200億円規模の公募増資をする方針が伝わり、一時14.6%安の263円と急落した」(日本経済新聞2010年1月22日16面)
希薄化懸念というより、このような会社の姿勢に対する失望売りと見るべきでしょう。
【リンク】
2009年12月28日「第三者割当による新株式発行の延期の状況に関するお知らせ」パイオニア株式会社「PDF」
2010年1月22日「当社の資金調達等に関する本日の一部報道について」パイオニア株式会社[PDF]
日本相撲協会の役員改選をめぐる二所ノ関一門の会合が19日開かれ、一門を離脱して理事に立候補を表明していた貴乃花親方(37、元横綱)を支持する間垣親方(56、元横綱2代目若乃花)ら6人の親方が一門を離脱した。これを受け、同一門では放駒親方(61、元大関魁傑)と二所ノ関親方(61、元関脇金剛)の現職2人を候補者として擁立することを決めた。
(NIKKEI NET 2010年1月21日)
【CFOならこう読む】
私は以前このブログで相撲と相撲協会について書いたことがあります(2008年10月4日エントリー「日本相撲協会と経営の規律」)。
要点のみ再掲します。
「充実していないのは、経営者たる相撲協会の理事連中です。経営努力が全く足りていません。全ては部屋任せで、組織としての経営は行われていないに等しい。
顧客にも全然目が向いていない。相撲協会に注文は山ほどあります。
一番の問題は経営に規律が働いていないことです。
みんな身内ですから、責任が問われることがありません。従業員同士が殺し合いをしているのに、経営陣が責任を全く認識していない、全く稀有な組織なのです。経営を規律付けするにはどうしたら良いか。仲良しの有識者を外部理事として迎え入れれば万事解決なんてことは絶対にありません。
そう、これはコーポレートガバナンスの問題なのです。
日本の多くの経営者に相撲協会は腐っているなんて言う資格はありません。自社のコーポレートガバナンスと相撲協会を比べてみてください。
50歩100歩じゃないでしょうか?」
私はこれを書いたときに、新聞記事のような変革の動きが内部から出てくるとは夢にも思っていませんでした。しかも貴乃花がリーダシップを発揮するとは。。
ガバナンスが効いていない組織の末路は悲惨ですよ、相撲協会を見てください、そんなことを言いたくてあのときブログ記事を書いたのです。相撲協会は絶対に変わらないと思っていました。
その相撲協会がもしかしたら変わるかも知れません。理事選で理事候補は、それぞれマニフェストを掲げ戦えば良いのです。貴乃花が主張するように「子どもや若いファンを増やす」ための努力は全くと言っていいほど、行なわれていない現状で、例えば北の湖が何を主張するのか是非聞いてみたいものです。
相撲協会でも企業でも国家でも、決議機関の場が議論の場ではなく、多数派工作の結果形骸化してしまっていることが問題なのです。最も重要なのはオープンで建設的な議論が行なわれることでしょう。
力士としての貴乃花は嫌いでしたが、今の貴方は支持します。
ぜひとも頑張ってください。
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なし
経営難に陥っていた日本航空は19日、2子会社とともに東京地裁に会社更生法の適用を申請し、同日手続き開始の決定を受けたと発表した。グループの負債総額は2兆3200億円で、金融機関を除く事業会社では過去最大。日航から支援要請を受けた企業再生支援機構も支援を正式に決定、日本政策投資銀行とともに出融資として総額9000億円の公的資金を投入する。一連の決定を受け、東京証券取引所は日航株式を同日から1カ月間、整理銘柄に指定、来月20日に上場廃止にすると発表した。
(NIKKEI NET2010年1月20日)
【CFOならこう読む】
私はこのブログで当初から法的整理を主張していました。そういう意味では、とりあえず落ち着くところに落ち着いたと感じています。
既得権益者の密室でのネゴで物事が決まるのではなく、司法に解決が持ち込まれたのは取り敢えず良かったと思います。債権者平等が原則の更生法手続きの中で、一般債権者を保護するという前例のない枠組みにゴーサインを出しことも評価できます。
しかしこの先はどうなるのでしょう?
稲盛氏なら、とてもまともとは言えないこの会社を、普通の会社に変えることはできると思います。ですが年齢から言ってもキャリアから言っても、V字型の収益回復を望むのは到底不可能だと思うのです。
自主再建はあり得ない。
Exitは外資への売却しかない。
僕はそんな風に思っています。
稲盛氏はこの仕事を引き受けた理由を次のように述べています。
「私は既に経営の第一線を引いた身であり、航空事業には全くの素人なので会長就任の要請を受けるか迷った。しかし日航の現在の状況は低迷する日本経済を象徴しているとも言われ、再建できれば日本経済全体に良い影響を与えることができる」
外資へ売却されることになったとき、本当の意味で日本は変わるのかも知れません。
重要なことは日本人の雇用の場が確保されることです。
世界中の企業に、日本人という希少な資源を活用してもらうこと、それこそが最も重要なのです。
日本人だけで資本も経営も何もかも賄う時代は終わったのです。
再生機構が株を手放す3年後に日本は大きく変わる。
だとするとそこに向けた準備を日本国民全員が今から始めなければなりません。
日本人だけで仕事ができる時代がそう長くは続かないとすれば、いまやるべきことは山ほどあります。
またそこに新たなビジネスチャンスも生まれる筈です。
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