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2011 年 3 月 のアーカイブ

会計士協会会長、震災対応で会計士に対する要望を公表

日本公認会計士協会は30日、東日本大震災で被災した企業の決算の監査対応について、会計士に対する要望を公表した。震災に伴う損失は全容が判明していない場合も、できるだけ合理的に見積もり計上する。状況が把握できない範囲はその旨を注記することを確認。安易に監査意見の不表明としないことを求めた。
(日本経済新聞2011年3月31日15面)

【CFOならこう読む】

「会計士協会は、「資本市場の維持のために投資家や株主の財務諸表に対する不安を取り除く」(山崎彰三会長)ことを目的に、会長の通達という形で監査の対応を呼びかけた」(前掲紙)

会長通牒平成 23 年第1号
「東北地方太平洋沖地震による災害に関する監査対応について」の6頁に次のような記載があります。

「監査意見形成に際しては、状況を適切に判断し説明責任を果たす必要があることは いうまでもないが、特に上場会社に関して無限定適正意見以外の監査意見を表明する ことになる場合は、より明確な説明責任を果たせるように努めなければならない」
会長通牒平成 23 年第1号「東北地方太平洋沖地震による災害に関する監査対応について」 [PDF]

要するに安易に限定をつけたり、監査意見を不表明としないということがないように、ということです。

なお、東証は18日に公表した、「東北地方太平洋沖地震を踏まえた決算発表等に関する取扱いについて」の中で、

「本地震災害により、上場会社の財務諸表又は四半期財務諸表等に添付される監査報告書又は四半期レビュー報告書において意見不表明等が記載されることとなった場合、監理銘柄指定及び上場廃止の対象とはなりません 。またその旨の開示も必要ありません。」
「東北地方太平洋沖地震を踏まえた決算発表等に関する取扱いについて」東京証券取引所

との措置を明らかにしています。

【リンク】

会長通牒平成 23 年第1号「東北地方太平洋沖地震による災害に関する監査対応について」 [PDF]

「東北地方太平洋沖地震を踏まえた決算発表等に関する取扱いについて」東京証券取引所

カテゴリー: 監査 タグ:

パルコ委任状争奪の可能性

パルコは29日、第2位株主のイオンが提示していた提携案への回答を同社に提示した。社長ら現経営陣の交代や出資比率の引き上げなどの提案は受け入れられないとした。引き続き提携内容に関して協議を続ける意向を示しているが、現段階では事実上の拒否に近い。パルコに対しては筆頭株主の森トラストも経営陣交代を求めており、森トラスト・イオンとパルコの間で5月下旬の株主総会に向けて、経営体制を巡る委任状争奪戦が始まる可能性が出てきた。
(日本経済新聞2011年3月30日12面)

【CFOならこう読む】

昨年9月4日のポスト「パルコと日本政策投資銀行の提携、森トラスト反」の続報です。

「イオンは2月下旬に投資ファンドからパルコ株の12.3%を取得し、提携を求めてきた。イオンは今月下旬、平野秀一社長を解任すると同時にイオンの松井博史執行役をを会長とするなど3人を取締役として派遣し、森トラストからも取締役2人を受け入れることを提案した。さらにパルコの買収防衛策の撤回と、子会社化を視野に出資比率の引き上げを検討することを求めた」(前掲紙)

これに対し、パルコは、

「イオンの出資比率を大きく上回る 10 名中 3 名という割合でイオンから取締役を受け 入れること、さらにその中に代表執行役会長(CEO)を含むことに対しては、当社の事業の中核を成すテナ ント様及び従業員の理解を得ることが著しく困難であり、当社の企業価値・株主価値向上に繋がるものかどう か、現時点においてイオンから受領した情報のみに基づいて確信するには至りませんでした。」(2011年3月29日「イオン株式会社からの提案書の受領と、それに対する当社取締役会の見解について」株式会社パルコ

と拒否の姿勢を示した上、買収防衛策の発動も検討するとしています。

これまでのパルコを巡る動きは以下の通りです。

2001年 森トラストがパルコ株を約20%取得して筆頭株主に
2006年 パルコが買収防衛策を導入
2008年 森トラストが出資比率を33.2%に拡大
2010年 森トラストが出資比率50%弱まで引き上げ提案
2010年8月  パルコが日本政策投資銀行と資本業務提携
2011年2月  イオンがパルコ株を約12%取得
2011年 3月中旬 イオンが役員派遣など具体的な提携案を提示
2011年 3月下旬 イオンが社長交代含む役員派遣などを再提示
2011年 3月29日 パルコがイオンの提示した提携案に回答
(前掲紙)

本件と直接関係ないですが、日本政策投資銀行というのは、東京電力へ政府が「危機対応融資」を行う際に融資を実行する窓口をなるような政府系金融機関です(民営化路線は決まっていますが)。こんなところに首を突っ込むべきではないと思います。

【リンク】

2011年3月29日「イオン株式会社からの提案書の受領と、それに対する当社取締役会の見解について」株式会社パルコ

カテゴリー: M&A タグ:

経団連会長、法人税減税撤回を容認

日本経団連の米倉弘昌会長は28日の記者会見で、東日本大震災の復興資金の手当てに関して「(民主党が掲げる)高速道路無料化をやめ、子ども手当も休止すべきだ」と指摘した。昨年決まった法人税率の引き下げについても、個人的な見解だが、やめて頂いて結構だ」と語った。
(日本経済新聞2011年3月29日5面)

【CFOならこう読む】

法人税率引き下げについて野党が反対するのはわかります。しかし、経団連会長がこういうことを言うのは理解できません。

平成23年度税制改正大綱は、法人税率引き下げの理由を次のように説明しています。

「デフレから脱却し、日本経済を本格的な成長軌道に乗せていくため、国内企業の国際競争力強化と外資系企業の立地を促進し、雇用と国内投資を拡大 する必要があります。このため、新成長戦略の一環として、平成 23 年度税 制改正において、課税ベースの拡大等と併せて、法人実効税率を5%引き下 げます。中小法人に対する軽減税率についても3%引き下げます。デフレ脱却と雇用拡大を最優先して、「ペイアズユーゴー原則」1との関係では今回の 税制改正による財源の確保は十分でありませんが、思い切った引下げ措置を 講ずることにします」

法人税率引き下げは、企業を優遇しようという意図で行われるわけではありません。それが国富創造につながるから行われるのです。

経団連会長としては、今こそそこのところをきちんと主張すべきでしょう。雇用と国内投資の拡大のために法人税率引き下げが必要だということを、頭を下げて国民に理解してもらえるよう説明すべきです。

「やめて頂いて結構」とは何事でしょうか。

これでは法人税率引き下げは、私企業の利益・利権のために行われるもので、有事だから手放しても良いと言っているようです。今税制で検討すべきは、法人税法では寄附金の損金算入要件の緩和、所得税法では寄附金の税額控除の制限の緩和、でしょう。

「ニトリHDは、東日本大震災で被災した地域に、新たに約12億円の義援金を寄付する。このうち、5億円は創業者の似鳥昭雄社長個人からという。ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が個人で10億円の寄付を発表するなど、経営者個人による巨額の義援金が相次いでいる。」
ニトリHD、被災地に義援金 日本経済新聞 2011/3/29 0:19

このような動きを税制側で援護することが必要だと思います。復興資金については、国民が広く皆で負担すべく消費税で賄うのが良いと思います。大前研一氏が言うような「期間限定・目的限定被災地救済消費税」の導入も検討に値すると思います。

「計画停電・復興資金~一工夫で無理なく解決。政府はリーダシップを発揮せよ」 大前研一「ニュースの視点」

【リンク】

2011/3/29 0:19「ニトリHD、被災地に義援金 日本経済新聞

「計画停電・復興資金~一工夫で無理なく解決。政府はリーダシップを発揮せよ」 大前研一「ニュースの視点」

カテゴリー: 税制 タグ:

電力増税を復興財源に

東日本震災の物的損害は、非金融資産の1%と仮定すれば25兆円の巨額だ。マニフェスト見直しや法人税減税の凍結だけでは、復旧の財源は賄えない。国債増発による金利上昇の副作用を考慮すれば、増税は不可欠である。
電力需要の抑制につながる電気料金への課税などが一つの方法である。

(日経ヴェリタス2011年3月27日37面 異見達見 野口悠紀雄氏)

【CFOならこう読む】

復興財源の一部を電気料金への課税で賄うという声が聞かれ始めています。

野口氏の案はこうです。

「マクロ的な資源配分の観点から、現在抑制すべき需要は、消費支出だ。供給面における最も深刻なボトルネックは電力にあるため、とくに消費電力需要の抑制が求められる。これを可能とする増税が行われるべきだろう。一つの方法は、電気料金に対する課税だ。あるいは、電力料金を引き上げ、電力会社に課税してもよい。後者のほうが機動面ですぐれているだろう」(前掲紙)

また大前研一氏は次のように述べています。

「まず料金単価が安く設定されている大口顧客には、逆に「高い」もしく は我々と同程度の「普通」の金額設定に納得してもらうべきでしょう。そして国民一人ひとりには「15%の削減ルール」を設定します。 過去3ヶ月の平均使用量を基準として、以下のように電気の消費量に応じて料金を定めます。

・85%以下(15%以上の削減):同一料金
・85~94%(10%程度の削減):料金を10%アップ
・94~100%(5%程度の削減):料金を15%アップ
・100%以上(削減できず):料金を20%アップ」
〔大前研一「ニュースの視点」〕「計画停電・復興資金~一工夫で無理なく解決。政府はリーダシップを発揮せよ」

大前氏の案も、電力会社に課税するというものだと思われます。しかし、ほとんどの国民は、電力会社に今まで以上の電気料金を支払うことについて同意できない(特に東京電力に対しては)と思います。もちろんその上乗せ分が復興資金の原資となることが誰の目からも明らかなら納得できるかも知れませんが、そのような制度設計は難しいように思います。

とすると、電力料金に対し課税する方式(例えば電力料に対し臨時付加税を徴収する)が良いと思います。

【リンク】

〔大前研一「ニュースの視点」〕「計画停電・復興資金~一工夫で無理なく解決。政府はリーダシップを発揮せよ」

カテゴリー: 税制 タグ:

原発ジプシー

「なぜちゃんと安全を確認しない」「『死にに行け』と言うのと同じだ」。作業員三人が被ばくした福島第一原発3号機の復旧工事。原発で働く下請け作業員からは東京電力のずさんな安全管理を批判する一方、「上から言われればやむを得ない」とあきらめる悲哀も口にした。
東京新聞2011年3月26日

【CFOならこう読む】

今日は土曜日だし、天気も良いので最近考えていることを少しだけ書きます。

それは福島原発の協力会社の作業員の方々のことです。
協力会社というのは、ビジネスの現場で一般的に使われている用語ではなく、何故こんな表現の仕方をするのだろうと思われる方も多いだろうと思います。私はそこに何らかの事実を隠蔽するような意図を感じます。

「被ばくした三人のうち、一人は作業を請け負った関電工の下請け社員。電力会社を頂点とする原発ピラミッドでは、さらに底辺にいる下請けが危険な仕事を任されるとの見方は根強い。彼らは「原発ジプシー」と呼ばれ、定期検査ごとに全国各地の原発を渡り歩く」(前掲紙)

私が「原発ジプシー」の存在を初めて知ったのは、森崎東さんという映画監督の「生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言」(1985年・ATG)によってです。

森崎東さんは、寅さんや釣りバカその他の喜劇を中心にてがけている映画監督ですが、社会的な弱者のバイタリティーが全ての映画の根底にあり、大好きな映画監督のひとりです。

そうそう夏目雅子の「時代屋の女房」の監督でもあります。

「生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言」も森崎東監督らしい傑作喜劇ですが、公開当時はなかなか配給が決まらず、いったいいつになったら見れるのだろうとヤキモキしたのを覚えています。

この映画は良質なエンターテインメントで、わかる人にだけわかるというようなマイナーな映画でもなければ、これ見よがしの社会派映画でもありません。

倍賞美津子、原田芳雄、平田満、泉谷しげる、梅宮辰夫、小林稔侍といったキャストの名前をあげるだけでもわかって頂けると思います(音楽は宇崎竜童です)。

しかし公開まで時間を要しただけでなく、上映した映画館の数もとても淋しいものでした。その理由は原発を取り扱っているからだとか、圧力があったからだとか色々に言われましたが、真実のほどはわかりません(どんなことを言われているかは、例えば「生きてるうちが花なのよ‾死んだらそれまでよ党宣言」のカスタマーレビューをご覧になってください)。

私が今ここで言いたいのは、圧力の有無であるとか、東京電力を頂点としたヒエラルキーの存在とかそんなことではありません。

「原発ジプシー」が存在するという事実です。

映画で描かれていた世界が全て真実であるとは思いませんが、今回事故に遭われた作業員と、原発で作業中に廃液漏れで被爆し、事故隠しの為にボート小屋に監禁された安次を演じる泉谷しげるが、私の中では重なって見えます。

この映画はDVDになっていません。

それが何故かはわかりませんが、ぜひDVD化されて欲しいと願います。
また、良識あるマスコミがこの問題を真摯にとりあげることを望みます。
今まで隠されてきた本当のことを知った上で原発の今後について議論すべきだと思います。

そして本当に言いたいこと。3月24日の日経新聞の米倉経団連会長へのインタビューの中での米倉氏の発言

「日本は原子力発電にしか頼れない」

に対し、

”ふざけるなこの野郎、お前が原発ジプシーをやってから言え”

なお、「生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言」のあらすじは、goo-映画「生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言」
をご覧下さい。

【リンク】

goo-映画「生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言」

ウィキペディア「生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言」

森﨑東公式ホームページ ニワトリはハダシだ

カテゴリー: 雑感 タグ:

税制改正軒並み棚上げ

法人課税の5%引き下げや、高所得者を対象とした所得税の増税、環境税の導入などを盛り込んだ2011年度税制改正が実現するメドがまったく立たず、軒並み「棚上げ」状態のまま新年度を迎える見通しだ。
(日本経済新聞2011年3月25日5面)

【CFOならこう読む】

法人税率引き下げの税制改正の雲行きが怪しくなってきました。

「東日本大震災の復旧・復興の財源として、税制改正の見直しを求める声もあがっている」(前掲紙)

経団連の米倉会長の会長は日経新聞のインタビューに答えて次のように述べています。

−復興資金はどう捻出すべきでしょうか。
高速道路の無料化や農家の戸別所得補償、子ども手当など、民主党が掲げた政策の見直しも必要だ。昨年決まった法人税の引き下げも検討対象になるだろう」
(日本経済新聞2011年3月24日5面)

企業側も繰延税金資産取り崩しによる減益の影響を嫌う声もあり、見送られる可能性が高いように思います。

ただし、その場合には繰延税金資産の利用制限に関する改正も撤回してもらわないといけませんね。

【リンク】

なし

カテゴリー: 税制 タグ:

ニトリ決算発表延期

ニトリホールディングスは23日、30日に予定していた2011年2月期の決算発表を4月4日に延期すると発表した。東日本大震災の影響で12年2月期の業績予想を練り直す必要が生じたため。
(日本経済新聞2011年3月24日13面)

【CFOならこう読む】

ニトリは、「業績予想を開示するかどうかも含めて検討する」としています。この震災の影響で、多くの会社が来期の業績予想を再検討することになるものと思われます。業績予想を開示しないというのも一つの選択肢として検討すべきであると思います。

【リンク】

なし

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ECB(欧州中央銀行)専務理事、円急騰なら再介入容認へ

ECBのシュタルク専務理事は独フランクフルトで日本経済新聞の取材に応じ、外国為替市場の「非常に激しい値動きを防ぐことをが重要だ」と語った。さらに、「主要7ヶ国(G7)は日本の経済復興のために協力する」とも述べ、円相場が急騰すれば政府・日銀が再び円売り介入に踏み切るのを容認する考えを示した
(日本経済新聞2011年3月23日1面)

【CFOならこう読む】

「シュタルク氏は「G7は必要ならば、どんな支援でもする容易がある」とも明言した。投資資金の流入で円高に歯止めがかからない事態に陥れば、日本政府・日銀の要請に応じて再び協調介入に加わることにも含みを持たせた」(前掲紙)

私は政府・日銀が市場に介入することには従来反対でしたが、最近少し考え方が変わってきました。市場が完全競争市場であり、①経済主体の多数性、②財の同質性、③情報の完全性、④企業の参入・退出の自由性が担保されている場合には、その市場で決定された価格にはすべてのプレイヤーが従うべきです。

しかし大前研一氏の言うホームレスマネーの存在により、完全競争市場の前提が崩壊しているのではないかと考えるのです。

「ホームレス・マネーとは、投資先を探して世界をさまよっている、不要不急で無責任きわまりないお金のことだ。その額は、最盛期には約6000超円にも上がったが、リーマン・ショックで各国の株式市場が軒並み暴落し半減。現在は4000超円にまで回復している」(大前研一著「お金の流れが変わった」54頁)

ホームレスマネーは、市場価格そのものを動かす力があります。その力は時に暴力的とも言えるパワーで国家も含めた経済主体に襲いかかってくることがあるのです。16日から17日にかけての円高進行は、与謝野馨経済財政担当相が言うように「「思惑先行の極めて投機的な動き」によるものであり、こういった動きに対抗するために協調介入することは容認されると考えます。ただし、どんな場合にも政府・日銀の市場介入が許される訳ではないので、その辺の線引きは難しいですね。

【リンク】

なし

カテゴリー: 為替 タグ:

M&Aに財務アドバイザーはいらない?

2011 年 3 月 22 日 コメント 1 件

日経ヴェリタスの大型インタビューシリーズの2回目は、信越化学工業の金川千尋会長。厳しい競争を勝ち抜く秘訣について「作ったものを100%売り切ればいい。努力です」と強調する。
(日経ヴェリタス2011年3月20日10面)

【CFOならこう読む】

−M&A(合併・買収)を活用し事業を拡大してきました。しかし、M&Aでは投資銀行などの財務アドバイザーを、あまり利用していません。なぜですか。

経営や事業のことは自分たちでやるべきだと思います。社内にも財務や経理の専門家もいるわけですしね。ただ、法律や会計の専門家は超一流の人にお願いしています。」(前掲紙)

M&Aの場面で、経営や事業を財務数値に落とし込んで、適正なバリューをはじき出すのが財務アドバイザーの仕事ですが、これが出来る人が社内にいれば財務アドバイザーは必要ないかも知れません。しかし、このような人材が社内にいる会社は少ないでしょう。

M&Aを頻繁に行う会社は、CFOとしてこのような人材を迎え入れることがあります。例えばスティーブン・ボーレンバックはM&Aのディールメイキングを得意としたCFOの一人です(2007年7月5日エントリー「米ブラックストーン、ヒルトンホテル買収へ・3兆1800億円」)。

「CFOがプロスポーツのスター並みの高給でスカウトされることも日常茶飯事になった。前出のボーレンバックは1995年にあのアイズナー率いるディズニーに引き抜かれたが、その時のボーナス・パッケージは2000万ドルに達したと推定されている。これはアメリカン・フットボールのダラス・カウボーイが、スタープレイヤーのディオン・サンダーズをスカウトする時に提示した移籍マネーを700万ドル上回るものだった。アイズナーからすれば、キャピタル・シティーズ/ABCのような巨大な買収案件をウォール街の一流投資銀行を雇わずにまとめることができれば、それだけでボーレンバックに2000万ドル払ってもおつりが来るというものである」
(井手正介著 CFO最強列伝 日経BP社)

そういう意味では、信越化学工業には金児昭さんという人がいたから財務アドバイザーは不要であったということでしょう。

【リンク】

なし

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休載します。

21日(月)まで休載いたします。

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