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2011 年 7 月 のアーカイブ

復興財源、消費増税で

東日本大震災からの復興財源を賄う臨時増税の税目を巡る議論が活発になってきた。経団連と日本商工会議所は28日、消費税の増税分を財源に充てるよう経済産業省に要望した。所得税、法人税を増税すれば、産業空洞化に拍車をかけかねないためだ。
(日本経済新聞2011年7月29日5面)

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「経団連は経産省が同日開いた2012年度税制改正要望ヒアリングで、「所得税・法人税を増税すれば負担が納税者と黒字法人に偏り、経済活力が大きく損なわれる」と強調した。そのうえで消費税を増税する方が「経済への影響が最も中立的」と指摘した」(前掲紙)

この問題は、ベンチャー企業にとっても重要です。いやベンチャーこそ、事業拠点をグロバールな視点で選択できる自由度が高いわけで、法人税が増税になれば日本を出ていがざるを得ないと、ツイッター等の民主的な方法を使って声高に叫ぶべきです。

多くの企業は私腹を肥やすためではなく、ビジョンという公益を実現するために日夜頑張っているのです。そしてそのための資金はいくらあっても足りません。

儲かっている企業に余裕があるわけではないのです。こういうことを経団連や商工会議所のお偉いさんが言うと、何だか胡散臭く聞こえなくもないわけですが、若いベンチャー企業家や従業員が皆で声をあげれば、その声は政府に届くと思うのです。

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なし

カテゴリー: 税制 タグ:

パナソニック、三洋の白物家電事業売却

パナソニックは子会社の三洋電機の洗濯機と冷蔵庫事業を、中国の家電大手、ハイアールに売却する。2011年度中をメドに日本と東南アジアにある開発・製造・販売拠点を譲渡する。パナソニックは2012年1月に三洋との事業統合を控え、懸案だった重複事業を解消する。
(日本経済新聞2011年7月28日1面)

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日本のM&Aは、対等合併を旗印に、とにかく規模の拡大のために行われ、その後どうにもならなくなって人員整理を伴う大規模なリストラに着手せざるを得なくなる、というケースが多いように思います。

しかし買い手にとって買収対象会社の全ての事業が必要である事は稀であり、重複事業等不要な事業に関しては、それを必要とする他社に売却することが、株主にとっても従業員にとっても望ましい場合が少なくありません。

日本企業のM&Aは、そもそも売手・買い手を曖昧にし、何のために行うのかよくわからないケースが多いわけですが、事業の選択と集中の方策として、戦略的動機に基づくM&Aをいかに上手に行えるかが、経営者の重要な資質として求められる時代になりつつあるのだと、今日のニュースを読んで改めて感じました。

「売却対象は日本と東南アジアにある三洋の洗濯機・冷蔵庫関連の子会社や関係会社合わせて10社程度の持ち株すべて」(前掲紙)

スキームは、単純に株式譲渡ということです。

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なし

カテゴリー: M&A タグ:

コージツ、TOBへの意見留保

ジャスダック上場の登山用品販売コージツは26日、独立系投資ファンドのDRCキャピタルによるTOBについて、賛否の意見を留保すると発表した。
(日本経済新聞2011年7月27日17面)

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「同日設立した第三者委員会の答申を受けて、早ければ8月15日にも意見を表明する見通し」(前掲紙)

会社は、意見留保の理由をプレスリリースにおいて次のように説明しています。

1.本公開買付けの当社における検討過程におい て本公開買付者ら又はその関係者らの影響が十分に排除できておらず、公正性を担保するための措置及 び利益相反を回避するための措置がとられているとは言い難い、との指摘をリーガルアドバイザーより
受けたこと

2.他の提案者(当社役職員と当社の非公開化を伴う取引について提案を行っていた別のプライベート・エクイティ・ファンド)のアドバイザーから、本公開買付者らの関係者の意向により平成 23 年6月 14 日の当社代表取締役と他の提案者及びそのアドバイザーとの面談が中止された事実の有無等について、当社に調査・検証を行う旨の申入れを平成 23年7月 14 日付の書面により受けたこと。

公開買付けの検討過程の公正性を担保するため、独立の第三者による本公開買付けに関する評価を得た上で、本公開買付けの応募の是非に関し、意見を表明することとしています。

第三者委員会の答申を平成 23 年8月 13 日を目処に受領する予定で、その後、会社は本公開買付けに 対する最終的な意見の表明を行う予定です。

【リンク】

2011年7月26日「投資事業有限責任組合 DRCKJ 及び投資事業有限責任組合 DRCIIによる 当社株券等に対する公開買付けに関する意見表明のお知らせ」株式会社コージツ [PDF]

カテゴリー: TOB タグ: ,

円相場上昇、78円台前半

25日のニューヨーク外国為替市場で円相場が上昇し、前週末比30銭円高・ドル安の1ドル=78円20~30銭で推移している。米連邦債務の上限を巡る協議が一段と難航し、ドル売りが先行。
(日本経済新聞2011年7月26日1面)

【CFOならこう読む】

今日は備忘記録です。

「米格付け会社がギリシャ国債を格下げすると発表したことでリスク回避姿勢が強まったことも円高要因となった」
(日本経済新聞2011年7月26日17面)

カテゴリー: 為替 タグ:

【TOB開示資料分析】DRCキャピタル・コージツ

独立系のDRCキャピタルは21日、ジャスダック上場の登山用品販売、コージツの買収を表明。買い付け株数に上限を設けておらず、応募株数が多いはコージツは上場廃止になる可能性がある。
DRCキャピタルは発行済株式の17.4%を持つ第2位株主。27.8%を持つ筆頭株主で投資事業を手掛けるジャパンファインアーツもTOBに賛同している。コージツはTOBに対し「当社取締役の賛同のないまま実施される」としている。
(日経ヴェリタス2011年7月24日25面)

【リンク】

2011年7月22日「投資事業有限責任組合 DRCKJ 及び投資事業有限責任組合 DRCIIによる 当社株券等に対する公開買付けについて」株式会社コージツ [PDF]

カテゴリー: TOB開示資料抜粋 タグ:

コージツにTOB

独立系投資ファンドのDRCキャピタルは21日、ジャスダック上場の登山用品販売、コージツをTOBで買収すると発表した。登山ブームを背景に業績改善が見込めると判断した。東日本大震災後、投資ファンドが上場企業へのTOBを表明したのは初めて。
(日本経済新聞2011年7月22日15面)

【CFOならこう読む】

「DRCキャピタルによるとTOB期間は22日から9月1日まで。買い付け価格は130円と、21日終値を19円(17%)上回る水準に設定した。TOBはDRCキャピタルと年金基金など海外機関投資家が共同で手掛ける。買い付け株数には上限を設けず、取得額は最大30億円になる」(前掲紙)

意見表明報告書を見ていないので、何とも言えませんが敵対的TOBになる可能性も・・・。
サブプライム後動きを止めていたファンド勢も、金融緩和による金余りの追い風を受けてそろそろ活発な動きを見せるようになるかもしれませんね。

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なし

カテゴリー: M&A タグ: ,

自社株買い、日米高水準

日米の上場企業が自社株買いを増やしている。2011年上期は、日本が前年同期比2.3倍の7997億、米国が76%増の2916億ドル(約23兆円)と、半期ベースで2008年9月のリーマン・ショック後の最高となった。金融危機後、現金を積み上げ「守り」の姿勢を取っていた日米企業だが、余剰資金を自社株買いに振り向け、株価の下支えや資本効率の向上を目指す。
(日本経済新聞2011年7月21日1面)

【CFOならこう読む】

「金融情報サービスのアイ・エヌ情報センターによると、上期の日本企業の自社株取得額は2008年下期(2兆1945億円)以来の水準。キヤノンが500億円、NTTドコモが200億円を取得した。ベネッセホールディングスは2012年3月までに100億円を上限に自社株買いを実施する予定」(前掲紙)

自社株買いよりも国内外へ積極投資に打って出るタイミングだと思うのですが・・・。

【リンク】

2011年5月25日「自己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ (会社法第 165 条第 2 項の規定による定款の定めに基づく自己株式の取得)」キヤノン株式会社 [PDF]

カテゴリー: 自社株取得 タグ:

東証・大証の統合協議難航

日本証券業協会の前哲夫会長は19日の記者会見で、東京証券取引所と大阪証券取引所の統合構想について「メリットが多く、早期に実現することが望ましい」と述べた。統合の手法などを巡る協議が難航している点にも触れ「ぜひ破談にならないようにしていただきたい」と語った。
(日本経済新聞2011年7月20日7面)

【CFOならこう読む】

東証・大証の統合を巡り、東証によるTOBによる大証買収、共同持株会社設立、大証が東証買収などの案を飛び交っているようです。

十分議論を尽くすことは必要ですが、その議論がどちらが主導権を握るかという皮相的な駆け引きのために行われているのだとしたら、株主価値創造の担い手であるはずの取引所としては、そもそも不適格ということでしょう。

海外では国境を超えて取引所の統合が進められている中、東証や大証はどのような世界戦略を持っているのか聞いてみたいものです。

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なし

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海外の配当課税撤廃により、海外利益95%国内へ還流

日本企業が海外子会社の利益を国内に還流させている。国際収支統計によると、2010年度は利益全体の95%を親会社への配当金の形で国内に戻した。この比率は2001年度以降で最も高い。2009年度に外国子会社の配当を実質非課税にした効果が出ていると見られる。
(日本経済新聞2011年7月19日5面)

【CFOならこう読む】

「国際経済交流財団調査(2011)によると、外国子会社配当益金不算入制度の導入前後における海外子会社利益の使途として、製造業においても、制度導入後、現地で利益を留保する企業の割合は低下し、本邦へ配当を還元する企業の割合は増加しており、海外利益を国内環流させる傾向は強くなっていると言える。」
(通商白書2011年版)

「経済白書2011年版」より 該当ページにリンクしています。

「また、経済産業省実施の海外事業活動調査(2009)によると、現地法人からの配当金の用途としては、研究開発・設備投資が最大(44.1%)で、借入金返済(26.1%)、株主への配当(19.3%)、雇用関係支出(16.1%)がこれに続く」
(通商白書2011年版)

「経済白書2011年版」より 該当ページにリンクしています。

日本の実効税率が下がりそうもない現状においては、税率の低い海外において利益を稼ぐことが定石になりつつあります。一方研究開発は日本で行い、Intellectual Property (知的財産) を日本で持つことを志向するのであれば、IPに係る移転価格の重要性が今後ますます増大していくものと思われます。

【リンク】

「通商白書2011年版」経済産業省

カテゴリー: 税制 タグ:

JVCケンウッド社債の償還繰延 ー 新株予約権を無償で割り当てることで社債権者の合意を得る

JVC・ケンウッド・ホールディングスは15日、発行済のしぼ社債120億円について、新株予約権を割り当てることで社債権者の合意を得て、償還を繰り延べると発表した。
(日本経済新聞2011年7月16日15面)

【CFOならこう読む】

社債の償還を繰り延べることにより減少する、元利金のキャッシ ュ・フローの割引現在価値相当分に見合う公正価値を現金で支払う代わりに、同額の公正価値(オプション・バリュー)を有する新株予約権を無償で割当てるものです。

新株予約権の発行価額は120億円。

行使価額は新株予約権の条件が決定される日における当社普通株式の時価として 当社取締役会が合理的に決定する価格に 120%を乗じた額を下限とし、市場動向等を踏まえながら今後決定されます。

新株予約権の行使により生ずる希薄化を抑えるため、ネット・シェア・セトルメント条項(行使時におけるオプションのイン・ザ・マネー部分に相当する株式を交付財産として新株予約権を会社が取得することを可能とする条項)が付与されるとのことです。

【リンク】

2011年7月15日 「当社子会社第 7 回無担保社債の条件変更(償還期限の延長等)に関する社債権者集会の開催および条件変更に関連する新株予約権発行登録のお知らせ」 JVC・ケンウッド・ホールディングス株式会社[PDF]

 

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