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2012 年 2 月 のアーカイブ

ウォーレン・バフェットの手紙ー2011アニュアルレポート

前週末にバークシャー・ハザウェイが開示した年次報告書。同社を率いるウォーレン・バフェット氏が株主に宛てた手紙を読み解くのが、市場関係者の恒例行事だ。「全体のトーンは米経済により強気だ」(ヘッジファンドの運用者)。住宅と銀行の先行きを明るく見ているのが目を引く。
(日本経済新聞夕刊2012年2月28日3面)

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「昨年に住宅の反転が「1年以内」としたのは誤りとしながらも、改めて「住宅は回復してくる」と主張。人口増による世帯数の伸びで供給過剰が次第に解消されるとの見立てだ。在庫がはければ新築も上向く。失業率も驚くような低下を示すようになるだろうと予想した。「米国にとって最善の日が待っている」(前掲紙)

“America’s best days lie ahead.”
何て力強い言葉でしょう。

バフェットはオバマ政権の政策が正しいから、景気が上向くと言っているのではありません。
“our market system will restore the needed balance “
市場の自律力を信じているのです。

何かというと政治や政府のせいにするどこかの国の経営者とは大違いです。経営者だけでなく、マスコミも含め日本国民全てがこの態度を改めないと、大きな政府はさらにどこまでも膨張し、消費税をどこまで上げても財政再建など夢のまた夢ということになりかねません。

【リンク】

「BERKSHIRE HATHAWAY INC. 2011 ANNUAL REPORT」 「PDF」

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エルピーダ 更生法申請

パソコンなどに使う半導体のDRAMで世界3位のエルピーダメモリは27日、会社更生法の適用を東京地裁に申請し、受理された。負債額は約4,480億円(2011年3月末時点)で、製造業では過去最大。2009年に公的資金300億円を使って政府も再建を支援したが、市況低迷や円高で業績が悪化。韓国メーカーとの競争力格差が広がる中、経済産業省や金融機関も再建は難しいと判断し支援を断念した。
(日本経済新聞2012年2月28日1面)

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「エルピーダは2009年に改正産業活力再生法(産活法)の認定を受けた。業績不振に陥った事業会社を公的資金を使って支援する枠組みの適用第1号となった。」(前掲紙)

このとき私は、このブログで、政府が個別の民間企業を公的に支援するのは止めるべきだと言いました(2009年6月30日「エルピーダ、公的支援本日決定」)。

今日の新聞の一面には、”「官の救済」限界映す”との見出しが踊っていますが、2009年時点で明らかだったと思います。公的支援は単なる一時しのぎだった、というに止まらず、公的支援により再建可能な時機を逸してしまった、ということにならないと良いのですが。

【リンク】

2012年2月27日「会社更生手続開始の申立てに関するお知らせ」エルピーダメモリ株式会社 [PDF]

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日経平均株価、約半年ぶりに9600円台回復

「雪解けマネー」が日本株相場の潮目を変えつつある。日経平均株価は先週、約半年ぶりに9600円台を回復した。米景気と国内企業の業績次第では一段高になるとの見方も。世界的な金融緩和が演出する強気相場の持続性はー。
(日経ヴェリタス2012年2月26日10面)

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世界的な金融緩和は、日本株だけでなく、ドイツや米国の株価も押し上げています。

また、原油価格も大きく急伸しています。

「24日のニューヨーク原油先物の期近物は7日続伸し、前日比1.94ドル高の1バレル109.77ドルで終えた。価格を押し上げているのは、投機マネーの流入だ。米商品先物取引委員会(CFTC)によると、24日時点の投機筋による原油先物の買い越し額は2週連続で急増し、約10ヵ月の高水準となった」
(日本経済新聞夕刊2012年2月25日1面)

一方先週末円相場は大きく下落し、81円台と7ヵ月ぶりの安値となりました。

「朝方発表の1月の米新築住宅販売件数が市場予想を上回ったほか消費者心理の好転を示す指標も出て「米景気の回復傾向が強まっている」との見方から円売り・ドル買いが広がった」(前掲紙)

先週はニューヨーク金先物も週間で約3%高と、

「ここにきて急速にマネーが流入している。」(日本経済新聞夕刊2012年2月25日1面)

気がつけば日本株のPBRは1倍を回復しています。(日経平均採用銘柄1.08倍 2月24日終値ベース)

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なし

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Jフロントがパルコ買収

大丸と松坂屋を運営するJ・フロントリテイリングはパルコを買収する方針を固めた。まずパルコの筆頭株主で約33%を保有する森トラストから全株を買い取る。その後、日本政策投資銀行が抱える新株予約権付社債(CB)を取得するなどして過半に増やす。小売業界の垣根を越えた企業再編が今後加速しそうだ。
(日本経済新聞2012年2月23日1面)

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過去の経緯については、当ブログのエントリー

2010年9月4日「パルコと日本政策投資銀行の提携、森トラスト反」
2011年3月30日「パルコ委任状争奪の可能性」
2011年4月20日「パルコ、社長退任受け入れ」

をご覧下さい。

Jフロントによるパルコ買収のスキームは以下の通りです。

「Jフロントは24日に開く取締役会で33%分の株式の取得を決める。買取金額は1株1100円(23日終値は682円)で、総額は約300億円とみられる。その後、政投銀が保有する分も買い入れる方針。時期は未定だが、JフロントはTOBを実施する。CBは普通株に転換すると森トラストから取得した分は同27%に希薄するため、他の株主からも買い付けて50%超の保有を目指す」(前掲紙)

現在12%保有するイオンの出方が注目されます。私としては、対抗TOBに打って出ることを強く希望します。

金商法は、企業の経営権の移動は、TOBというルールのもと行われなければならないと規定しています。その前提には、高い価格を付けた買い手が、価値を創造する良い買い手であるという考え方が存在しています。したがって金商法はTOBに対し対抗TOBが実行されることを当然に予定してTOBルールを定めているのですが、これがなかなか行われません。

多くのM&Aを実行してきているイオンには、ぜひともここを好機ととらえ、新しい一歩を踏み出して頂きたいものです。

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なし

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米法人税28%に下げ

オバマ米政権は22日発表する法人税改革案で、国際的に高水準にある連邦の最高税率を現行の35%から28%に引き下げると提案する。
(日本経済新聞2012年2月23日1面)

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「税制優遇措置を大幅に縮小することで財源を確保する。簡素な税体系に改革することで、新規企業などの参入を促し、雇用拡大につなげる狙いだ。ただ、年内の法制化は困難との見方が多く、11月の大統領選を意識した発表と受け止められている」(前掲紙)

この点について、ブロガーとしても有名なアーンスト・アンド・ヤング ニューヨーク事務所パートナーの秦正彦さんが、昨年10月に租税研究が開催した会員懇親会の中で次のように仰っていました。

「では来年(2012年)から28%になるかというと全然そんな感じではなく、もっと根本的に、ここまで複雑化してしまった税法を何とかしなくてはいけないという、オーバーオールな見直しの枠の中で、税率の引き下げも実現させていこうというのが現時点での方向性に思えます。
オーバーオールの引き下げは、3ヵ月後にできるものではありません。86年の税法改正でも4年くらいかかっているので、そういう意味では実現するとしても早くて2013年~2014年あたりになるのではないかと思います。」(租税研究2012年2月号 186頁)

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マツダ1700億円調達

マツダが総額1700億円規模の資金調達に踏み切る。前回の増資からわずか2年3ヵ月で再び大型の資金調達に踏み切るのは、急速な円高や販売競争の激化という逆風にマツダの構造改革が追いつかなかったためだ。
(日本経済新聞2012年2月22日9面)

【CFOならこう読む】

マツダは自己資本比率が19.2%と低く、また戦略商品の開発や新興国生産の拡大のための資金ニーズがあることから、増資の必要性は理解できます。それでも増資により発行済株式数は1.3倍に増え、ダイリューションが生じることが嫌われ、昨日株価は10%程度下落しました。

2009年10月の増資の際には、業績予想上方修正次世代エコカーの開発というエクイティ・ストーリーが評価され、発表当日7.5%高と株価が大幅に上昇しました(詳しくは2009年10月7日のエントリーをご覧下さい。2009年10月7日「マツダのエクイティ・ストーリー」)。

「前回の増資(約1千億円)の際も、次世代エコカーの開発資金の確保などが理由だった。新たに集める資金は今度こそ利益成長に結びつくのか、経営陣が投資家への説明責任を負っているのは言うまでもない。」
(前掲紙)

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企業統治強化策に経団連はほとんど反対

日本のコーポレート・ガバナンス(企業統治)への信頼を揺るがしたオリンパス事件も、16日には菊川剛前社長ら旧経営陣3人が金融商品取引法違反などの疑いで逮捕されるに至った。進行中の会社法改正論議にどう響くかが今後の焦点だ。
(日経ヴェリタス2012年2月19日65面)

【CFOならこう読む】

「経団連は1月下旬に主要な提案の多くに反対を表明した。しかし、日本企業への信頼回復に向けてもっと前向きな対応が必要ではないだろうか」(前掲紙)

以下のように法制審議会の中間試案のほとんどに経団連は反対しています。

ワンダフル!!
これぞ経団連です。

「日本経済研究センターのセミナーで講師を務めた早稲田大学商学学術院の中村信男教授は「日本企業のガバナンスに対する信頼が損なわれている現状を考えると、産業界の姿勢はやや問題意識に欠けるのではないか」と話していた。反対を唱える前に、産業界主導でベストプラクティス(最善慣行)を策定し、全員が実践するぐらいのことがあってもいいと主張していた」(前掲紙)

この経団連=産業界という構図がまずいんです。

昨年、経団連を退会した楽天の三木谷さんが日経ビジネスのインタビューに応えて次のように
話しています。

「経団連ね。(電力の)発送電分離に反対という話が出てきて、僕はそれ、本当に不思議だったんですよね。
 奥田さん(トヨタ自動車の奥田碩氏)が会長の時に言われて入りました。当時は小泉純一郎政権下で、経団連が改革の旗手だった。だけど、奥田さんが代わってからどんどん風向きが怪しくなってしまった。今回も早々に原子力に賛成意見を表明した。
「多分経団連ってそういうために作られたんだな」とその時に初めて分かりました。経団連が言っていることが、あたかも経済界の統一見解のように言う。だから僕は「そんなことないよ」と世の中にはっきり言いたかった。違う意見だってあるんだよ、ということですね」
(日経ビジネス2012年2月20日号63頁)

これはその通りで、我々の周辺でも、例えば税法の立法過程で、経団連が産業界代表として意見を述べ、財務省と折衝する役割を担っているのです。若い企業家は、経団連が自分達の代表とは露とも思わないはずです。にも関わらず経団連は確信犯的に産業界代表の役割を演じ、役所は経団連と折衝した形をとることで、産業界の意向を踏んで立法化しているという体裁を整えることができるので、これを利用している側面もあるのです。

しかし、産業界の意向というのは民主的に示されるべきです。テクノロジーの進化は、それを低コストで可能にしています。三木谷さんには単に経団連を辞めるだけでなく、経団連に代わって政府に対し、ほんとうの産業界の声を伝える役割を担ってもらいたいと思います。その前提としてすべての企業家が産業界代表の意識を持って、ツイッターなりで声をあげることが必要だと思います。今日取り上げた企業統治改革についても、経団連とは全然違う意見があることでしょう。

【リンク】

「会社法制の見直しに関する中間試案 平成23年12月」法務省民事局参事官室 [PDF]

2012年1月24日「『会社法制の見直しに関する中間試案』に対する意見」(社)日本経済団体連合会」

 

米予算教書、富裕層増税盛り込む ー 【続き】

オバマ米大統領は13日、2013会計年度の予算教書を発表した。通常なら、予算をめぐる政府と議会の駆け引きの始まり。だが大統領選を控えた今年の教書はいつにも増して政治色を帯び、与野党はのっけから対決モード。「公平さ(Fairness)」を旗印にした財政方針に、死角はないのか。
(日経ヴェリタス2012年2月13日10面)

【CFOならこう読む】

「公平な分担を」と大統領は訴えるが、その定義は難しい。突き詰めれば、「機会の公平」と「結果の公平」のバランス。共和党には前者が必要で、競争の結果生じた格差を無理に埋めることこそ、不公平に映る」(前掲紙)

日本では、自民党と民主党それぞれが「機会の公平」と「結果の公平」のどちらを重視しているか不明です。この点に留まらず、「大きな政府か小さな政府か」、「福祉の考え方」、「国防」といった国家の骨格となるべき基本的な方向性について、両政党の違いは全くわかりません。

要するに、現状は二大政党というにはほど遠い、ということです。

本来、「増税」は国家の基本的な方向性と併せて議論されるべきものです。「税と社会保障の一体改革」の前提となる国家の方向性について、両政党はその違いを明確にしていないのに、いったい何を議論しようというのでしょうか。

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サラリーマン川柳入選100句

第一生命保険は16日、「第25回サラリーマン川柳コンクール」の入選作100句を発表した。
(日本経済新聞2012年2月17日38面)

【CFOならこう読む】

今日は、オリンパス事件を取り上げようと思ったのですが、色々考えているとどんどん気分が重くなってくるので、思い切り趣向を変えてサラリーマン川柳をとりあげます。

入選作100句を見ると、圧倒的に面白いのは妻ネタです。

日よう日 妻は女子会 おれじゃまかい
リビングは 妻がセンター 総占拠
妻がした 計画停電 オレの部屋
嫁の趣味 昼間は寝入る 夜ネイル
他にもいろいろあります。

その他に目立つのは、ハイテクについて行けないオレ的なネタです。

スマートフォン 妻と同じで 操れず
携帯に やっと慣れたら 皆スマホ
図書館で FaceBookを さがす父
オレの指 スマホも部下も 動かせず
EXCELを エグザイルと 読む部長

そう言えば、先日見たデヴィッド・フィンチャー監督の「ドラゴン・タトゥーの女」で、主人公の中年男性のPC操作をドラゴン・タトゥーの女がいらつきながら見ているというシーンがありました。

二人ともそれぞれのやり方で、最後には同じ犯人に辿りつくのですが、中年男性には中年男性のやり方があって、そこがなかなか面白かった。それでも中年男性もMacBooKを十分に使いこなしており、それができなければいつもでたっても犯人には辿りつけなかったでしょう。

とここまで書いてオリンパス事件に戻ります。昨日の夕刊にこんなことが書かれていました。

「粉飾決算の解明には、隠蔽した実際の損益を把握することが不可欠とされるが、社外に移し替えた損失額を克明に記載した事実上の”裏帳簿”である報告書を社員の自宅パソコンから発掘」(日本経済新聞夕刊2012年2月16日14面)

オリンパス事件をきっかけに会計監査人の責任や意義について、またぞろ様々に取りざたされています。しかし、監査人には社員の自宅パソコンを調査する権限は与えられておらず、また、個人のメールを見ることもできないことを前提に議論すべきです。

「さらに、監査改革だ。あずさと新日本の両監査法人は結果としてオリンパスの不正を見抜けなかった。損失隠しを早期に発見できる監査方法はないものか。何とか知恵を絞ってほしい」
(日本経済新聞2012年2月17日2面)

本気でそうしたいなら、監査人に捜査権限を与え「ドラゴン・タトゥーの女」を雇えるようにしたら良いでしょう。そうして監査法人は、ウェブサイトで、「当法人は類い稀な能力を持つハッカー集団であり、どんな不正・粉飾も見逃しません」と自法人の強みを訴えるのです。

それで、・・・いったい企業はそういう監査法人と契約するのでしょうか?

ああ今日はサラリーマン川柳で終わりにするつもりだったのにあらぬ方向に話が行ってしまいました。

サラリーマン川柳の投票は、3月15日まで受け付けているようです。

 

「私が選ぶサラ川 ベスト10」第一生命

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米予算教書、富裕層増税盛り込む ー 【続き】

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昨日のエントリーで配当課税の変更による、企業の株主還元政策への影響について取り上げたところ、大浜小浜さんより、「経営者の株主還元方針はこれまでと変わらない」という有益なコメントを頂戴しました。− 大浜小浜さんありがとうございます。

この点コーポレートファイナンスの観点から私なりに少しだけ補足したいと思います。

米国では1986年の税制改革前は配当は最高で50%の税率で課税されるのに対しキャピタルゲインに対する税率は20%でしたが、米国企業は一定の配当を払い続けていました。

この現象は、「配当パズル」と呼ばれています。この、「配当パズル」に関連して、コーポレートファイナンスではTax Irrelevance Viewという考え方とTraditional Viewという考え方存在します。以下この2つの考え方を国枝繁樹一橋大学准教授が書かれた「コーポレートファイナンスと税制」(「フィナンシャル・レビュー」December―2003)を参考に簡単に紹介してみます。

■Tax Irrelevance View
投資家は税制上の様々な立場に置かれています。例えば日本でいうと、配当が重課される高額所得者は、低配当の株式を好み、企業は、受取配当は益金不参入の対象となるので一般に高配当の株式を好み、また、年金基金・財団等の非課税法人にとっては、資産選択の際に税の違いは考慮されません。

このように税制上の立場の違いにより投資家は棲み分けがなされている(これをtax clientele という)ので、tax clientele の変更を伴わないような税制変更は、企業の配当政策に影響を与えないというのが、Tax Irrelevance Viewの考え方です。大浜小浜さんはこの立場だと思われます。

■Traditional View
経営者が自社の将来の見通しを良好と考える場合、その事実を公表するだけでなく増配をアナウンスすれば、配当は将来にわたって支払われるので、経営者の見通しを説得力を持って投資家に伝えることができます。

これをシグナリング効果といいます。実際は将来が有望でない企業の経営者も税制上は不利な配当をわざわざ支払うことによって、当該会社が実際に将来有望であることを伝えることができますが、配当課税が強化されるとそれだけ増配のコストは上昇するので、以前より少額の配当でも高収益をよそおうとする低収益企業には重荷となります。このため配 当のシグナリングの手段としての有効性は増加することになります。

したがってTraditional Viewの考え方によると、配当課税の変更が企業の配当政策に影響を与える可能性があるということになります。

コーポレートファイナンス理論では、今紹介したTax Irrelevance ViewやTraditional View以外にもいくつかの考え方がありますが、欧米の実証研究で は、どの見方が正しいかは未だ決着はついていないのが現状です。

ちなみに私の昨日のエントリーは、コーポレートファイナンス理論に基づくものというより、プライベートカンパニーを想定して書いたものです。

米国では、Cコーポレーション(連邦所得税が法人レベルで課される)を利用して事業を行うのではなく、パートナーシップやSコーポレーションといったいわゆるパススルーエンティティー(連邦所得税が法人レベルでは課されない)を利用して事業を行われる方が断然多いようです。

2008年申告書提出数
1) Partnerships – 3.307 million
2) S corporations – 4.440 million
3) C (or other) corporations – 2.538 million
(出所:IRS, Statistics of Income, “Table 2. Number of Returns Filed, by Type of Return,
Fiscal Years 2007 and 2008.)

オバマ政権下で富裕層増税があった場合、事業体としてCコーポレーションが選択されるケースが増えるのではないかとの指摘が、例えばWilliam P. Streng教授の”Reconsidering Entity Selection in Uncertain Times”などで行われています。その場合には配当ではなく内部留保が重視されることになります。

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