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2012 年 3 月 のアーカイブ

REIT、5年ぶり新規上場

国内のREITの新規上場が5年ぶりに動き出す。4月下旬に2007年以来となる新規上場が予定されるほか、年央にもシンガポールの企業が資金調達規模で国内最大級となるREITの上場を計画しているもよう。大和ハウス工業なども準備に入った。不動産価格に一部下げ止まり感も出るなか、投資マネーの動きが活発になってきた。
(日本経済新聞2012年3月30日3面)

【CFOならこう読む】

REITの上場を計画している企業は以下の通りです。

企業名 投資対象 上場時期 調達額 上場時の資産規模
GLP(シンガポール) 物流施設 12年年央 1000~1500億円 2000~3000億円
大和ハウス工業 物流施設など 11月めど 900億円前後 1500億円前後
ケネディクス 住宅 4月26日 約150億円 約300億円
東急不動産 商業施設など 12年度中 未定 未定

(前掲紙)

すでに上場しているREITの資本調達(公募増資)も回復しており、2012年1月~3月は、四半期ベースでサブプライム後最高となる見込みとのことです。

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なし

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2011年度、IPOまで18.9年の短さ

インターネット関連企業を中心に設立から数年でIPOにこぎ着ける企業が増えている。スマートフォンの普及などでネット関連市場の拡大が続いているのが背景。社歴が浅くとも独自の事業モデルで急成長する企業が多く、全体でみて新規上場企業の「年齢」が若返る傾向にある。
(日本経済新聞2012年3月29日17面)

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2011年度に上場した主な企業は次の通りです。

社名 上場までの年数 主な事業内容
ライフネット 5.4 ネットで生命保険を販売
リブセンス 5.8 求人や不動産など情報サイトを運営
シンバイオ 6.6 医薬品の開発・商品化
カイオム 6.9 抗体医薬品の研究開発
モルフォ 7.2 「手ぶれ補正」など画像処理ソフトを販売
エムアップ 7.3 携帯電話やパソコン向けのコンテンツ配信
ブレインP 7.5 データ分析による顧客企業の販促支援
DMP 9.0 3D画像処理技術を供与
SFJ 9.0 北九州空港を拠点とした航空運送
イーブック 11.5 スマホやパソコン向け電子書籍の販売

(前掲紙)

 

「2011年度の新規上場は2010年度より14社多い37社。設立から上場までの平均年数は
18.9年と5年ぶりの短さだった」(前掲紙)

リーマン前の水準に戻った、ということです。

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AIJ社長の参考人質疑から、信任(信認)について考える

2012 年 3 月 28 日 コメント 1 件

衆院財務金融委員会が27日開いた参考人質疑で、AIJ投資顧問の浅川和彦社長は、顧客に虚偽の運用実績を説明した経緯を認める一方、「だますつもりはなかった」と繰り返した。
(日本経済新聞2012年3月28日3面)

【CFOならこう読む】

AIJ社長の参考人質疑を聞いて、この人は”信任受託者”としての責務を全く感じていなかったのだなあ、とまず最初に思いました。

岩井克人さんが、『会社はこれからどうなるのか』(平凡社)で、株式会社の経営者とは、会社の「信任受託者」である、と述べた上で、信任の概念について説明しています。

少し長くなりますが、以下抜粋してみます。

「信任とは、英語のFIDUCIARYに当たる日本語です。それは別の人のための仕事を信頼によって任されていること、と定義されます。
 (中略)
医者と通常の患者との関係においても、信任という要素が入り込んでいます。なぜならば、医者と患者との間には、医療知識にかんして大きな開きがあるからです。たとえ契約書が交わされていたとしても、医者がおこなう治療の内容を患者が理解できる形ですべて特定化することは不可能です。仮に特定化できたとしても、それが実行されたかどうかを患者が確認することは不可能です。いくら患者が明晰な意識をもっていても少なくとも部分的には、医者が患者の健康や生命を信頼によって任されてしまうことになるのです。

同じことは、弁護士や技師や教師や会計士やファンド・マネージャーといった高度の専門知識をもつ専門家が他人のためにおこなう仕事にかんしてもいえます。一般に、形式的には契約関係であっても、当事者の間で知識や能力に大きな格差があるかぎり、そこでは信頼によって一定の仕事を任されるという要素が必然的に入り込んでくるのです。
 (中略)
ところで、信任の関係とは、それがまさに信頼によって支えられていることから、怠慢や濫用の危険に必然的にさらされることになります。無意識の患者を手術する医者はさぼろうと思えば、いくらでもいい加減な手術ができます。悪意をもてば、いくらでも人体実験ができます。」

AIJの社長だけでなく、今の日本には信任受託者による怠慢や濫用が溢れています。日本だけではありません。ゴールドマンサックスの元社員は会社を糾弾する原稿をニューヨーク・タイムズに寄稿しましたが、そこで謂わんとしているのは、顧客軽視の社風、すわわち、FIDUCIARYについて問題にしているのです。

それでは、このような信任受託者の怠慢や濫用は、いったいどのようにしたら防ぐことが
できるのでしょうか?

岩井氏は次のように続けます。

「まず言えることは、契約によって信任受託者の仕事をコントロールすることが不可能であるということです。その理由は簡単です。信任関係の当事者とあいだでむすぶ契約は、基本的には信任受託者の「自己契約」になってしまうからです。
 (中略)
それゆえ、信認関係の維持には、自己利益の追求を前提とした契約関係とはまったく異質の原理を導入せざるを得ません。それはほかでもない、「倫理」です。当たり前のことですが、信任を受けた人間がすべて倫理感にあふれていさえすれば、信任関係は健全に維持されます。それゆえ、歴史的には多くの専門家集団がみずからに職業倫理を課してきたのです。
 (中略)
だが、不幸にして、人間の倫理感とは希少な資源です。それは、万人が等しく所有しているわけではありません。じじつ、倫理感の欠如した医者が、患者を人体実験に使った例は、歴史上枚挙にいとまがありません。いわんや、会社を食い物にした経営者にいたっては、数知れません。それゆえ、信認関係を維持するためには、自由放任の原則を取り払い、法律による厳格な規制が必要とされるのです。

すなわち、双方の自由な合意の結果として成立する契約関係においては、国家の介入を極力排除するのにたいし、一方から他方への一方的な倫理性を要求する信認関係においては、司法を中心とした国家の介入が不可欠であるのです。

信任に関する法律は日本ではまだ未整備で、もっぱら信認関係のひとつである信託にかんする法律を援用していますが、一般には、その中核には、信任受託者が自動的に負うことになる「信任義務」なるものが置かれています。医者は医者、弁護士は弁護士、ファンド・マネージャーはファンド・マネージャー、後見人は後見人、会社経営者は会社経営者、財団理事は財団理事として、第一に、自己の利益ではなく、信任関係の相手の利益にのみ忠実に仕事をおこなうこと、第二に、その仕事はそれぞれの立場に要求される通常の注意を払っておこなわなければならないことが義務づけられています。

第一の義務は、「忠実義務」、第二の義務は、「注意義務」とよばれていますが、それぞれ信認関係にともなう濫用の危険と怠慢の可能性を排除しようというものです。そして、どちらの義務も、程度の差はあれ、信任受託者に一種の倫理性を課しているのです。」

AIJの社長は、昨日の参考人質疑で、「だますつもりはなかった」と繰り返したそうですが、それ以前に、年金の性格上、大きな損失が出るようなハイリスクの運用をしたこと自体、信任義務違反であるのです。

さらに今回の事件で被害者面をしている厚生年金基金にも、加入者・受給者に対する信任義務があるとういう視点を忘れてはいけません。

忠実義務違反、注意義務違反がなかったか厳しく問われる必要性があると同時に、厚生年金基金に対する行政のチェック体制に問題がなかったかどうかについても検証される必要性があります。

【リンク】

会社はこれからどうなるのか (平凡社ライブラリー い 32-1)
会社はこれからどうなるのか (平凡社ライブラリー い 32-1) 岩井 克人 平凡社 2009-09-11
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貸倒引当金が減少

債権などの貸し倒れに備えて積み立てる貸倒引当金が減少している。2011年12月末に上場企業が計上した貸倒引当金は2兆138億円。四半期決算の開示が義務づけられた2009年3月期以降で最少で、リーマン・ショックで企業倒産が増えた同期末から2割減った。
(日本経済新聞2012年3月27日13面)

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貸倒引当金の流動資産の計上額と固定資産の計上額の内訳を見ると、固定資産の方が大きく減っていることがわかります。

「流動資産として計上している貸倒引当金は売掛債権や受取手形の回収可能性の向上で、8985億円と1年前に比べ8%減少。固定資産に計上する貸倒引当金は1兆1153億円と15%減少した」(前掲紙)

貸倒引当金の減少理由としては、一般債権の債権実績率の低下、売上減少に伴う営業債権の減少も考えられますが、固定資産計上部分が大きく減少したのは、貸倒懸念先の財政状態改善による個別引当の減少の影響が大きいものと考えられます。この他、取引先の法的処理等に伴い貸倒処理をしたというケースも少なからずあるものと思われます。

いずれにしても、サブプライム後のパニック状態から漸く脱したと言って良いようです。

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なし

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旭テックに対する2回目のTOB開始

自動車部品メーカーの旭テックに対するATCホールディングス2号株式会社のTOBは、締め切り日が当初予定の3月26日から4月5日に延長された。今回のTOBは国内で初めて採用された「2段階TOB」の2回目にあたる。1回目は大株主から買い付け、2回目は一般株主からより高い価格で買い取る。
(日経ヴェリタス2012年3月26日27面)

【CFOならこう読む】

本件の概要を、会社説明資料より抜粋します。

◯ユニゾン・キャピタル・グループ(UC)に属する投資ファンドがその発行済株式の全てを保有している ATCH1及びATCH2は、公開買付け(TOB)等により旭テック発行の全株式を取得し、旭テックをUC の100%傘下とする予定です。

◯旭テックはUCによる本件計画の一環として行われる第1回TOBに賛同の意見を表明します。
第1 回TOBにおける買付価格については意見を留保しますが、第2回TOBが行われた場合には、第2回TOB に賛同し、旭テック株主に対して第2回TOBに応募することを推奨するべき旨、及び、その後の普通株式の 全部取得の手続を実施することも相当である旨の意見を表明します。

◯UCによる本件計画のポイント

1.優先株の取得
●TOBに先立ち、ATCH1がA種優先株式、B種優先株式について発行済の 全てを取得 (RHJIと東京海上から)

2.普通株の取得
●ATCH2が2回のTOBにより全ての発行済普通株式の取得を目指す
• 1回目はRHJIと東京海上の所有している普通株式の取得を目的として、27円/株(3ヵ月平均に対するプレミアム17.39%)で実施
• 2回目は残る全ての普通株式の取得を目的として、プレミアムを乗せた33円/株(3ヵ月平均に対するプレミアム43.48%)で実施

3.普通株全部取得
※ 旭テックの普通株式の2回目TOBもしくは普通株式の全部取得の決議 を経て上場廃止へ
●2回のTOBで取得出来なかった残りの普通株式の全てを取得する予定(株主総会にて決議)

大株主のRHJインターナショナル(旧リップルウッド)と東京海上日動火災保険は、保有する優先株を一括売却できることなどを理由に、低い価格でのTOB応募に同意したということです。
http://www.nikkei.com/markets/kigyo/ma.aspx?g=DGXNASGC28014_28122011EE1001

なお、本件公表(2011年12月28日)に先立つ、19日に旭テックは業績予想の修正発表を行っています。

【リンク】

2011年12月28日「ATCホールディングス2号株式会社による当社株券に対する公開買付けに関する賛同意見表明のお知らせ」 旭テック株式会社    [PDF

「補足資料」 [PDF] 

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米共和党下院税制案、法人税25%に引き下げ

今秋の米大統領選の争点となっている経済政策で、与野党が企業向け減税の主張を競う構図が一段と目立ってきた。野党・共和党は連邦法人税でオバマ大統領が示した税率下げ幅を超える「25%」(オバマ案は28%に引き下げ。製造業は25%以下にー筆者注)を提唱。
(日本経済新聞2012年3月23日7面)

【CFOならこう読む】

富裕層増税に関してはさらに両者の方針は大きく異なります。

オバマ大統領は、年収25万ドル以上の富裕層増税を打ち出しているのに対し、共和党下院案ではこれに反対しています。

「個人所得税の税率についても、課税所得に応じ25%と10%の2つに事実上均一化する大胆な方針を打ち出した。従来の共和党案には見られなかった10%の低税率層を新たに設け、中間層に配慮した格好だ」(前掲紙)

日本には、米国の共和党や英国の保守党に相当する政党が存在しません。戦後から現代までのの日本には不要だったのでしょう。

しかし、これからの日本にはこのタイプの政党や政治家が必要になってくるように思います。そして激しい議論を戦わせることで、今後の日本の方向性を決めていくべきであると思います。

政界再編もこの流れの中で行われるべきでしょう。

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英国、法人税22%へ

英国のオズボーン財務省は21日午後、2012年度(12年4月~13年3月)の税制改正を盛り込んだ予算演説を議会で行った。法人税率を14年に22%とする追加引き下げのほか、富裕層の所得税減税を盛り込んだ。
(日本経済新聞2012年3月22日7面)

【CFOならこう読む】

現行26%の法人税率を段階的に引き下げ最終的に22%とすることを財務相は表明しました。

「財務相は、「多岐にわたる税制見直しで英国の競争力を高める」と強調。日米などの税率との差を示し、優遇ぶりを訴えた」(前掲紙)

こういう発言を日本政府からも聞きたいものです。財務相は、所得税の最高税率を50%から45%に引き下げる、富裕層減税を行うことも表明しています。

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カテゴリー: 税制 タグ:

商社の海外IR

世界的に珍しいとされる総合商社のビジネスモデルや将来像を分析したリポート「総合商社原論」を、日本貿易会がまとめた。総合商社は2012年3月期の予想純利益ランキングで上位10社に4社入るなど業績好調だが、株式市場での評価はなかなか高まらない。商社の強みや今後の方向性、海外IRの課題などについて、リポートのとりまとめを指示したう槍田松瑩会長(三井物産会長)に聞いた。
(日経ヴェリタス2012年3月18日20面)

【CFOならこう読む】

-配当や株主還元をどのように充実させていきますか。

三井物産の社長時代、欧米企業の例を調べて、急成長が見込めない会社は配当還元率が高いことが分かった。それならばということで、配当性向を20%に引き上げました。今の飯島社長は25%位にしており、以前より株主還元の充実の方向にカジを切っています。確かに商社は、これから急成長する感じじゃないから、そういう流れになってきたのは間違いないですね」(前掲紙)

急成長が見込めないから、配当還元率を上げるというより、NPVがプラスな投資ニーズがないため、投資機会に乏しく、余剰キャッシュが生まれるから、このキャッシュは、配当か自社株買いに回す、ということです。

「商社のように多様な収益源で成長を担うような業態は、投資の効率性を求める海外の投資家からは敬遠されがち。PER(株価収益率)が高まらない要因のひとつといわれる」
(前掲紙)

確かにファイナンス的には、ポートフォリオは投資家が考えるから、企業は、コア事業に特化すれば良いとよくいわれますが、商社の事業ポートフォリオを機関投資家が簡単に再構築できるとは思えません。リスク分散に長け、安定配当を長期的に継続できるのであれば、それはそれで貴重な銘柄だと思うのです。ウォーレン・バフェットが言うように、株価が上がる銘柄だけが良い銘柄というわかでもない(2012年3月5日「自社株買いの意義 − バフェットの手紙より」)ので、この辺を海外IRで強調すればよいのではないでしょうか。

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シンガポールの企業誘致に邁進

昨秋、シンガポールの高級ホテルで開いた日系石油化学会社の工場新設パーティー。慣れない法被を着せられ、鏡開きで飛び散った日本酒でずぶぬれになりながらも同国経済開発庁(EDB)のレオ・イップ会長は訴えた。「我が国はみなさんの発展に全力で貢献してまいります。
EDBは政府系投資会社テマセク・ホールディングスと並ぶ都市国家シンガポール独特の戦略官庁。日中印欧米の主要都市に拠点を展開し、外資誘致に邁進する。欧州危機による混乱にもかかわらず、昨年のシンガポールへの直接投資は過去最高水準の137億シンガポールドル(約9千億円)に達した。
(日本経済新聞2012年3月18日13面)

【CFOならこう読む】

日本の場合には、まずは日本企業が日本にとどまってもらうようにすること、次に起業を促進すること、その後に外資誘致という順番だとは思いますが、それにしてもシンガポールとの企業誘致競争に晒されているいう現実に変わりはありません。

「EDBが企業誘致するうえで武器とするのが税制だ。法人税の最高税率は17%と世界屈指の低水準だが、実は進出企業の税負担はさらに軽い。技術移転の有無や提供する雇用や賃金の中身に応じて税金を割り引く」(前掲紙)

税制に限らず、企業誘致に邁進するシンガポール政府と比較すると、日本政府の対応は全く物足りない。

「ここだと中国とかインドとか世界経済の動向が分かるんだ」。港を見下ろす59階の新オフィスでHOYAの鈴木洋最高経営責任者は話す。今年から東京本社はそのままに家族を伴い執務拠点を移した。震災をきっかけに代表的な高付加価値製品であるマスクブランクス(半導体回路原版)の生産拠点も年内に操業する。シンガポールが最も好むタイプの投資だ」(前掲紙)

今のままでは、優良な日本企業がどんどん日本を出ていくことになります。政府は大きな危機感をもって事に臨む必要があります。

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カテゴリー: 税制 タグ: ,

シャープ株次期社長の会見受け、5.3%安

15日の東京株式市場で、シャープ株が前日比28円(5.3%安)の503円と急落した。
(日本経済新聞2012年3月16日15面)

【CFOならこう読む】

「14日午後4時に会見した奥田隆司次期社長は、事業構造改革を押し進める考えを強調したが、「具体的な成長戦略は改めて説明したい」と述べるにとどまった。これが失望売りを誘った面もありそう」(前掲紙)

先行き不透明な電機業界の今後について、明るい展望を新社長の口から聞きたかったのにそれが聞けなかったということで、失望売りにつながったのでしょう。

リーダーは、誰にも見えない未来を見据えて、明確なビジョンを提示し、これが多くの支持を獲得するからこそリーダーなのです。
ところが民間企業に限らず、日本の組織のリーダーは、政治手腕に長けた調整型の人材であることが多く、そういう人は新任の挨拶で、”今後については皆と相談してこれから考える”的なことを宣うわけです。

しかし、今の日本に必要なのは前者のリーダーです。しかも大きな赤字を出している電機業界の長であるなら、なおさらです。そういった期待をもって新社長の言葉を聞くわけですから、せめて具体的な成長戦略を今説明できない理由といつどのような形で説明するかを明言すべきでしょう。

【リンク】

2012年3月14日「代表取締役の異動、社長人事に関するお知らせ」シャープ株式会社