OKIは年金財政の好転が、2015年3月期から営業利益を年間10億~20億円押し上げる見通しだ。過去に実施したリストラや年金制度変更の効果が出るうえ、退職給付信託として拠出した株式の価格が大きく高まったため。
(日本経済新聞2013年11月29日19ページ )
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「年金資産に組み入れている、持ち合い関係にあった不動産大手ヒューリック株の上昇。発行済み株式の5%を退職給付信託に設定しており、前期末の簿価は約230億円と年金資産の2割強を占める。同株価は前期末から2倍強に上昇。来年3月末時点の株価に左右されるが、運用好転分は一定期間をかけて損益に反映していくため、利益押し上げ要因になる。」(前掲紙)
これにより来期は10億円程度の増益が見込まれるとのことです。
株価の上昇による年金資産の運用収益の改善が増益要因になる会社が増えそうです。
【リンク】
なし
国内企業の間で「ライツイシュー」と呼ぶ、新株を買える権利(新株予約権)を活用した増資が相次いでいる。27日は日医工が128億円、情報技術専門書出版のSEホールディングス・アンド・インキュベーションズが9億円の調達を発表。
(日本経済新聞2013年11月28日15ページ )
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「日医工は証券会社が未行使の予約権を買い取り、調達額を事前に保証する「コミットメント型」のライツイシューを活用する。」(前掲紙)
日医工のライツイシューのコミットメントに係る引受手数料は費用計上されない旨プレスリリースに次の記載があります。
「これまでのライツ・オファリングのコミットメントに係る手数料は、発行会社が引受人に 支払う方法で行われており、この場合には引受手数料が発行会社の費用として計上される ため、発行会社の経営指標である経常利益や1株当たり当期純利益等に影響を与えること になります。
一方、公募増資では、証券会社は一般投資家の購入価格である発行価格で募集を行い、発 行会社には手数料相当額を差し引いた発行価額が払い込まれるのが一般的であり、この場 合、発行会社は引受手数料を費用計上しません。
このように、ライツ・オファリングと公募増資は、株式の発行による資本調達という経済的効果は同じながら、発行会社における手数料の会計処理が異なることから、投資家にと って財務指標等の比較が困難になる可能性があります。
今回、当社が採用する方式の場合には、投資家の支払う「行使代金」は「出資価額」に「引 受手数料」を加えた金額となり、引受手数料が発行会社の費用として計上されないため、 上記のような会計処理の違いを回避することができます。」
(2013年11月27日「コミットメント型ライツ・オファリング (上場型新株予約権の無償割当て)に関するお知らせ」日医工株式会社 [PDF])
なお、ライツイシューによる発行済株式数の増加を勘案して、期末配当予想1株当たり16.00円を 修正して、12.30 円にすることをリリースしています。
【リンク】
2013年11月27日「コミットメント型ライツ・オファリング (上場型新株予約権の無償割当て)に関するお知らせ」日医工株式会社 [PDF]
2013年11月27日「期末配当予想の修正に関するお知らせ」日医工株式会社 [PDF]
26日の東京株式市場で高島屋株が一時前日比5%安まで下落した。前日にユーロ円建ての新株予約権付社債(転換社債=CB)を合計約650億円発行し、新宿店(東京・渋谷)の不動産を追加取得すると発表。
(日本経済新聞2013年11月27日15ページ )
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「今回、調達した資金は主力の新宿店が入居する商業施設の土地・建物の追加取得に充てる。現在は4割分を保有する。追加取得により「賃料負担を減らし、来年4月からの消費増税で売り上げが落ち込んでも安定した利益を出せるようにする」(広報・IR室)狙い。」(前掲紙)
CBの発行条件は次の通りです。
2018年満期 発行額400億円 発行価額(払込金額)101% ゼロクーポン 転換価額1,445円(アップ率44.93%)
2020年満期 発行額250億円 発行価額(払込金額)100.5% ゼロクーポン 転換価額1,345円(アップ率34.90%)
昨日の終値の下落率は4%とCBが全額株に転換した場合の希薄化率14%を大きく下回った。
【リンク】
イオンリート投資法人は25日、複数の銀行からの協調融資で700億円を調達したと発表した。
(日本経済新聞2013年11月26日17ページ )
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「22日の東証への新規上場に伴う公募増資などを合わせ、最大1700億円弱を調達、イオンのショッピングセンターを中心に17物件を買い取る。」(前掲紙)
11月21日のエントリー(http://cfonews.main.jp/cfonews/?p=6771)の続報です。
資金の借り入れの内容は次の通りです。
短期
借入先 |
株式会社みずほ銀 行、株式会社三井住 友銀行及び三井住友 信託銀行株式会社を アレンジャーとする 協調融資団 |
借入金額 |
40億円 |
利率 |
基 準 金 利( 全 銀協3か月日 本円TIBOR) に 0.25 % を 加えた利率 |
返済期限 |
平成26年 10月20日 |
返済方法 |
期限 一括 弁済 |
長期
借入先 |
株式会社みずほ銀 行、株式会社三井住 友銀行及び三井住友 信託銀行株式会社を アレンジャーとする 協調融資団 |
借入金額 |
120億円 |
利率 |
基準金利( 全銀協3か月日本円TIBOR) に 0.25 % を 加えた利率 |
返済期限 |
平成28年 10月20日 |
返済方法 |
期限一括弁済 |
借入先 |
株式会社みずほ銀 行、株式会社三井住 友銀行及び三井住友 信託銀行株式会社を アレンジャーとする 協調融資団 |
借入金額 |
270億円 |
利率 |
基準金利( 全銀協3か月日本円TIBOR) に 0.40 % を 加えた利率 |
返済期限 |
平成30年 10月22日 |
返済方法 |
期限一括弁済 |
借入先 |
株式会社みずほ銀 行、株式会社三井住 友銀行及び三井住友 信託銀行株式会社を アレンジャーとする 協調融資団 |
借入金額 |
220億円 |
利率 |
基準金利( 全銀協3か月日本円TIBOR) に 0.60 % を 加えた利率 |
返済期限 |
平成32年 10月20日 |
返済方法 |
期限一括弁済 |
借入先 |
株式会社みずほ銀 行、株式会社三井住 友銀行及び三井住友 信託銀行株式会社を アレンジャーとする 協調融資団 |
借入金額 |
50億円 |
利率 |
基準金利( 全銀協3か月日本円TIBOR) に 0.90 % を 加えた利率 |
返済期限 |
平成35年 10月20日 |
返済方法 |
期限一括弁済 |
【リンク】
2013年11月25日「資金の借入れ及び金利スワップの設定に関するお知らせ」 [PDF]
驚異的な運用成績から「オハマの賢人」との異名をとる米著名投資家がウォーレン・バフェット氏が動いた。時価総額が世界2位のエクソン株を大量購入したのだ。米国株式相場が高値のなかでの大胆な決断。その背景を探る。
(日経ヴェリタス2013年11月24日20ページ )
【CFOならこう読む】
「長期投資を志すバフェットは必ずしも株式の値上がり益を追うわけではないというのだ。仮に株価が下がったとしても、企業は自社株買いのコストが下がるし、投資家にとっても買い増すチャンスが生まれる。企業が盛んに自社株買いをしてくれると必然的に、持株比率が上がり1株当たりの価値も増すので、長期の投資家にとって有利だというのがカリスマの考え方だ。」(前掲紙)
バフェットは、投資先が自社株買いを行うことを、間接的に株式を買うと表現しています。
自社株買いにより既存株主の出資比率が上がることをこう表現しているのです。
エクソンも高水準の自社株買いを継続しており、バフェットの大量購入の理由もここにある、というのが今日の記事です。
【リンク】
なし
将来の成長へ企業は前向きな資金の活用へ――。日本経済新聞社が主要上場企業の財務責任者を対象に実施した調査で、全体の5割超が手元の資金を設備投資に優先的に振り向けると答えた。研究開発やM&A(合併・買収)との回答も多く、成長投資を重視する姿勢が鮮明になった。
(日本経済新聞2013年11月22日3ページ )
【CFOならこう読む】
「調査では、優先度の高い2つを選ぶ形で資金の使い道を質問したところ、全体の53%が「設備投資」と回答した。生産能力の増強や効率化へ踏み出そうと考える企業が半数以上に達した。
(中略)
設備投資に次いで多かった回答が、「研究開発投資」の34%だ。「M&A」に振り向けるとの回答も26%あった。」(前掲紙)
賃上げと答えた会社は全体の7%にとどまったとのことです。
しかし設備投資も研究開発による事業化にもM&Aも人がいなければ成立しません。
雇用を伴うのです。そうして需要が多くなれば価格も上昇していくはずです。
【リンク】
なし
イオンが母体となって設立した不動産投資信託(REIT)、イオンリート投資法人が22日、東京証券取引所に上場する。小売り大手が設立したREITの上場は初めて。イオンは運営するショッピングセンター(SC)をREITに売却し、5年で5000億円規模を調達する計画だ。
(日本経済新聞2013年11月21日15ページ )
【CFOならこう読む】
「イオンリートは借入金700億円を含め最大1692億円強を調達。イオングループのSCなど17物件を1589億円で取得する。開業から3~20年を経て収益が安定した物件を選んだ。グループ最大のSC「イオンレイクタウン」(埼玉県越谷市)も組み入れる。」(前掲紙)
イオンはイオンリート法人にショッピングセンター等の固定資産を売却することに伴い、特別利益 69 億円(連結)、特別損失 69 億円(連結)を計上する見込みであると公表しています(http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1094301)。
特別利益と特別損失が同額であるのはプランニングの結果なのか、偶然の結果であるのかわかりませんが、リートに資産を譲渡する時点で含み益に対する課税が実現してしまうのが、優良物件がリートに供給されない要因の一つにであるとの指摘があります。
米国ではリーとに不動産を現物出資する際、不動産譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることを可能とするUPREIT(アップリート)と呼ばれる仕組みがあり、同様の制度の導入を検討すべきでしょう。ただし、その場合には米国のパートナーシップ制度と同様の制度の導入も併せて検討される必要があります。
【リンク】
なし
経済産業省はベンチャーキャピタル(VC)への投資を優遇する税制を拡大する検討に入った。出資した企業が法人税を圧縮できるVCの規模を「20億円以上」から「10億円以上」に緩める方向だ。小規模のVCへの資金供給を円滑にする狙い。
(日本経済新聞2013年11月20日4ページ )
【CFOならこう読む】
VCへの出資額への8割までを損金算入できるという税制優遇策です。
「公的機関の出資分も合わせて20億円以上なら、優遇を受けられるようにする。ただ、財務省は要件緩和に慎重で、調整が難航する可能性もある。」(前掲紙)
企業に溜ったキャッシュをはき出させることが狙いなのでしょう。
しかし、上場会社の場合、資本市場の規律が働く環境にあれば、無駄にキャッシュをため込むことはないはずで、そのような環境整備を行うことが本筋だと思います。
【リンク】
なし
武田薬品工業は2014年3月期から16年3月期までの3年間、1株当たりの年間配当額を180円に据え置く見通しだ。大型のM&A(合併・買収)は16年3月期までは抑制する方針。利益率が高い新薬を増やして収益回復を図る計画を進めており、配当や投資を抑える代わりに、事業活動で得た資金を新薬の研究開発などに振り向ける。
(日本経済新聞2013年11月19日17ページ )
【CFOならこう読む】
「武田のフランソワ・ロジェ最高財務責任者(CFO)が日本経済新聞の取材で語った。
(中略)
前期の通期業績を大幅に下方修正する一因となった、武田株の上昇に応じてグループ会社幹部の報酬額が増える株価連動型の報酬制度については、同制度が幹部社員の士気を上げ経営効率を高めるプラス面も大きいとして「今後も維持していきたい」と述べた。
」(前掲紙)
2013年3月期において、子会社である武田ファーマシューティカルズ・インターナショナル Inc.、武田ファーマシューティカルズ・インターナショナル GmbH、およびミレニアム・ファーマシューティカルズ Inc.で採用する報酬制度のうち、武田薬品の株価を参照する株価連動型報酬についての費用計上額は、3人の取締役合計で1,520百万円でした。
【リンク】
なし
年末にかけ株式市場では20数社のIPOが相次ぐ。先週末時点の集計で2013年は53社が上場する見込み。来年は70~80社と増加傾向が続くとの見方が多い。新しい企業を育て、成長を支えようという投資マネーが活気を取り戻しつつある。
(日経ヴェリタス2013年11月17日49ページ )
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「来年以降はクラウド関連などに加え、安倍政権が成長関連に位置付けるバイオ・再生医療関連の上場も一段と活発になりそう。「海外展開を狙う企業も多く、必要資金をIPOで調達する企業も出てくるだろう」と大和証券の久田信也・公開引受部長は予想する。」(前掲紙)
2013年9月21日の日経電子版の記事によると、今年1~9月に新規上場企業が市場から調達した資金は約3300億円で、2000年以来の水準、サントリー食品を除いても2007年以来の高水準ということです。
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