マザーズ株価9割下落で上場廃止
東京証券取引所は新興企業向け市場「マザーズ」の改革案を固めた。上場時に株式を公募した価格に比べて株価が9割以上下落し、一定期間回復しなければ上場廃止の対象とする。一方、上場誘致の対象も広げ、企業のすそ野の拡大も目指す。株価を意識した経営を求めるとともに、上場企業の新陳代謝を促し、市場の活性化を目指す。
(NIKKEI NET 2009年8月24日)
【CFOならこう読む】
「公募増資価格に比べ株価が9割以上下がったうえで、9ヶ月程度の猶予期間中に株価が回復しなければ、市場の信認を失ったと判断し、上場廃止にする。」(前掲紙)
理論株価=株主価値/発行済株式数
であり、株数が増加すれば当然株価が下がるわけですが、それ自体問題なわけではありません。
問題とすべきは、既存株主からの富の移転を伴うようなエクィティ・ファイナンスですが、希薄化を伴うファイナンスが直ちにそのような問題とすべきファイナンスであるとは限りません。同じ希薄化の場合でも、株式分割や株主割当の場合は基準となる公募価格も調整されるべきでしょう。
「廃止基準を厳格化する一方、上場の間口を広げて行く方針だ。現在、東証はマザーズの上場審査をするに当たり、将来の成長性に重点を置いているが、過去に高い利益の伸びが確認できれば上場しやすくする。」(前掲紙)
間口を広げるという方向性は賛成です。
ですが、過去新興市場に上場した多くの会社が、右上がりの高い利益の伸びを粉飾により達成し、実力とかけ離れた株価で上場したことを考えると、過去の成長性に上場審査の重点を置くことが、この傾向に拍車をかけることにならないか心配です。
TOKYO-AIMにおける指定アドバイザーのような制度がマザーズにあれば、この辺の状況はだいぶ違ってくるのではないかと僕は思います。
【リンク】
なし