ナルミヤ、逆V字で非公開化へ

(9時5分、監理、コード3364)買い気配で始まっている。現在の気配値は前日比800円高の3万8000円で、同水準で2万4000株を超す買い越し。29日の大引け後に筆頭株主のSBI(東証1部、8473)傘下の投資会社がTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表。TOB価格は1株あたり4万5000円と前日終値(3万7200円)を大きく上回るため、市場で買い付けてTOBに応募し、値ざやを得られるとの見方から買いが入っている。
NIKKEI NET 2009年9月30日

【CFOならこう読む】

非公開化のためのTOBに賛同する理由を会社は次のように説明しています。

「今後当社グループを中長期的に発展させるためには、短期的には損益にネガティブな影響を与える可能性の高い更なる抜本的な事業ポートフォリオの転換及び成長分野への積極的な経営資源の投入が不可欠であり、他方、①当社が上場を維持したまま上述のような抜本的な事業ポートフォリオの転換及び特定事業への経営資源の投入を行った場合、在庫や営業資産の減損等による一時的な損益の悪化や業績ボラティリティの上昇による投資リスクの増大に繋がり、配当等の株主還元策が中長期的に実施できない状態に陥る可能性がある他、一般株主の皆様に増大したリスクを負担させることになる、②一時的な損益の悪化は短期的な株価下落に繋がり、中長期的な業績ボラティリティの上昇は一般株主の皆様にリスク許容度を超えたリスク負担を求めることにもなりかねない、③同時に当社にとっても、株主還元策の実施や投資リスクの増大の回避が今後の経営改善策実施の阻害要因となりかねないとの理由から、公開買付者が本公開買付けにより当社を非公開化することが当社の企業価値向上に資するとの提案を受けました。
当社は、当社の企業価値向上に関する公開買付者及びSBIキャピタルからの上記の提案を受け、上記のような当社を取り巻く状況を総合的に考慮し検討した結果、当社株式を非公開化したうえで、上記で提案されているような事業戦略を遂行することが、当社の中長期的な企業価値を向上させるために有効な方策であるとの結論に至りました。」

お約束通りの説明です。僕は会社の説明をとても素直には受け取れません。

ナルミヤの過去の業績の推移は以下の通りです。

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この、上場時を頂点にした見事な逆V字をみなさんどのように見られますか?
この数字の裏には多くの人の血や涙が流れています。

2005年1月の業績は公開株価を作り込むためのまやかしだったのではないでしょか?
そして前期計上した大きな損失はいったい何でしょう?
「在庫や営業資産の 減損等による一時的な損益の悪化」ではないのでしょうか?

こういった疑問は推測にすぎません。しかし、日本の新興市場には同様の事例がヤマとあります。そしてそれが一般投資家の新興市場不信につながっているのです。

公開買付者は近い将来exitしなければなりません。基本的には再上場を目指すのでしょう。上場を目指して右肩上がり。上場後はまた例によって右肩下がり。そうすると逆V字が2つ並び、誰かのにやけた顔が出来上がります。

この顔は誰の顔でしょう?

新興市場の改革が今まさに議論されています。過去の成長実績を重視せよ、との声も聞こえてきます。

しかしそれだけでは第2、第3のナルミヤを誕生させるだけです。

必要なのは上場時における徹底的なデューデリです。このデューデリは第3者により、強権を持って行われる必要があります。税務調査のような半面調査も必須です。

この仕事を誰の手に委ねるか?
監査法人?
監査法人には反面調査は出来ません。

私は全ての新興市場にAIMのような指定アドバイザー制度が必要だと考えています。

【リンク】

2009年9月29日「SBI Value Up Fund 1 号投資事業有限責任組合による当社株式等に対する公開買付けに関する賛同意見表明のお知らせ」株式会社ナルミヤ・インターナショナル