企業、運転資金の圧縮急ぐ

企業が運転資金の圧縮を急いでいる。昨年秋の世界的な金融危機に直面し、安定した運転資金の確保が経営課題に浮上したためだ。外部からの資金調達を減らすことで財務の健全化にもつながる。企業の動きを追った。
(日本経済新聞2009年10月8日13面)

【CFOならこう読む】

正味運転資金=棚卸資産+売掛金-買掛金をいい、この分だけ資金調達が必要になります。

「「正味運転資金を5%減らせ」。日立製作所の全生産部門には、こうした宿題が出されている。運転資金が1日当たり売上高の何日分なのかを指標に据えて、毎年5%の削減が目標だ。納期短縮や在庫圧縮、不良品率の低下など工場ごとに運転資金の削減を進める。」(前掲紙)

この程度のことは多くの企業がすでに取り組んでいるところだと思います。

誤解してはいけないのは、運転資金の効率化は資産の効率的利用のために必要なのであって、これを削減することが即借入の圧縮につながるわけではないという点です。

資本構成をどうするかはあくまで資本コストとの関係で決まります。したがって運転資金削減により余剰となった資金を自己株取得に充てても良いわけです。

論点はずれますが、グループとしての資金効率を考えるうえでは、連結納税が非常に重要です。
子会社の繰越欠損金を連結グループに取り込めることを可能にするような改正の動きが国税庁や経済産業省の間で進められているはずですが、今日の新聞の1面の新政府税調の主要課題に挙げられていないのが気になります。

政権が変わったことにより、来年度の税制改正に盛り込まれないなんてことがないようにして頂きたいものです。

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