会社は誰のために存在するか?

ファーストリテイリングの低価格衣料店「ジーユー」は15日、490~1490円のフリース衣料を発売すると発表した。昨年の商品より20~40%程度安く、「ユニクロ」の半額程度。一部は販売を開始しており、10月末までに全品が出そろう。
NIKKEI NET 2009年10月15日

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ユニクロは2004年9月27日の「ユニクロは低価格をやめます」と宣言した広告を全国紙に出し、低価格に固執することを止め「高品質」を最重視することに方向転換しました。

その空いたところを埋めるのがジーユーです。ジーユーという会社名は、「もっと自由に着よう」からきています。ジーユーの至上命題は「驚きの低価格」です。

「お客様は驚くだろうということを前提にしないといけない。驚かないとお店に行こうと思わない。別の言い方をすると、お客様の期待を超える、デザインや品質と比べてコストパフォーマンスが抜群だと思ってもらう、ということだ」
(「成功は一日で捨て去れ」柳井正著 新潮社)

そうして誕生したのが990円ジーンズです。これが爆発的にヒットしました。今日のニュースの490円フリースは、「驚きの低価格」第二弾ということなのでしょう。

ところで柳井さんは、「成功は一日で捨て去れ」の中で会社は「お客様のため」に存在すると書いています。それが間違いだとは思わないのですが、それならイオンが990円以下のジーンズを売っているのに何故、

「ジーンズの値下げは考えない」(前掲紙)

のでしょうか?どうして20%もの売上高経常利益率が必要なのでしょうか?

「いくつかの経営課題同士が相互に矛盾することがあり、それを解決することは非常に難しい。簡単な例では「売上・利益を伸ばしたい」と「社員の給料をアップしたい」というのは完璧に矛盾する。1つずつ矛盾点を解決しながら進めるのが経営である」
(「成功は一日で捨て去れ」)

と柳井さんは言っています。全くその通りだと思います。しかし会社は唯一「お客様のため」に存在するとすると、この矛盾は永遠に解決しないと僕は思います。

僕は会社は「国富のため」に存在すると考えています。国というのは日本国に限定されません。世界という意味です。

企業価値創造というのは、国富創造と同意です。そして矛盾だらけの企業経営の成果を、価値創造という点で測定できるのは、パイ全体の成長とともに増大していく株主価値しかないと思うのです。

会社は株主のものだから株主価値が重要なのではなくて、国富創造の成果を株主価値でしか測れないから株主価値が重要なのです。そしてだからこそ株主価値が株価にきちんと反映される株式市場の存在が大切なのです。

だいぶ話が横道にそれてしまいました。

今日はここら辺でやめておきます。
今日は良い天気になりそうです。

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