日航再建問題 その2

日本航空の経営再建問題で、前原誠司国土交通相が週内にも藤井裕久財務相に公的資金注入などによる支援を要請する見通しとなった。公的資金と民間分を合わせた資本増強や債権放棄と債務の株式化で5500億円の金融支援を実施。今後は年金債務の削減などを実行できるかが焦点となる。
(日本経済新聞2009年10月22日1面)

【CFOならこう読む】

日航の作業部会による再建修正案は次の通りです。

1.実質債務超過額(存続価値ベース) 最大2700億円
2.資本増強 公的資金注入を含め3000億円
3.金融機関による債権放棄 2200億円
4.債務の株式化 300億円
5.つなぎ融資  2000億円
6.2014年度の営業利益  500億円~700億円
7.14年度の売上高  1兆2000億円
8.人員削減 9000人弱
9.年金債務の削減 支給額半額で積み立て不足を3300億円から1000億円にOBへの一時金一括払い
(前掲紙)

清算価値ベースでの債務超過額6000億円に対し存続価値ベースでの債務超過額は2700億円なので、国民負担を考えると公的資金を注入しても存続させるべし、というのが再建修正案の骨子です。

しかしこれは瞞しです。通常再生案件で真っ先に検討される、”スポンサーに売却”するという案が抜け落ちているからです。外資も含めスポンサーを探すという選択肢が最初から除外されている理由が分かりません(全日空との合併案、デルタとの資本提携案は検討されたようですが、そういう次元の話ではありません)。

だいたい株主責任は問われず、金融機関だけが債権放棄に応じる道理はないでしょう。

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なし