日本の競争力 − 楽天 三木谷社長の意見

−新政権に求めることは。「日本がもの作りだけでリードできる時代はもうすぐ終わる。米国の競争力の源泉は世界の頭脳を輸入している点にある。日本もいろんな人の知恵を集めて面白いサービスを作る枠組みを整えるべきだ。会計や商法などを国際基準に会わせる必要もある。」
(日本経済新聞2009年10月29日11面)

【CFOならこう読む】

ちょっと違う気がします。輸入したくても、閉鎖的な日本という国にどれだけの才能を集めることができるか、はなはだ疑問です。

米国にしろ中国にしろインドにしろ他にはない秀でた部分があるから多くの企業が出ていくのです。

日本が世界の頭脳を呼び込むのは、日本人が彼らにとって魅力的でなくてはできません。日本人にはポテンシャルがあるのに、それをうまくアピールできていないように思います。

日本がもの作りだけでリードできない、というのもミスリードを誘う表現です。確かに組み立て作業で生きていくのは難しいかも知れませんが、例えば研究開発という分野で生きていくことは十分に可能です。

会計や商法といったインフラは重要ですが、それが世界標準だからといって世界の頭脳を集められるわけではありません。

むしろ会計や商法は言語と同様その国の特性の一つを形作るもので、重要なことは他国との間の差異がきちんと示されていることだと思うのです(そのためにはコンバージェンスできる部分はしっかりやることが必要です)。

亀井静香金融担当相が、10月9日の会見で、IFRS導入に向けた金融庁の中間報告(任意適用は2010年3月から、強制適用は2012年をメドに決める)について、そんなことはやらないと言い放ちました。

「国々にはそれぞれの営みがある。会社経営も、それに合った形でやればいい話だ。今でも米国とか欧州はそうだろう。違うのはある面で仕方がないことだ。日本だってそう。日本の経営は、やはり日本の実態に合った形で、会計基準も適用していくべきだ。」
(週刊エコノミスト 2009年11月3日特大号)

はじめて亀井先生と意見が合いました(笑)。

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