グループ企業への法人税制、税制改正大綱に盛り込まれる

政府税制調査会は18日、2010年度税制改正に向けた最終案をまとめた。住宅を購入するために、親や祖父母などからもらったお金にかかる贈与税の特例の非課税枠を2010年中は1500万円、2011年中は1000万円に引き上げる。株式投資の配当と譲渡益を非課税にする制度も2012年から設け、年100万円を限度に3年間、総額300万円まで非課税にする。減税中心の税制改正で低迷する日本経済を下支えする。
最終案は同日午後の政府税調の会合で提示された。税調は今後、与党との調整などを経たうえで、22日の税制改正大綱の決定を目指す。

(日本経済新聞009年12月19日1面)

【CFOならこう読む】

連結納税制度の見直しも、大綱の中に盛り込まれるようです。連結納税開始時における子法人の繰越欠損金の持ち込みができるようになるのか
が気になるところです。

「資本に関係する取引等に係る税制についての勉強会」(平成21年7月)ではこの点次のように記載されていました。

「連結納税開始時や連結納税グループへの加入時における子法人の単体欠損金の持込制限を緩和することが考えられる」

緩和とはどういう意味なのかが実務家の間で色々と取りざたされていました。

「持込制限を緩和」とは「廃止」というわけではないですよね。例えば米国のサーリールールを想定してるということになるのでしょうか。

(中略)

「希望ですけれども、アメリカのサーリールールではなく、子会社の単体欠損金の持ち込みが単純に認めてもらえるのであれば非常に連結納税の使い勝手がよくなると
思います。

当然、悪意的な行為は規制するとして、今の環境下ですと子会社が繰越欠損金を持っている企業グループはたくさんあると思いますので、連結納税導入時における繰越欠損金の持ち込み制限の緩和は、非常に影響が大きいと思います。

やはりサーリールールのように欠損を出した当の会社単体の利益の範囲だけで欠損金が使える制度になるとすると、制度改正後も企業の行動はあまり変わらないと思います。
今後そこまで単体で黒字が出せるのかということもありますし、緩和されたとしても本当に連結納税を入れるメリットがあるのかというのは、将来のプランをきちっと描かないとわからないところであるので、ここは緩和じゃなくて抜本的に改正していただきたいというのが、本当に言いたいところですね。」

「SRLYルール:連結子法人の繰越欠損金のうち、連結加入前の事業年度において生じた欠損金について、その子会社の所得金額を上限に持ち込むことができる制度」
(週刊税務通信 平成21年12月7日号)

昨日発表された最終整理案では次のように記載されています。

「連結納税の開始又は連結グループへの加入に伴う資産の時価評価制度の適用対象外となる連結子法人のその開始又は加入前に生じた欠損金額を、その個別所得金額を限度として、連結納税制度の下での繰越控除の対象に追加する」

要するに、SRLYルールということのようですね。

【リンク】

「主要事項・要望項目等に関する最終整理案」[PDF]