デフレ克服に向けて金融緩和?

日本の消費者物価指数の変化率がマイナスを記録したのは、1934年の第3四半期のことである。それからあと、消費税増税による一時的上昇の原油価格の上昇を除けば、デフレが続いてもう久しい。
(日本経済新聞2010年1月14日14面)

【CFOならこう読む】

「正直言って日本のような先進国がデフレに陥ること自体が異常なのだが、かくも長期にわたりデフレが継続するのはさらに異常な事態である。今回の経済危機で世界的に懸念されたデフレは欧米では杞憂に終わった。世界的デフレの震源地と「誤解」された中国も、直近の消費者物価上昇率はプラスに転じた。それもこれも積極的な金融緩和政策のおかげである」(前掲紙)

僕にはこういう議論がさっぱり理解できません。
どこか遠い惑星から来た宇宙人の言葉を聞いているような気さえします。

こういう方は、デフレの根源とされているユニクロやニトリで買い物をしたことがあるのでしょうか?オーケーストアの賑わいを目にしたことがあるのでしょうか?

彼らがやっているのは、良いものを安く売り、きちんと利益を出すという、謂わば当たり前のことを徹底的に追及しているだけのことです。

それがうまく行っているのは、大きなイノベーションがあったからです。技術革新と言い換えても構いません。創意工夫と言ってもよいでしょう。

イノベーションのない会社が、こういう会社と闘うためには、ただただ価格を下げるしかありません。そしてドンドン疲弊していくのです。そういう会社はやがて消えてなくなります。

しかし、それは悪いことでしょうか?

僕はそうは思いません。新陳代謝を繰り返すのが資本主義の大前提であると思うからです。駄目になった産業や企業は市場から退出する。そしてその人たちが新しい産業を興す。そのようにして経済は回って行くのです。

しかし今の日本はそういう風には出来ていません。

駄目になった産業や企業に皆いつまでもしがみついています。他に行くところがなければ仕方ないですよね。起業して失敗したら二度と浮かび上がれないような社会であるなら恐くて起業なんて出来ません。

つまり高度経済成長期にはうまく回っていた構造が今も存在し続けていることが問題なのです。

こういうことが、金融緩和すれば一気に全て解決するのでしょうか?金融緩和を唱える人たちはマクロ経済の専門家かも知れませんが、教科書に書いてあることしか知らない専門馬鹿、マクロ馬鹿だと僕には思えます。

問題の本質は全く別のところにあるのです。

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