長期金利1.3%割れ

25日の債券市場で、長期金利の指標である新発10年物国債利回りが心理的な節目の1.3%を割り込んだ。終値は前日比0.020%低い1.295%。1.3%を下回るのは12月末以来、約2ヶ月ぶり。市場関係者の間には、日米の景気の先行き不透明感がじわり浸透。安全資産とされる国債に資金が流入している。
(日本経済新聞2010年2月26日4面)

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「日本経済は二番底のリスクは回避しつつあるが、景気の持ち直しの動きが鈍くなる可能性がある。先行きの不透明感から民間・個人向けの貸し出しが伸びない銀行勢が、国債に余剰資金を振り向ける構図が続き、金利低下を促している。
世界の金融・資本市場では、国債増発に伴う財政悪化で、金利上昇を警戒する声が強まっている。日本も巨額の長期債務を抱えているが、国内投資家層の資金で国債を消化できていることから、足元では金利上昇につながっていない」(前掲紙)

国債の消化が順調に進んでいる理由を、文芸春秋3月号の「ついに国債破綻が始まった」で、野口悠紀雄氏は、「民間の投資支出が激減したため」であるとした上で、設備の更新が進まなければ生産力が低下し、財政は今後ますます細ると述べています。

さらに国債を国内で消化できる状況はそう長く続かない可能性があることを次のように指摘しています。

「国際通貨基金(IMF) は、昨年7月に発表した「カントリー・レポート」のなかで、このままのペースで日本の政府債務が増え続ければ、2020年頃に国債を国内で消化しきれなくなると予測している。
10年後だと遠い先のような気がするかもしれない。しかし、これより速いペースで国内消化が行き詰まることは、十分にあリ得る」(前掲誌)

国内で消化できなくなったときに何が起こるか。
野口氏はインフレと円安である、と断言しています。

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