金庫株の放出3割減

企業が保有する金庫株の放出が増えている。2009年度(2月までの累計)に金庫株放出を表明した企業数は延べ140社と前年同期より3割弱増えた。設備投資資金の調達という成長戦略を描く必要がある一方、株式持ち合いに使う動きもある。株主配分として評価される自社株買いとは逆の動きで、需給悪化を懸念する声も出ている。
(日本経済新聞2010年3月10日19面)

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「調査会社のアイ・エヌ・情報センターによると、2008年度から2009年度にかけて金庫株の活用法は大きく変わった。2009年4月までは金庫株を消却する企業が放出する企業を毎月上回っていたが、同年5月以降は放出する企業の方が多い」(前掲紙)

今年の金庫株放出の主な事例

成長資金の確保・・・日ケミコン、西島、フォスター
取引先と関係強化、安定株主対策・・・ブックオフ、CDS、栄光、協エクシオ、エディオン
株式交換や資本提携など再編関連・・・協和キリン、インテリW、雪国まいたけ、イズミヤ
(出所:前掲紙)

「ただ、自社株買いでEPSの押し上げ効果を期待した投資家にとっては、金庫株放出は期待外れ。需給悪化懸念で株価も下落しかねない」(前掲紙)

金庫株放出といっても本質的な意味は増資と変わるところはありません。調達する資金が価値創造につながる投資に向けられるか、資本構成に問題がないかといった観点から問われるべきです。

金庫株放出そのものが悪いわけではありません。

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