「世界標準」の呪縛を解く時

オバマ米大統領の新金融規制案(ボルカー・ルール)は、金融のビジネスモデルに修正を迫るものとして議論を呼んでいる。国際会計基準(IFRS)を巡る問題も、米欧政府が慎重な姿勢に転じて足並みが乱れてきた。これらはリーマン・ショック後のパラダイム転換に伴う「グローバルスタンダード(世界標準)の変化を予感させる動きだ。
(日本経済新聞2010年3月16日17面 一目均衡)

【CFOならこう読む】

「金融がもうからない産業になるのが問題なのではない。ボルカー・ルールは欧州の銀行・証券兼営の伝統的モデルとは相いれず、金融システムの米欧二制度体制に戻ることを意味する。「原則自由」で金融市場を最大活用する米国には必要な規制が。「原則禁止」で市場の活用に禁欲的な欧州にも必要とは限らない。
世界を単一モデルと単一規制で覆う一極集中型世界標準の時代の終焉である。経済の国際化、市場化、金融化が促す会計基準の統合も、世界は国ごとに制度も企業の実態も異なる現実を踏まえた柔軟な対応が必要になる」(前掲紙)

特に会計は言語と同様その国の特性の一つを形作るもので、世界が一つになればそれで良いというものでもありません。以前このブログでも取り上げましたが、亀井静香金融担当相の昨年10月9日の会見の以下のコメントに私は同意します(その後亀井氏はこの発言を取り消したと聞いていますが)。

「国々にはそれぞれの営みがある。会社経営も、それに合った形でやればいい話だ。今でも米国とか欧州はそうだろう。違うのはある面で仕方がないことだ。日本だってそう。日本の経営は、やはり日本の実態に合った形で、会計基準も適用していくべきだ。」(週刊エコノミスト 2009年11月3日特大号)

その後亀井氏はこの発言を取り消したと聞いていますが、重要なことは他国との間の差異がきちんと示されていることです。そのためにはIFRSをきちんと理解した上で、コンバージェンスできる部分はしっかりやることが必要だと私は思います。

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