グルメ杵屋、直営全店対象に退去費見積り

うどんチェーンのグルメ杵屋は2011年3月期、「資産除去債務」と呼ぶ新しい会計基準520店の直営店に適用する方針だ。将来、営業不振などで閉店・退去する可能性があることから、退去費用を見積もって財務諸表に反映させる。費用は11年3月期に特別損失として計上する予定だ。
(日本経済新聞2010年3月20日16面)

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「資産除去債務は工場などの固定資産を解体・撤去する際の費用をあらかじめ見積り、負債に計上するもの。グルメ杵屋は大半の飲食店を直営方式で商業施設を中心にテナント出店しており、退去の際は原状回復費用が平均で460万円かかる見通し。525店全店だと約24億円に上る」(前掲紙)

資産除去債務に関する会計基準の適用指針(企業会計基準適用指針第21号)は、建物等賃貸契約に関連して敷金を支出している場合の会計処理として、敷金等から減額できる旨記載しています。

「9.建物等の賃借契約において、当該賃借建物等に係る有形固定資産(内部造作等)の除去などの原状回復が契約で要求されていることから、当該有形固定資産に関連する資産除去債務を計上しなければならない場合がある。この場合において、当該賃借契約に関連する敷金が資産計上されているときは、当該計上額に関連する部分について、当該資産除去債務の負債計上額及びこれに対応する除去費用の資産計上に代えて、当該敷金の回収が最終的に見込めないと認められる金額を合理的に見積り、そのうち当期の負担に属する金額を費用に計上する方法によることができる」

なおこの処理を行なう場合には、適用初年度の期首において、敷金の回収不能見込額のうち前期以前の負担に属する金額を、特別損失に計上します(適用指針15項)。

従って、グルメ杵屋が11年3月期に特別損失として計上するのは10年3月期以前負担分であると思われます。

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