JXホールディングス、負ののれん1800億円

新日本石油と新日鉱ホールディングスが統合し、1日付で発足したJXホールディングスは、2011年3月期の連結純利益が2700億円になりそうだと発表した。両社がそれぞれ出していた前期推定値の合計(590億円)と比べて4.6倍に伸びる。統合に伴う「負ののれん」約1800億円を特別利益に計上するため。
(日本経済新聞2010年4月2日15面)

【CFOならこう読む】

「今回の統合は会計上は新日石が新日鉱HDを買収する形になる。3月末の株価水準では買収価格が時価純資産を大きく下回るため、「負ののれん」として約1800億円を見込む。2011年3月期からM&Aに関する会計基準が変わり、負ののれんが生じた場合は統合した時点で特別利益に一括計上する必要がある」(前掲紙)

平成22年4月1日以降実施される企業結合から適用される新しい企業結合に関する会計基準では、負ののれんを従来の規則償却から一括特別利益計上に変更しています。

その理由を110項で次のように説明しています。

「識別可能資産の時価の算定が適切に行なわれていることを前提にした上で、負ののれんの発生原因を認識不能な項目やバーゲン・パーチェスであると位置付け、現実には異常かつ発生の可能性が低い
ことから、異常利益としての処理が妥当であると考えるものである」

PBR1倍割れであるなら負ののれんが生じる可能性があるわけですが、現在の日本の状況では、PBR1倍割れが以上かる発生の可能性が低いとは言い難くこの説明には無理があるように思います。

むしろIFRSがこの処理を採用しているから、コンバージェンスのためこのように変更せざるを得なかったというのが本当のところでしょう。

それではIFRSは何故負ののれんを一括で特別利益に計上することを求めているのでしょうか?
それはIFRSの負債の定義に、この負ののれんが当てはまらないからです。

何とも頭でっかちな話です。

但し新会計基準33項に記載されている次の項目は非常に重要であり、十分に斟酌する必要があると考えられますのでご留意ください。

「(1) 取得企業は、すべての識別可能資産及び負債が把握されているか、また、それらに対する取得原価の配分が切に行なわれているかどうかを見直す。

(2) (1)の見直しを行っても、なお取得原価が受け入れた資産及び引き受けた負債に配分された純額を下回り、負ののれんが生じた事業年度の利益として処理する」

【リンク】

2010年4月1日「平成23年3月期の業績予想について」 JXホールディングス株式会社