東証の上場会社、独立役員187社が未確保

東京証券取引所は5日、一般株主の保護を目的に上場会社に導入するよう義務付けた「独立役員」の3月31日時点の設置状況を公表した。届け出済み2094社のうち「未確保」と届け出たのは、9%にあたる187社。3月期決算企業は、2011年6月末以降に未確保ならば上場規則違反となり、企業名公表などの措置が適用される。
(日本経済新聞2010年4月6日13面)

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独立役員とは、一般 株主と利益相反が生じるおそれのない社外取締役又は社外監査役を いい、上場企業は1名以上確保することが求められるようになりました。

さらに「独立役員届出書」を取引所に提出し、公衆の縦覧に供することに同意することが求められます。

上場企業は、独立役員の確保の状況(独立役員とし て指定する者が、以下のaからeまでのいずれかに該当する場合は、それを踏まえてもなお独立役員として指定する理由を含む。)を開示しなければなりません。

a 当該会社の親会社又は兄弟会社の業務執行者等(業務執行者 又は過去に業務執行者であった者をいう。以下同じ。)
b 当該会社を主要な取引先とする者若しくはその業務執行者等 又は当該会社の主要な取引先若しくはその業務執行者等
c 当該会社から役員報酬以外に多額の金銭その他の財産を得て いるコンサルタント、会計専門家又は法律専門家(当該財産を得ている者が法人、組合等の団体である場合は、当該団体に所 属する者及び当該団体に過去に所属していた者をいう。)
d 当該会社の主要株主
e 次の(a)又は(b)に掲げる者(重要でない者を除く。)の 近親者

(a) aから前dまでに掲げる者
(b) 当該会社又はその子会社の業務執行者等(社外監査役を 独立役員として指定する場合にあっては、業務執行者でない取締役若しくは業務執行者でない取締役であった者又は 会計参与若しくは会計参与であった者を含む。)

独立役員の確保に係る規定は、平成22年3月1日以降に終了した事業年度に係る定時株主総会の翌日から(3月期決算会社であれば、平成22年6月末までに開催される定時株主総会の翌日から)適用となります。

平成22年3月末日現在で就任している社外取締役又は社外監査役のうちに、東証の規定する独立役員の定義に該当する者が存在していない場合には、遅くとも、平成23年3月1日以降に終了する事業年度に係る定時株主総会の翌日までに、独立役員を確保することが義務付けられています。

平成22年3月31日までに受理された独立役員届出書一覧を概観する限り、ほとんどの企業の独立役員は上記a~eに該当しない旨記載がなされています。

【リンク】

2010年4月5日「独立役員届出書一覧」東京証券取引所