IFRSの強制適用、企業財務担当など8割が賛成
企業の財務担当者やアナリストらの8割がIFRS適用に賛成ー。大和総研の調査で、上場企業に対するIFRSの強制適用に前向きな関係者が多いことが分かった。反対は1割にとどまっており、日本でもIFRS導入は不可避との認識が広がっていそうだ。
(日本経済新聞2010年4月9日13面)
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このニュースのソースは大和総研が2010年3月25日に公表した、国際会計基準導入に関するアンケート調査結果です
「金融庁は2015年~2016年に強制適用の可能性を示唆しているが、企業の財務担当者の76%、市場関係者の81%が強制適用に「賛成」と答えた」(前掲紙)
これを見る限りほとんどの関係者が強制適用に無条件に賛成しているように見えますが、実はそうとも言えません。この質問は次のようなものです。
2009年6月に企業会計審議会が公表した今後のスケジュールでは、2012年前後に、上場企業に、国際会計基準を強制適用するか否かを決定することとしています。強制適用することについて賛成です
か?
(a)上場企業に適用を強制することに賛成である
(b)賛成だが、適用対象をもっと広げるべきである(非上場の有価証券報告書作成企業、非上場の金融機関・保険会社・証券会社、会社法上の大会社など)
(c)賛成だが、適用対象をもっと狭めるべきである(海外で資金調達・事業を行なっている企業に限る、一定規模以上の上場会社に限る、新興市場を除外するなど)
(d)反対である
(e)わからない
(f)その他
この質問のアンケート結果は次の通りでした。
財務諸表作成者 | 財務諸表利用者 | |
(a) | 20% | 32% |
(b) | 21% | 30% |
(c) | 35% | 19% |
(d) | 11% | 8% |
(e) | 13% | 10% |
(f) | 0% | 1% |
約8割と言っている中に(c)が含まれています。財務諸表作成者だけを見ると(c)が35%と一番多いのです。
つまり諸手を挙げて強制適用に賛成している人が8割いるわけではないのです。この点はミスリードにつながりかねないところで、とても重要であると私は思います。