パナソニック電工、完全子会社化遠のく

環境銘柄の代表格、パナソニック電工株が5月上旬から大幅に値下がりしている。変調の背景には親会社パナソニックの「戦略転換」がある。「2012年度までの中期計画では、パナ電工や三洋電機との資本関係はこのまま」。
下落のきっかけになったのが、7日夜のアナリスト説明会でパナソニックの大坪文雄社長が述べたこの発言だ。

(日本経済新聞2010年5月26日15面)

【CFOならこう読む】

「直後の10日、パナソニックの完全子会社化をにらんで買われていたパナソニック電工株は7%安と急落。26日までの下落率は18%に達し、この間の日経平均株価の下落率(約8%)を大きく上回る」(前掲紙)

プレミアム期待が剥げ落ちたということです。

背景にあるのが財務の悪化だ。三洋電の買収などで3月末の有利子負債は手元資金を約1200億円上回った。借入超過は14年ぶり。パナ電工の完全子会社化にはプレミアムを含め5000億円規模の資金が必要で、約16%分の金庫株(約4300億円相当)を活用しても余裕は乏しい。「強固な財務を取り戻す」(大坪社長)方が優先順位は高くなる」(前掲紙)

「強固な財務」とは、Net debtゼロを指します。しかし「パナ電工はパナソニックの連結経営に欠かせない存在」であるなら、市場環境を考えても今が完全子会社化の絶好のタイミングだと思います。無借金経営が何より優先するというのは理解できません。

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