日本証券業協会、社債の時価情報開示

日本証券業協会は社債市場を活性化するため、社債の時価情報開示を柱とした制度整備に乗り出す。社債の取引価格を日ネット上で公表するほか、低格付け社債については金融機関が投資家に代わって経営を監視する仕組みを導入する。市場の透明性を高めて内外の投資家が社債を保有しやすくし、幅広い企業に資金調達の機会を与える。米国の10分の1程度にとどまる社債市場の拡大を目指す考えだ。(日本経済新聞2010年6月13日1面)

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「日証協は来年中にも売買の多い社債の取引価格をネット上で1日1回公表。段階的に対象銘柄や公表の回数を増やす。企業の財務状態などに応じて日々変わる社債の時価がわかるようになれば、個人投資家でも機動的に売買し、損益を確定できるようになる。
現在は発行の道が事実上閉ざされている低格付け企業の社債発行も後押しする。信用力の低い企業には財務状態を監視する社債管理会社を必ず付ける仕組みを検討。
(中略)
証券界が社債市場の改革に踏み切るのは、国内の社債発行残高が59兆円(2009年末)と、米国(約620兆円)の10分の1以下に低迷しているためだ。発行企業が一部の高格付け企業に偏り、資金調達手段として定着していない。個人や海外投資家の保有割合も1~2%程度にとどまる」(前掲紙)

菅首相がどう言おうと、日本企業の資金調達が直接金融の方向に向かっているのは間違いありません。社債の発行が増加して行くことが予想される中、日証協によるインフラ整備は評価できます。

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