【資本政策詳解】パピレス

パピレスの株式上場の概要は次の通りです。

パピレスは、創業者である天谷幹夫社長が、富士通株式会社の社外ベンチャー制度を利用し、1995年に設立した、国内出版社約500社から電子書籍をアグリゲーション(収集)し、主に携帯電話、PC等の情報端末利用者(ユーザー)に対し、ディストリビューション(配信)することにより電子書籍の販売を行っている企業です。

公募価格は2,700円、、予想PER13.0という水準での株式公開となりました。

パピレスの主な資本政策は (表2)の通りです。

2005年に資本準備金取り崩しによる欠損金の補填を行なっており、必ずしも順風満帆で来たわけではないことがわかります。

この他2009年6月27日に従業員に対しストックオプションを発行しています。発行数は株式分割希薄化後で普通株式5,000株(内500株失効)、発行価格は2,200円。

株式の発行価額及び行使に際して払込をなすべき金額は、類似会社比準方式により算定した価格を総合的に勘案して決定された、直近(2009年3月)における第三者間の相対取引での価格です。

上場後時点で天谷社長単独で1/3%超の持分を確保する資本政策となっています。従業員に対するインセンティブはストックオプションによっています。

iPadにより、電子書籍の可能性が多くの人により再認識されていることが追い風パピレスのIPOにとって追い風になると思われますが、今後の競争激化が予想され、それがパピレスの業績にどのような影響を与えるのかという点について、有価証券届出書を読んでもよくわかりません。

パピレスの上場は、2009年3月期を直前決算期としているため、届出書の情報は少し古いのです。
パピレスのような技術革新の進み具合が早い業種の属する企業が1年以上も前の決算期を直前期として上場するのはいかがなものでしょう。もう少し待って2010年3月期を直前期としないのは誰の都合なのか、上場のタイミングが良過ぎるだけにうがった見方をしたくなります。

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