100%子会社の株式消却損-JCOMのケース

ケーブルテレビ最大手のジュピターテレコムが27日発表した2010年1~6月期の連結決算(米国会計基準)は、純利益が前年同期比41%増の202億円だった。1~6月期での最高益を更新した。1つの世帯が契約するサービス数の伸びがけん引した。連結子会社の清算に伴い、株式の消滅損失を計上して税金費用が減るのが寄与した。
(日本経済新聞2010年7月28日15面)

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100%子法人の解散・清算した場合の税務上の処理が9月30日を境に変わります。

平成22年9月30日以前の解散
・100%子法人株式の消却損は損金算入
・子法人の未処理欠損金は切り捨て

平成22年10月1日以後の解散
・100%子法人株式の消却損は損金不算入
・子法人の未処理欠損金額は親法人に引継がれる

グループ税制導入に伴い、100%完全支配関係にある法人同士を一体ととらえる考え方が適用されるようになり、子法人株式の消却損の損金算入は認められなくなり、代わりにその子法人の未処理欠損金額を親法人が引き継げるようになるという改正です。

昨日(7月27日)開示されたJCOMの2010年12月期第2四半期の決算短信資料を見ると次の記載があります。

「当社は連結子会社である株式会社ジェイ・スポーツ・ブロードキャスティングの中間持株会社2社(いずれも連結子会社)の清算を決定いたしました。税務上、当社に株式の消滅損失等が発生するため、連結決算上、税金費用等が41億円減少することとなりました。」

中間持株会社はおそらく100%子会社であり、そうであるなら、税務上の検討をしたうえで9月30日以前の解散を選択したものと思われます。

ただし。未処理欠損金額を引き継いだ方が有利な場合もあるので、100%子会社の解散を検討している会社は、9月30日以前又は以降のいずれの解散を選択するか急いで検討する必要があります。

【リンク】

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