子会社化に伴い連結貸借対照表に計上される無形固定資産 – キヤノン・オセ

キヤノンがオランダのプリンターが大手、オセの買収に伴い約900億円の「のれん」を計上する見通しとなった。オセ買収で新たに発生したのれんに加え、過去にオセが米社買収で計上したのれんを引き継いだ。オセの年金積立不足なども響き、今回計上するのれんの額は買収総額の9割の水準に達する。
(日本経済新聞2010年8月28日15面)

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「のれんのほかに、オセの持つ顧客名簿や特許権などを時価評価して無形固定資産に計上した。計上額は500億円程度で、こちらは一定年数で償却する。償却年数は未定だが、仮に5〜10年で償却すれば年間で50億円〜100億円程度の減益要因となる」(前掲紙)

米国会計基準では、子会社化に伴い識別できる無形固定資産を取得日の公正価値で認識します。

資産が識別可能であるためには、次のいずれかの要件を満たす必要があります(SFAS141R P3K)

「(a) 分離可能要件
企業の意図にかかわらず、企業から分離できる、分割でき、個々にまたは関連する契約、識別した思案、または負債とともに、売却、移転、ライセンス付与、貸付け、または交換できる能力がある資産

(b) 契約・法的要件
権利が移転できる、または企業から分離できるかどうかにかかわらず、契約上またはその他の法的権利から発生する資産」
(「M&Aの会計実務」長谷川茂男著 中央経済社)

顧客リストは、(b)の契約・法的要件は満たしませんが、(a)の分離可能要件を満たすので無形固定資産として計上されます。

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