Uアローズ自己株TOB、エービーシー・マート保有株全株売却へ

靴専門店大手のエービーシー・マートは30日、発行済株式の24.3%を保有する若者向け衣料品専門大手、ユナイテッド・アローズ(UA)の全株を売却すると発表した。UAが31日から実施する自己株式のTOBに応じる。売却額は最大約107億円となる見込み。一部業務の共通化など連携を模索したが、UAの抵抗が強く資本関係を解消する。
(日本経済新聞2010年8月31日13面)

【CFOならこう読む】

当ブログでは、2009年6月4日のポスティングでABCマートのUA買収
はうまく行かないであろうことを指摘していました。
https://cfonews.main.jp/cfonews/?p=578

「UAの公開買付価格は1株1000円で、30日終値1132円を11.66%下回る。ABCマートのUA株の取得価格は1株当たり約670円で、保有株をすべて売却した場合には単純計算で約34億円の利益が発生する」(前掲紙)

ディスカウントTOBですね。UAの自己株TOBには上限25%が設定されているため、ABCマート以外の株主が応募してきた場合、あん分比例方式により買付されるため、ABCマートの保有株の一部が売却されないことになることを避けるため、市場価格を下回る価格をTOB価格として設定するのです。

ディスカウントTOBの場合、価格の算定根拠を説明するのが難しいのですが、UAは次のような説明を行っています。

「当社普通株式を保有し続ける株主の利益にも配慮し、資産の社外流出をできる限り抑えるべく、当社普通株式の市場価格に一定のディスカウントを行なった価格により買い付けることにいたしました」

なお本件ではGCAサヴィアンが第三者機関として株価算定をおこなっていますが、市場価格法では1093円〜1148円、DCF法では1167円〜2737円と評価されており、1000円というTOB価格はサポートされていません。

【リンク】

2010年8月30日「自己株式の取得および自己株式の公開買付けに関するお知らせ」株式会社ユナイテッドアロース [PDF]