パルコと日本政策投資銀行の提携、森トラスト反対

パルコと日本政策投資銀行との資本・業務提携について、パルコの筆頭株主で発行済株式の33.26%を保有する森トラストが反対していることが3日明らかになった。将来の株式数が増加する提携策で株式の希薄化につながるため。ただ、パルコは大量買付行為への対応方針(買収防衛策)を導入済みで、森トラスト側は「敵対的に株式を買い増すことは事実上難しい」としている
(日本経済新聞2010年9月4日)

【CFOならこう読む】

「パルコは8月25日に政投銀を引受先とするCBを発行し150億円を調達することを発表。中国進出など事業拡大を進める計画だ。一方で森トラストは1月下旬にパルコに第三者割当増資の引き受けを提案、出資比率を45~49%前後に引き上げようとしていた」(前掲紙)

パルコとしては森トラストによる1/3超の持分取得を拒否すべく、ホワイトナイトとして白羽の矢が立ったのが政投銀ということなのでしょう。

「森章社長は日本経済新聞の取材に対し「敵対的TOBは考えていないが、株主総会で経営陣の解任動議をだすことを検討したい」と述べた」(前掲紙)

パルコの買収防衛策は、所定のルールを遵守した場合、防衛策の発動はせずTOBによる株主の判断に委ねる、というタイプのものなので、森トラストとしてはTOBを仕掛けても良かったのにと思いますが、後手を踏んでしまった今となっては攻め手が難しくなりました。

CBの株式への転換権は向こう3年間行使できないという条件が付与されているのですが、パルコ側の承認があればこの制限は解除できる設計になっています。

【リンク】

2010年8月25日「株式会社日本政策投資銀行との資本・業務提携及び第三者割当による無担保転換社債型新株予約権付社債の発行に関するお知らせ」株式会社パルコ [PDF]

2010年4月10日「大規模買付行為への対応方針(買収防衛策)に関するお知らせ」株式会社パルコ [PDF]