IFRSとのコンバージェンス一部先送り

日本の会計基準を議論する企業会計基準委員会(ASBJ)は16日、一部の会計基準について国際会計基準(IFRS)との共通化計画を見直すことを決めた。のれん代の償却など企業結合や、無形資産の基準について「来年6月まで」に期限を先送りする。金融商品の基準も欧米当局の協議に合わせ公開草案の公表を数ヶ月延期する。
(日本経済新聞2010年9月17日15面)

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「ASBJはこれまで年内の共通化を目指していたが、のれん代の償却方法を変更した場合、単独の財務諸表で税法などとの整合性に問題が出てくるといった指摘が出て、企業や政府の議論が続いている。こうした議論の動向を踏まえ、延期を決めた」
(前掲紙)

現状、会計上、のれんは20年以内の期間で規則的に償却することとされていますが、税法上ののれんである資産調整勘定は5年間の月割償却しか認められていないので、会計処理と税務処理が異なり別表調整が必要となる場合があります。税法上の資産調整勘定は損金経理要件がなく、強制償却が要求されています。

したがってすでにのれんの処理について単独の財務諸表と税法の整合性に問題が生じているとも言えるわけですが、IFRSとのコンバージェンスの結果、永久差異になってしまうことがよろしくないということで、調整が行なわれているのでしょう。

しかし実務サイドとしては税務上資産調整勘定の償却が認められなくなるのはよろしくないわけで、のれんの会計処理について無理にコンバージェンスしてもらわなくても構わないという風にも思います。

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