東急不動産の連結対象外SPCの連結スキーム

東急不動産は28日、ゴルフ場事業の再構築に伴い、2010年4〜9月期に289億円の減損損失が発生すると発表した。同社が全額出資するSPCが保有物件を9月末に売却し、237億円の配当収入が発生するため、連結純利益予想を変更しなかった。
(日本経済新聞2010年9月29日17面)

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プレスリリース及び新聞記事によると一連の取引は次の通りです。

1.東急不動産が保有する以下のゴルフコースを新たに設立するTLCゴルフリゾートに吸収分割する(新設分割ではない)

大分東急ゴルフクラブ
阿蘇東急ゴルフクラブ
勝浦東急ゴルフコース
筑波東急ゴルフクラブ
蓼科東急ゴルフコース
望月東急ゴルフクラブ
小見川東急ゴルフクラブ
季美の森ゴルフ倶楽部
有田東急ゴルフクラブ
那須国際カントリークラブ

2.上記分割をするに当たり減損損失を計上する

簿価 564億円 減損損失額 289億円(連結)284億円(単体)

3.連結対象外SPCが新たに新設するSPC3社(連結対象とする)に「日本橋東急ビル」「市ヶ谷東急ビル」など5物件を売却する。これにより連結対象外SPCから237億円の配当収入が発生する

これにより当期純利益については業績予想は据え置くこととしています

連結対象外SPCの有する含み益を実現することで減損損失と相殺するスキームです。そもそもこのSPC連結対象としなくて良かったのか、という疑問は残ります。

仮に連結対象であったなら、この取引は連結グループ内の取引ということになり、含み益の実現はできない、ということになります。

【リンク】

2010年9月28日「業績予想の修正に関するお知らせ」東急不動産株式会社 [PDF]
2010年9月28日「会社分割に関するお知らせ」東急不動産株式会社 [PDF]
2010年9月28日「特別損失の発生に関するお知らせ」東急不動産株式会社 [PDF]