キリンHD買収額3500億円確保

4年間で海外強化や多角化推進

キリンホールディングスは2012年12月期までの4年間で、約3500億円の買収資金を確保する。相次ぐM&Aで投資額も膨らんだが、資産の流動化を加速。買収に伴って稼ぎ出す現金も増えてきたため、少子高齢化などで国内酒類市場が縮小傾向にあるなか、海外事業の強化や多角化に向けて今後も積極的にM&Aを進める方針だ。
(日本経済新聞2009年3月12日15面)

【CFOならこう読む】

「今期末の有利子負債は約7140億円と前期末比8%増える見通し。有利子負債を自己資本で割った比率(DEレシオ)は0.74倍程度に上昇する。

これに対応し、資産の流動化を急ぐ。M&A後にリストラ策の一環として一部事業の売却などを進め、豪州地域だけでも約2億豪ドル(約125億円)の現金収入を見込む。今後4年間で株式や土地など計1000億円分の資産流動化を計画しており、今期中にも約600億円分の資産流動化を計画している。

同社はDEレシオについて0.5倍前後が望ましいレベルとしながらも、「一時的には1倍程度までの上昇は許容できるとしている」(財務担当の吉元良治常務)。」(前掲紙)

DEレシオを限界値として設定しているのか、目標値として設定しているの区別する必要があります。

最適資本構成を睨みながら、中期計画の中でDEレシオを目標値として設定する、そんな財務先進企業は日本ではそれほど多くないのです。キリンHDは、戦略投資の制約条件として、DEレシオの限界値を1倍に設定する一方、DEレシオ0.5倍を最適資本構成としているということです。

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