【資本政策詳解】小田原機器

小田原機器の株式上場の概要は次の通りです。

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小田原機器は、1979年設立、路線バス用運賃箱関連をはじめとした製品の開発、製造、販売、メンテナンスサービスを主たる事業領域としている会社です。特にバス運賃箱は、ユーザーとの取引関係を構築した後に、カード機器関連製品やその他のバス用機器等での取引に発展する側面があるなど、業績面だけでなく事業戦略面でも重要な位置づけにあります。

2008年12月末時点において同社のバス運賃箱は、北海道から沖縄までの全国各地で287社局のバス事業者に利用されており、社団法人日本バス協会に加盟しているバス事業者の乗合バス保有台数の合計約57,500台に対して、同社の調査によると、約 29,000台の当社製バス運賃箱の稼動が確認できています。

公募価格は1800円、2009年12月期見込みEPSが367.65円なのでPER4.9倍という水準での株式公開となります。また、2008年6月期実績のBPSが3,456.61円なのでPBRは0.52と低価格での株式公開となります。

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小田原機器の主な資本政策は (表2)の通りです。

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財務状況は極めて良好で、キャッシュも潤沢です。2006年11月のファイナンスも持株会や取引先に対し行ったもので、資金調達の必要性があって行ったものではありません。このときの株価は純資産に基づき決定しており、わかりやすいと言えます。

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津川善夫社長の持株割合はこの上場により50%を割ります。小田原鉄工所及び親族である津川高行(小田原エンジニアリング会長)と合わせて50%超を確保する資本政策になっています。従業員へのインセンティブは、従業員持株会とストックオプションによっています。

この会社現金預金だけで25億円保有しています。これを上場直後の発行済株式数1,546,000株で割ると、1,681円です。つまり、株価がこれを割るようなことがあれば、即解散した方が株主価値が高いということになります。

公開資金の使途も特段ないようですし、何のための上場か、今ひとつ真意がわかりません。