社外取締役 導入企業、5割に迫る

昨年度776社 透明性向上狙う

東証一部上場企業のうち社外取締役を導入した企業の割合が2007年度に45%強に上昇し、5割に迫ったことが日本経済新聞社の調べで分かった。株主によるコーポレートガバナンス(企業統治)を機能させる代表的な仕組みが日本でも日常化してきたことを示す。ただ、買収防衛策導入に伴って制度を取り入れる企業もあり、一時的要因で増えた面もある。
(日本経済新聞2008年11月26日19面)

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一部上場企業1718社のうち776社が導入したということです。これをコーポレートガバナンスに対する意識の向上の結果と見るか、機関投資家の要請や買収防衛策導入のために仕方なく社外取締役の導入に踏み切る会社が増えたということなのか、解釈が難しいところです。

海外の機関投資家の多くが社外取締役の指名を投資対象会社に求めています。また、今年5月にカルパースやハーミーズ等欧米の有力年金基金や機関投資家が日本企業のコーポレートガバナンスの向上を求める提言をし、そこでは社外取締役最低3人指名することが謳われています。

その理由を英ハーミーズ・ファンド・マネジャーズのシニアアド バイザー、マイケル・コナーズ氏は次のように話しています。

――なぜ社外取締役は最低3人必要なのですか。

米国でも英国でも半数以上を独立取締役にする決まりだ。社外取締役として発言力を確保するには、1人や2人では多勢に無勢だろうと考えた。提言に参加した個々の機関投資家が3人という基準を持っているわけではない。よく適任者がいないと聞くが、いくらでもいる。多くの企業では長年務めた社員のなかから1人だけが社長になり、残り は経営能力があるのにうずもれていく。人材の無駄遣いであり、社外取締役として他企業でどんどん活躍できるようにすればいい」

3名でも多勢に無勢でしょう(笑)。

取締役会が経営者を選任し、監督する責務があることがコーポレートガバナンスの要であることを経営者自身が理解しないと、結局社長のお友達を社外取締役として3人並べてそれでおわり、ということになるでしょう。

HOYAの鈴木社長のように、取締役会が自らをクビに出来ることが経営の規律付けのために重要であると経営者自らが認識し、取締役会の過半数を社外取締役が占めるように機関設計をした会社を、投資家が良い会社であると評価し、株価に反映するようになって始めて、そういう会社が増えてくるのだと思います。

そしてそういう傾向が少しずつ現れてきているというのが今日のニュースであると、私としては思いたいところです。

【リンク】

「日本企業の社外取締役、最低3人必要 英運用会社幹部に聞く(08/5/18)」
http://www.acga-asia.org/public/files/(2008-05-18)Mike%20Connors%20interview%20on%20White%20Paper%20(Nikkei%20Veritas).pdf