変動利付国債についても市場価格以外の評価容認

市場価格以外の評価容認、変動利付国債も対象 会計基準委方針

金融危機を受けた時価会計の見直しを検討している企業会計基準委員会(ASBJ)は、価格が下落している変動利付国債や物価連動国債を単純な市場価格以外の時価で評価することを認める方針だ。新たに作成する指針の中に、価格が極端に下落している国債などはそれ以外の時価で評価してよいとの考え方を盛り込む。変動利付国債を大量に保有する銀行など金融機関は決算で評価損を計上せずに済むことになりそうだ。
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20081024AT2C2301X23102008.html

【CFOならこう読む】

新聞記事によると、

「変動利付国債は市中発行残高が40兆円強あり、主に銀行など金融機関が保有。通常の国債と比べて流動性が乏しいため海外勢などの売却で価格が急落し、多くの投資家が含み損を抱える状況になっている。」

「変動利付国債にこのまま時価を当てはめると多額の含み損を抱えるため、「時価会計を適用するのと緩和するのでは自己資本比率が大きく変わってくる。」

とのことです。

今後は「理論価格の算定法や監査法人の実務対応が焦点になる」(国内証券)でしょう。

この点について、ロイターが次のように書いています。

「2008年9月中間期以降の決算の会計処理で、変動利付国債のどの回号に理論値を採用するかは、各金融機関の判断にゆだねられるが、大和総研の吉井一洋制度調査部長は、理論値採用の判断を金融機関にゆだねるなら、変動利付国債の同じ回号でも違う価格で評価されることが起こりうると指摘。「同じ金融商品で金融機関によって評価額がばらつくなら時価会計の理念とかけ離れてしまう」と厳しく指摘している。」
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-34460220081022

吉井さんが言うように、会計士の判断により評価額がぶれるということがあれば大問題です。ASBJは、理論値による評価を容認するのであれば、責任を持って、指針となる価格評価フォーミュラーを提示すべきでしょう。

ただ、私自身は満期のある債券の評価は、東京大学経済学部の醍醐教授が言う、「償却原価・時価比較高価法」(https://cfonews.exblog.jp/8772474/)により行うのが良いのでは、と思っています。

【リンク】

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