トリプルB以下の企業 社債発行半年間ゼロ

投資家が慎重姿勢 償却資金は借り入れで

信用格付けがトリプルB格以下の企業が普通社債の償還資金を、銀行借り入れなど間接金融で手当てする動きを強めている。社債投資家が慎重姿勢を続けており、トリプルB格以下の公募普通社債は半年間ゼロ。「空白」期間がこれほど長期にわたるのは十年半ぶりだ。政府・日銀は企業の資金繰り改善を後押しする施策を相次ぎ打ち出したが、幅広い企業に効果が及ぶには時間がかかる可能性がある。
(日本経済新聞2009年3月19日 15面)

【CFOならこう読む】

2008年9月の東洋ゴム工業の100億円の普通社債起債以降、機関投資家向けのトリプルB格の社債の発行は途絶えています。

流通市場におけるトリプルB格債のスプレッドが、今年に入って5%を超えており、企業側もリフィナンスを銀行に頼らざるをない状況になっています。

その一方で、社債発行を急増させたのが電力やNTT、電機の一角など高格付けの企業だ。急激に業績が悪化するなかで手元資金に余裕を持たせようと、上乗せ金利など条件にかかわらず調達を優先。高格付け企業に資金が集中し、低格付け企業に資金が回りにくくなっているとの指摘も出ている
(前掲紙)

中小企業にはなおさら資金が回らない状況はまだまだ続きそうです。

米国ではFRBが貸し渋り解消策として新制度「TALF」の受付を開始しました。

金融機関から小口のローン債権を裏付けとした証券化商品を担保にとり、最長3年の資金を貸す。自動車、クレジットカード、学生向け、中小企業向けの4種類のローンが対象。実質的にFRBがローンを引き取るので、金融機関が貸し出しを積極化する効果がある。

従来の金融緩和との違いは、個人や企業に直接に資金を提供すること。金融機関の資金繰り支援が中心だった従来の対策から一歩進めて、幅広い経済の担い手にお金を行きわたらせ、消費や投資を活性化させることを狙う。FRBの保有資産を膨らませる異例の金融緩和は、第二段階に入る。
(日本経済新聞2009年3月18日 7面)

一定の格付け以上の中小企業に資金を行きわたらせることが、最大の雇用対策であると私は思います。

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