ワークスアプリケーション、買収防衛策取り下げ

ワークスアプリケーションズ、買収防衛策を取り下げ

業務用ソフト開発のワークスアプリケーションズは22日、24日開催の定時株主総会の議案から買収防衛策(大規模買い付けルール)にかかわる事項を取り下げると発表した。半数以上の議決権が株主総会前に書面で行使された結果、反対が多数で、否決の可能性が高いと判断した。現在の防衛策は10月31日で失効する。
http://www.nikkei.co.jp/news/tento/20080924AT2D2201G22092008.html

【CFOならこう読む】

ワークスアプリケーションが導入を予定していた大規模買付ルールは、議決権割合が20%以上となる大規模買付の場合次の手順に従うことを要請するものです。

①大規模買付行為に関する意向表明書の提出
②大規模買付行為に関する情報の提出
③特別委員会の設置、対応
④取締役会としての意見の通知

買収者が上記ルールに従わない場合、必要に応じて対抗措置を講ずるとしていますが、その具体的な対抗措置については新株予約権の無償割当に限定されません。

ワークスアプリケーションが導入を予定していた大規模買付ルールは、特別おかしなものではありません。これが会社が説明するように、企業価値・株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、いわゆる2段階買収のように株主に対象会社株券等の売却等の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の株主や取締役会が大規模買収者の提案条件等について検討し、取締役会が代替案を提供するために必要な情報や時間を十分に提供しないもの、を排除するためだけに在るのなら問題はないと言えます。

しかしこのルールが経営者保身の道具となり得ることを、多くの株主は敏感に感じとり、反対票を投じたのでしょう。こういうニュースは、経営者をまたぞろ株式持合いに走らせるのでしょうね。

今必要なのは、岩井克人氏が「M&A 国富論」(プレジデント社)で強調しているように、買収防衛に関するルールを法制化することだと思います。

【リンク】

平成20年9月22日「定時株主総会における一部議案の上程取下げおよび『定款の一部変更に関するお知らせ』の一部変更に関するお知らせ」株式会社ワークスアプリケーションズ [PDF]


平成20年7月30日「当社株件等の大規模買付行為に対する対応方針(買収防衛策)に関するお知らせ」株式会社ワークスアプリケーションズ [PDF]

M&A国富論―「良い会社買収」とはどういうことか
岩井 克人

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