栄光の第三者割当増資、増進会が引受け

学習塾の栄光は15日、通信教育大手、Z会を持つ増進会出版社を引受先とする11億4300万円の第三者割当増資を実施すると発表した。増進会の栄光への出資比率は現在の16%から27.52%に高まる。中部地区を中心に約280の学習塾を運営する、さなるが9月に栄光の筆頭株主となっており、買収防衛的な意味があるとみられる。
(日本経済新聞2010年10月16日12面)

【CFOならこう読む】

プレスリリースによると資金使途は次の通りです。

① 英語教育事業への投資 1,000百万円
② 教材開発 133百万円

この資金使途の合理性について会社は次のように説明しています。

本第三者割当増資により調達する資金は、当社の英語教育事業への投資や教材改訂に充当することにより、収益基盤の多様化・強化を図ることができ、厳しい環境の中、当社の成長を図るとともに、財務体質の一層の健全化につながり、ひいては当社の企業価値及び株式価値の向上に寄与するものと考え、当該資金使途には合理性があるものと判断いたしております。

発行価格は、平成22年10月14日(取締役会決議日の前営業日)の株式会社東京証券取引所における当社普通株式の終値390円に対して、2.31%のディスカウントとなっています。

第三者割当増資の主要目的は買収防衛にあるのか、英語教育事業への投資資金調達にあるのか。前者にあるとすると著しく不公正な方法によって株式を発行することによって株主が不利益を受けるおそれがある場合(不公正発行)に相当する可能性があり、株主は新株発行差止の訴えを提起することができます。また、訴えによって請求を行う場合には、発行差止の仮処分を申請することもできます。

さなるの次の一手が注目されます。

【リンク】

2010年10月15日「業務資本提携、第三者割当により発行される株式募集、主要株主である筆頭株主の異動並びに「その他の関係会社」の異動に関するお知らせ」株式会社栄光 [PDF]