米スティール対日戦略転換

日本の経営者を啓蒙します。」米投資ファンド、スティール・パートナーズのウォレン・リヒテンシュタイン代表が昨年6月の記者会見で発した一言が、物議を醸したのは記憶に新しい。企業に事前了承なしのTOBを仕掛けるスティールは「こわおもて投資家」の代表格。だが意外なことに、最近は対話路線への転換を急いでいるという。なぜなのか。昨夏以降、メディアへの登場を拒んできたリヒテンシュタイン氏が日経ヴェリタスに胸の内を明かした。
(日経ヴェリタス 2008年9月7日 54面)

【CFOならこう読む】

リヒテンシュタイン氏は、インタビューの中で、

「昨年のブルドック案件から、投資先とのコミュニケーションがいかに大切かを学んだ」
「投資先企業にはまず、スティールが長期の投資を目指すファンドであることを理解してもらいたい。そして我々が利益率やROEを高める具体的なアイデアを持っている」

と語っています。

そして、そのアイデアについて具体的に次のように語っています。

「例えばコーポレートガバナンスの向上、中核事業への経営資源の集中、資本政策の最適化などです。こうした取り組みで株価が上がる余地は大きいはずです。」

そして投資ファンドの目的について、

「この仕事の最大の目的は、投資先企業を育てていくことです。その結果として、我々は株主を含めた企業のステークホルダーに価値をもたらすことができます。企業が良くなっていけば経済全体が良くなるし、税収が増え、株価上昇を通じて年金生活者など国民の利益にもつながる。そう信じて働いています。」

と話しています。

私には、未だ彼らが濫用的買収者である理由がわかりません。

しかしリヒテンシュタイン氏は、それをただ徒に非難するのではなく、日本市場での”土着化”を進めています。7月に代表にモルガン出身のマーク・オフリルが就任したのも”土着化”を進めるためです。

「オフリル氏は通算17年間にわたって日本に住んでいる日本通。モルガンでの経験も長く、日本市場を熟知しています。オフリルが代表になったことで、投資先企業との対話も加速していくでしょう」
「彼に期待するのは、日本政府との関係構築です。モルガン時代には大阪証券取引所の社外取締役を務めた経験もありますし。」

ブルドックの時に、さんざんコケにされた経済産業省と関係を構築しようと云うのでしょうか?

いずれにしても日本で”土着化”するには、官庁との関係が重要であることは間違いありません。

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