三井住友フィナンシャルグループ、国際会計基準に基づく決算書を初めて公表

三井住友フィナンシャルグループ(FG)は21日、国際会計基準に基づく決算書を初めて公表した。11月1日に予定するニューヨーク証券取引所上場の審査資料で、2010年3月期の連結最終損益は6,467億円の黒字。日本の会計基準で計算した公表数字は2,715億円だったので、利益が2.4倍に膨らんだ。
(日本経済新聞2010年10月22日4面)

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日本基準とIFRSの資本及び当期純利益(日本基準の当期純利益には少数株主利益1,077億円を含めて表示しています)の差異要因の内訳は以下の通りです。

差異のうち当期純利益への影響が大きい、デリバティブ金融商品、投資有価証券、貸出金及び債権、繰延税金資産について、調整項目の内容をプレスリリースから抜粋します。

■デリバティブ金融商品
(ヘッジ会計)
・日本基準においてヘッジ会計が認められるものの、IFRSにおいてはヘッジ会計が認められないヘッジ関係については、日本基準に基づくヘッジ会計を取消ししています。
・IFRSにおいても認められるヘッジ関係については、日本基準におけるヘッジ会計の要件がIFRSのヘッジ会計でも求められる要件と異なるため、これらのヘッジ関係についてのヘッジ会計を中止しています。

(デリバティブ金融商品の公正価値測定)
・日本基準、IFRSともに、店頭デリバティブ取引は、公正価値(時価)で測定することが求められています。
原則として、公正価値の定義に重要な差異はありませんが、買気配値と売気配値の価格差の取扱いや信用リスク評価等において、求められる評価手法に差異があります。

投資有価証券
(公正価値(時価))
・IFRSにおいては、原則として全ての売却可能金融資産(及び純損益を通じて公正価値で測定される金融資産)は、公正価値で測定することが求められており、活発な市場での取引価格がない売却可能金融資産の公正価値は、評価手法を用いて算定しています。
・また、日本基準に基づく金融商品の時価は、IFRSにおける公正価値の要件を満たすために調整しているものがあります。例えば、売却可能金融資産(上場株式)の決算時の公正価値(時価)について、日本基準では、継続して
適用することを条件として、期末前1ヶ月の市場価格により公正価値を算定しています。

(減損)
・IFRSにおける売却可能金融資産の減損については、減損の客観的な証拠の有無に基づき、決定しております。
株式等については、公正価値が取得原価を著しく又は長期に亘って下回っていることが、減損の客観的証拠に含まれます。

貸出金及び債権
(減損)
・個別に重要な減損貸出金の貸倒引当金(減損損失)について、日本基準では、ディスカウント・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」)を適用し、合理的に見積もられた将来キャッシュ・フローを当初の約定利子率で割り引くことによって貸倒引当金を算定します。IFRSにおいてもDCF法を適用しますが、将来キャッシュ・フローについて最善の見積りを行い、当初の実効金利で割り引くことによって貸倒引当金を算定します。また、DCF法が適用される貸出金の範囲は、IFRSの方が日本基準よりも広くなっています。
・DCF法を用いて貸倒引当金の算定を行った貸出金以外の貸出金に対する貸倒引当金は、IFRSでは、過去の損失実績に基づく統計的手法を用い、貨幣の時間的価値の影響を組み込み、類似した特性を有するグループ毎に一括
計算します。加えて、関連する経済的要因に基づく定性分析を行い、報告期末時点での直近の状況を貸倒引当金の見積りに反映させます。なお、当社グループが減損を認識していない貸出金に対しては、日本基準では将来の
予想損失を貸倒引当金として算定しますが、IFRSでは既発生未認識(発生しているが当社グループが認識していない)損失としての貸倒引当金を算定します。
(貸出金実行手数料及び費用)
・IFRSにおいては、貸出金の実行に付随して発生し、貸出金の組成に直接帰属する手数料及び費用は実効金利の算定に含められ、貸出期間に亘って繰り延べられます。

繰延税金資産
・IFRSにおいては、繰延税金資産は、一時差異が実現するまでの期間を限定せずに、一時差異に対して将来の課税所得を利用できる可能性が高い範囲で認識されます。

【リンク】

「【三井住友フィナンシャルグループ】米国証券取引委員会宛登録届出書(Form 20-F)の提出について(5/6)」三井住友銀行

(カテゴリー)
IFRS
会計

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