エルピーダ増資発表を受け株価急騰
赤字企業、自己資本で株価に明暗
自己資本比率が低下した企業が現状を打破するには、エクイティファイナンスが手っ取り早い方法だ。
しかし、投資家のリスク許容度が低下している今、公募増資が難航するケースもあり得る。
エルピーダメモリはこのハードルを乗り越え増資発表にこぎつけた。発表を受けた26日と27日はいずれも一時、値幅制限の上限(100円高)まで株価が急騰した。資本が取れることで短期的な信用不安が後退、将来の半導体市況不安が後退、将来の半導体市況回復時の成長が期待され株価が急反発した格好だ。
(日経ヴェリタス2009年3月29日 14面)
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今回の増資は、エルピーダの連結子会社であるEBS株式会社(以下、EBS)、およびECM株式会社(以下、ECM)が行います。
第三社割当増資の概要は次の通りです。
(1) EBS
(A種優先株式)
発行株式数 61,600株
発行価額 1株につき500,000円
調達金額 30,800,000,000円
資本組入額 15,400,000,000円
払込期日 平成21年3月27日
割当先 当社以外:61,600株(2) ECM
(普通株式)
発行株式数 182株
発行価額 1株につき500,000円
調達金額 91,000,000円
資本組入額 45,500,000円
払込期日 平成21年3月27日
割当先
当社 : 162株
当社以外: 20株
(A種優先株式)
発行株式数 30,000株
発行価額 1株につき500,000円
調達金額 15,000,000,000円
資本組入額 7,500,000,000円
払込期日 平成21年3月27日
割当先
当社以外:30,000株EBSおよびECMが発行する普通株式およびA種優先株式については、下記条件を引受先と合意しています。
① 第三者への譲渡制限
② 当社と当社以外の引受先との間で当社への売渡権、および当社による買取権
③ 非累積の優先配当
④ 残余財産の優先分配なお、EBSおよびECMが発行するA種優先株式は無議決権株式であり、また、エルピーダ社、EBSおよびECMの普通株式への転換がされることはありません。
(プレスリリースより抜粋)
連結子会社を通じて増資を行ったのは、そうすることにより希薄化を回避するためであったと思われます。
エルピーダの借入金の一部残高には「純資産維持条項」が付いており、純資産額が前期末の75%を下回ると返済義務が生じる。08年3月末 の純資産額は約3479億円だったため、09年3月末にその75%に当たる約2609億円以上を維持しなければ同条項に抵触し、期末に多額の返済を 迫られるリスクがあったことから、増資が必要だった。
(エルピーダ株がストップ高、458億円の増資で経営基盤安定に期待(2) 2009/03/26 12:26 JST)
第3四半期末現在の2,206 億円でした。27日の払い込みにより一括返済のリスクは後退しました。