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連結納税制度による繰越欠損金の利用

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M&Aなど企業再編の際に、買収企業や子会社の欠損金を利用して税負担を軽くする手法が広がってきた。欠損金を繰り越して翌期以降の税務所得と通算する繰越欠損金を活用するもので、買収価格を押し上げる例もある。業績が悪化する中で、納税額を減らして現金を確保する効果も期待できる。だが単なる納税回避では税務当局に否認され、再編効果も上がらない。
(日本経済新聞2009年4月4日17面)

【CFOならこう読む】

記事にあるヤフーによるソフトバンクの子会社IDCソリューションズの買収については、当ブログでは3月2日にとりあげています。

記事ではもう一つ連結納税制度における繰越欠損金の利用の事例としてUTホールディングスを取り上げています。

UTホールディングスは2010年3月期から連結納税を導入する方針。同社はラディアホールディングス株の評価損と売却損で前3月期に百億円の連結最終赤字となったもよう。この赤字を繰越欠損金とし、子会社の利益と相殺して税負担を軽減できる。

連結納税制度では、単体申告における欠損金額は、連結開始または加入により完全に切り捨てられ、単体申告に復帰しても復活することはありません(法人税法57条第9項3号、58条第4項3号)。

しかしこれには例外が認められています。UTホールディングスはこの例外規定を使おうというのです。

この原則の例外として、単体申告における一定の欠損金額および後述する連結欠損金個別帰属額を、連結欠損金額とみなして連結申告における連結欠損金額の繰越控除に取り込む制度が設けられている(みなし連結欠損金額)(法人税法81条の9第2項2号)。みなし連結欠損金額には、連結申告期間に入る前に生じた次の欠損金額が含まれる。

第1は、連結親法人の最初の連結事業年度開始の日前7年以内の青色欠損金額および災害損失欠損金額である(法人税法81条の9第2項1号)。
(法人税法講義(第3版)岡村忠夫 成文堂)

「租税回避をM&Aの主目的にするのは適当でない」(GS 矢野佳彦氏)は正論ですが、グループ内でタックスコストのムダが生じている場合、グループ内再編または連結納税制度を利用して、タックスコストの最適化を図るのは経営者の責務だと私は思います。

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